ダウンタウン物語

Bugsy Malone
1976年
イギリス
アラン・パーカー監督・脚本
ポール・ウィリアムス、ロジャー・ケラウェイ音楽
スコット・バイオ、、、バグジー・マロン(ボクシング・プロモーター、一文無し)
ジョン・カッシージ、、、ファット・サム(ギャングのボス、キャバレー経営者)
マーティン・レブ、、、ダンディー・ダン(サムと対立するギャングのボス)
ジョディ・フォスター、、、タルーラ(サムの情婦)
フローリー・ダガー、、、ブラウジー(マロンの恋人、ハリウッドを目指す歌手)
デクスター・フレッチャー、、、ベビーフェイス(新入りギャング)
ジョディ・フォスターまさに、「栴檀は双葉より芳し」である。
とても思い切った設定で、まず一回やったら真似はもうしない方がよいだろう、、、。
禁酒法時代のアメリカギャング映画を「子供だけのキャスト」で撮った映画。
でも、ジョディ・フォスターって子供か?
子供の年齢には違いないだろうが、子供には見えない。
大人でもない。
そう、ジョディはジョディでしかなかった!
恐るべし、、、。
やはり普通の人間ではなかった。
(今若手で、これほどの存在感を示す女優はいるか、、、ダコタ・ファニングか?確かに両者ともに天才である)。
足漕ぎクラシックカーもともかく愉しい。
これもたまらない。
出てくるたびに嬉しくなる。
子供時代にこんな豪華な足漕ぎギャングカーに乗ってみたかった。
いや、今でも乗ってみたいではないか。
さらにミュージカルであるが、どの曲もとても出来が良い。粒揃いなのだ。シングルカットで行けそうなものばかり。
時折、ミュージカルなのに曲がショボく(特に「ムーランルージュ」)、観ているのが苦痛になるものがあるが、この作品はとっても音楽~歌が良かった。
但し、残念なのは歌が吹き替えなのである(苦。
子供声でよいから、(下手でもよいから、、、演技も上手くはないのだし)本人の歌で聴きたかった。
とーくに、タルーラ♪~である。あの曲はジョディの肉声で聴きたかった!
ここが吹き替えでがっかりした。この映画で一番がっかりしたところだ。
もう、がっかりした。

度々出てくるクラシックカーも、ジョディ・フォスターもとても素晴らしい。
ただ欲を言えば、もう少し彼女の出番を多くしてもらいたかった。
というより、この映画ジョディとこの珍妙な足漕ぎ自動車が出てこなければ、少し厳しいかも。
勿論、楽曲も良いのだけれど、他の子どもさんとの差があり過ぎなのが観ているうちにしみじみ分かって来る。
ファット・サムのジョン・カッシージ君も体形~ルックス的にも個性があり上手いかも知れないが、、、。
二枚目役のバグジー・マロンも敵のボス役のダンディー・ダンも、確かにイケメンだが今一つ影が薄い。
いや、普通なら彼らはかなり達者な子役なのだ。
(ヒロインのブラウジーは正直キツイが)。
タルーラ~ジョディ・フォスターで皆、ぼんやり霞んでしまったのだ、、、。
これは仕方ないが。
本当なのだ。

パイ投げは、向こうの映画では定番なのか。
このようなパロディ・コミカル映画では、どうしても実弾とはいかずパイとなる。
しかし手でパイを投げるとなれば、簡単に敵に避けられてしまう。
ファット・サムの店でわざわざその実証をボス直々にしている(爆。
それで、新型銃が登場し威力を発揮する。
パイを発射する銃を大量に手に入れ優勢に立つダンディー・ダンのファミリー。
こちらはファット・サムのところと違い統制もとれている。(部下がボスを尊敬している(笑)。
この新兵器で一時、ファット・サム一派はコテンパンにやられ追い詰められる。
それで組の者ではないバグジー・マロンに助けを求める。
バグジー・マロンは一文無しなので、金を積まれれば直ぐに乗る。
ファット・サムは店ごと最早、壊滅かといったところで、マロンの機転でその銃の略奪に成功し、最後は五分五分の激戦に持ち込み訳の分からぬ状況になる。
よくある無茶苦茶なパイ投げシーンに雪崩れ込む。
「グレートレース」で辟易したパイ投げであるが、よっぽどこれが好きなのだ。
パーティでちょっと羽目を外しても、ギャング同士の闘いでも、何でもともかくパイを投げたい。
そして全てがうやむやとなり~エントロピー最大~でついに双方ともに痴呆状態となって終結を迎える。
お互いに手を取りニコニコしているのだ。
こういうエンディングなんだ、、、。
他のアイデアは出なかったか、、、これがもっとも分かり易く受け容れられる形であるか。
、、、文化なのだ。
全体の話としては面白い。
ファット・サムの酒の密造工場がダンディー・ダン達に見事に潰されたり、真っ当な商売の野菜倉庫までも破壊される。
この徹底したダンの思惑通りの進撃振り、というかサム一派のやられ振りの展開が傑作である。
それに子役でこれくらいオヤジの悲哀に迫れる(理解する)ジョン・カッシージもその個性共々特筆ものかも知れない。
(こういう役に限定すれば)。

いや、やはり、ジョディ・フォスターの魅力に尽きる映画であった。

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