M★A★S★H マッシュ

M*A*S*H
1970年
アメリカ
ロバート・アルトマン監督
リング・ランドナーJr.脚本
リチャード・フッカー原作
ジョニーマンデル主題歌”Suicide is Painless”
ドナルド・サザーランド 、、、ホークアイ・ピアス(腕の立つ外科医)
エリオット・グールド 、、、トラッパー・ジョン・マッキンタイア(腕の立つ外科医)
トム・スケリット 、、、デューク・フォレスト(腕の立つ外科医)
ロバート・デュヴァル 、、、フランク・バーンズ少佐(保守的な腕のない外科医)
サリー・ケラーマン 、、、“ホットリップス”・オフーラハン(新任の女性将校)
ジョー・アン・フラッグ 、、、マリア・ディッシュ・シュナイダー婦長
ゲイリー・バーゴフ 、、、“レーダー”オライリー伍長
ロジャー・ボーウェン 、、、ヘンリー・ブレーク大佐(M*A*S*Hの長)
ルネ・オーベルジョノワ 、、、“デイゴ・レッド”神父
ジョン・シャック 、、、“ペインレス”・ウォルドスキー大尉
カール・ゴットリーブ 、、、“アグリー・ジョン”・ブラック大尉
G・ウッド 、、、チャーリー・ハモンド准将
ドナルド・サザーランド若い!あの髭も無い。
でもドナルド・サザーランドは最初からこんな風に変わった人を演じていたのだ、、、。
(変わったと謂うより素直なのだろうが)。
Mobile Army Surgical Hospital(移動米軍外科病院)
70年代のサイケデリックな雰囲気の映画であった。
映像的に飛んでいるような描写は皆無であるが、内容的には充分飛んでいる。
テンポも生理的に故意にずらしてゆくような感じで進む。
腕は良いが箍の外れたホークアイとデューク、トラッパーの外科医3人が朝鮮戦争時の移動米軍外科病院で自由に暴れまくる。
もう病院そのものが狂気の巣窟の如く、酒を呑んで賭けのポーカーをして不倫もして騒然としている。
毎日、次々に重症患者が運び込まれて来てその手術に明け暮れていては、普通にしていては精神的にもたないものか、、、。
それで何でも面白くしてやろう、というところか?
勿論、神父をはじめ聖書に深く縋る者もいる。
しかし例の彼らは、手術中でさえ冗談ばかり飛ばしてる。
日本にも行って手術をして芸者遊びをしてゴルフも楽しむ。
(負傷したお偉い議員の子供の手術の為に、小倉市に出張する)。
日本にはそもそもゴルフをして遊びたいために行ったのだが。
シーンの切れ目に必ずタイミングよく「ラジオ東京」の時代感溢れる日本語の歌が流れる。
そしてどういう訳か銅鑼が鳴る(爆。
これがとても緩く、脱力感満点である。
(日本はとってもキッチュ感漂うエキゾチックな東洋として描かれている)。
映画上映の予定も敷地のスピーカーからよく流れるが、こんな時に映画も見ていたのか?
ともかく、余裕を感じる。特にホークアイの口笛(笑。
オフーラハン女性将校が赴任してくるが、例の3人の軍紀を無視した破天荒な行動振りに怒り、気の合うフランク・バーンズ少佐と結託し、上層部に告発状を提出したりするも、そんなことで何かが変わるわけではない。
相変わらず3人はやりたい放題で、オフーラハンとバーンズの情事をマイクを仕掛け病院中に流し、彼女に“ホットリップス”というあだ名まで進呈する。翌朝には隊にいる全員の軍医・兵士が彼女をあだ名で普通に呼んでいる。
(あだ名がそんな風に広まるのは、わたしも職場で何度も経験した(笑)。
もともと、死人が出る度に若い助手のせいにしているバーンズが気にくわなかったホークアイは、この時とばかり彼をからかう。
バーンズはついに激怒してホークアイに殴りかかるが、思うつぼであり大袈裟に騒がれ、バーンズは国に送り返されることに。
ウォルドスキー大尉が急に自分は隠れホモだとカミングアウトし、自殺するとみんなに明かしたときは、「最後の晩餐」(ダヴィンチの)スタイルで厳かに食事をしてお別れの儀式をする。このワザとらしいキッチュさはたまらない。
その時、”スーサイドイズペインレス”のあっけらかんとした曲をバラード風に歌う。この曲は最初にも流れるが。
毒だと渡された薬を飲んで彼は棺の中に横たわるが、ただの睡眠薬でありそのままベッドに運び込まれ、美人のマリア・ディッシュ・シュナイダー婦長をそこに送り込んでおく。(婦長は嫌々ではあるが)。
それで、翌朝ウォルドスキー大尉は何事もなかったかのように、スッキリ仕事に出てゆく、、、。
、、、全編そんな流れだ(笑。
傷病兵は次々に運び込まれるが、現場にはふざけた医者がいるだけである。
ここをまとめるヘンリー・ブレーク大佐のとぼけ振り~その器も、ちょうどピッタリな気がする。
何故か最後は尺をタップリとったフットボールの試合である。
5000ドルを掛けた試合で、ハモンド准将の提案で始まる。
戦時中かと思えるほど綺麗なコートとユニホームに隊の女性によるチアガール(この頃にはすっかり“ホットリップス”・オフーラハンもこの共同体に染まって弾けている)まで揃い派手に試合は行われる。
前半は実力に勝る准将のチームが圧倒するが、調子に乗って掛け金を二倍にさせたところで後半ホークアイチームの隠し玉の元プロ選手を投入し、ずるい手も使ってギリギリのところで勝利を得る。
何と謂うか浮かれっぱなしのお祭り騒ぎの現場である。
最後、ホークアイが帰国の命令が届いたときの彼の哀しい表情が印象に残る。
国に戻ってからは、こんなハチャメチャは到底出来まい。
異色の戦争映画?だ。