猿の惑星

PLANET OF THE APES
1968年
アメリカ
ピエール・ブール原作
フランクリン・J・シャフナー監督
マイケル・ウィルソン、ロッド・サーリング脚本
ジョン・チェンバース特殊メイク
ジェリー・ゴールドスミス音楽
チャールトン・ヘストン 、、、ジョージ・テイラー(宇宙飛行士、船長)
キム・ハンター 、、、ジーラ(チンパンジーの生物学者)
ロディ・マクドウォール 、、、コーネリアス(チンパンジーの考古学者、ジョーラの婚約者)
リンダ・ハリソン 、、、ノヴァ(人類の末裔、テイラーの恋人)
モーリス・エヴァンス 、、、ザイアス(オラウータンの科学者、最高権威)
ジェームズ・ホイットモア 、、、議長
この作品が、3作観た範囲では、もっとも重厚で良く出来た作品であった。
よく科学番組などで、原始地球についての解説とともに、よくこんな場所が地上にあるな、と実に感慨深い思いに浸ることがあるが、この映画のロケ地はその意味でも凄い。
序盤はただひたすらロケーションに圧倒されるばかりで、誰でも地球に向かっての帰路についているとは言え、あんな湖に墜落して飛んでもない岩山と砂漠を延々と見渡しながら寄る辺なく彷徨えば、まさかここが地球だなんて思いもすまい。
重力と大気組成や気温がやけに地球環境に近いぞとは思ってもヴィジュアル的には、まずない環境である。
機内時間は1972年であったが、地球時間は2673年となっているので無理もない。
準光速航行での宇宙探査任務であった。
無事帰ったところで、地球人同胞は何世代も経ており、まだいるかどうかも分かりはしない、、、。
チャールトン・ヘストンとリンダ・ハリソン以外は特殊メイクで素顔は(分かる人以外は)分からないだろう。

途轍もない過酷な生命を拒絶する環境が広がっていたが、あてもなく彷徨ううちに滝とそれを囲む緑に出合い、何と原始状態のヒトの群れが潜んでいるのだった。
言葉を持たず文明もない状態で生きているのが分かる。
そして驚くべきことに、馬を操り揃いのユニフォームを着て武器を持った猿が突如押し寄せ、ヒトを狩っていくのだ。
猿は皆、流暢な英語を喋っていた。
テイラーは4人で宇宙を飛び立って来たが、一人は生命維持装置の故障で死亡し、降り立ったこの惑星で、一人は猿に撃ち殺され見本の剥製として展示され、もう一人の隊員は脳を調べる外科手術により廃人となってしまった。
テイラーは他のヒトとともに檻に入れられ、外に出されるときには首輪と紐で引きずりまわされる。
ヒトは殺されるか生体実験や研究の為に使用されていたのだ。
かつては家畜として飼えるか試されたが、それに向かない事が分かり今や害獣として最下層の動物に見なされていた。
そんななかで、オラウータンから見ると下のランクに見なされているチンパンジーのジーラ博士は、猿は人間から進化したという仮説を持っており、それを証明したいと願っていた。(猿社会にも階級関係は厳然と存在している様子だ)。
この言葉が話せ文字も書け思考が出来るテイラーは、彼女にとって特別な存在となる。
婚約者のコーネリアスも保身的な性格ながら、研究者として「禁断地帯」に古代の高度な文明がヒトの骨と共に眠っていることを発掘調査を通し解明しており、真実を見極め成果を公にしたいという真っ当な意志を持つ。
だが、ザイアスは聖典に反する冒とく罪であるとして、それを認めない。
事の次第が明瞭になるまでは、ジーラたちもテイラーを下等動物扱いしていた。
ノヴァはジーラに研究の為にテイラーに宛がわれた雌であった。
しかし、テイラーは本気で言葉も持たぬ彼女に恋をしてしまう。

全ては人類を極度に恐れる科学界の最高権威ザイアスの思惑~指金によるものであった。
彼は人間を可能な限り猿社会から遠ざけようとしていた。
ヒトに対する嫌悪の情や差別的な思想というよりも、猿社会においても随一の人類を知る彼であるが故の采配でもあった。
彼は、人類が遠い過去に今の猿より遥かに進んだ文明を持っていたが自ら滅ぼし合い、現在の末裔を残すのみとなったことをよく知っていた。
であるから、文明のテクノロジーの発達もあるところで押し留めていたようである。
ザイラスはテイラーの存在を恐れ、虚勢と脳を切除して研究しようとしていたが、冒涜罪だけでなく反逆罪にも問われる身となったジーラ&コーネリアスカップルは彼を逃がし、一緒に「禁断地帯」の洞窟内でその決め手となる古代テクノロジーの一端を確認する。
そこへやって来たザイアスは人類が高度な文明の元、滅んだことをよく知っており、自分たちの種族が同じ轍を踏まないように防衛している本音を打ち明ける。
テイラーが人類は猿より優れた文明を持っていた優位性をザイアスに主張すると、では何故優れた文明を持った人類が滅びたのか、と聞き返す。

そして協力者でもあったジーラ&コーネリアスカップルとも別れ、テイラーはノヴァと二人で馬に乗り「禁断地帯」から更に遠くへ、海沿いに進んでゆく。もはや猿たちは(ザイアス以外は)誰も行ったことのない地である。
ザイアスは彼らは運命を目の当たりにするだろう、と騙って彼らを解き放ったのだが、、、。
やがて二人が誰をも近寄せなかった場所に行き着くと、巨大な影が彼らを待ち受けていた。
見上げると、そこには胸まで埋まった自由の女神が無残な姿で取り残されていたのだ。
やってしまったのだ。
2000年前に何があったのか、それは具に語られないが、この惨状を見て愕然とし絶望に打ちひしがれ叫ぶテイラーであった。
不滅の衝撃的エンディングである。
このシーンは色褪せない。

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