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村上隆

murakami006.jpg

昨日に続いて現在活躍中のアーティスト。(画家というよりアーティストというのが馴染む)。
村上隆を実際に美術館に見に行った事はない。
横100m縦3mの作品を観たら、それはさぞ圧倒されるだろう。
メディアや雑誌で観た範囲の感想である。
恐らく実際に会場に足を運んでも変わらないと思うが、その作品世界に惹き込まれるというものではなく、表面に湛えられた強烈な迫力に押し返されるような経験となると思う。

彼は若くして海外(アメリカ)に渡る。
世に出ること~野心に燃えていたようだ。
何をすれば時流に乗れるだろう、と考えた末、日本のアニメを元に(その後は水墨画~浮世絵も引用し)、シルクスクリーンを中心に作品を展開していった。
特徴としては、何より奥行き~内界を排除した表面のみを強調したパワー溢れるものだ。
等身大フィギュアも作成している。当初から作品はよく売れたそうだ。

自身は「海外に対するアンチテーゼ」と騙っているが、寧ろ日本のアニメと江戸の絵師からの引用と西洋ポップアートの融合ではないか、という気がする。
さらに戦後日本を強く意識した制作を行っているという。
なるほど、戦後の日本のオモチャ産業はJHQやアメリカ本国への輸出を巡っての商品開発で、やはりアメリカ=日本のハイブリッドデザインが生まれる場であったはず。
彼の作品群はそれを更に純化した異常なほどポップな融合作なのではないか。

芸大の日本画出身で、アニメの手法を基本にして、ポップアート~ファインアート~水墨画(浮世絵)をシームレスに繋ごうという試みは、彼自身が提唱するスーパーフラットというムーブメントであろう。
確かに非常に平面的で、構成要素の輪郭内部に限りなく過剰な装飾形体~模様を充填してゆこうという作品だ。
(こんな巨大で細密な版画をよく刷ったものだなと、感心するばかりだ)。
個々の要素(羅漢など)に関しては、一体ずづコンピュータに取り込んで構成に及んだという。

murakami005.png

村上隆は、作品がとても高く売れる。
金が動く。非常に儲かっているアーティストだ。
フィギュアも作っており、パリで展示されたり、やはり高額で買い取られている。
(金持ちは結構いるものだ)。
流石にベルサイユ宮殿で展示される際には、反対者も出たらしい。
(しかし、ベルサイユ宮殿に展示され、そしてそれに反対する人たちがいる事自体、どれだけ有名かということである)。

murkami004.jpg

彼は『DB君』という真似されやすいキャラクターをもっている。
似ているキャラを発表している会社に対し著作権侵害で提訴して和解金(4000万円)も受け取っているが、子供とかが何となく描けば似てしまう類の顔のキャラである。
実際、フィギュアも一体5800万円で取引されたそうだが、食玩にも作品は転用されている。
確かにオモチャ・キャラクター商品でも十分に通用するモノだろう。

murakami002.jpgmurakami003.jpgmurakami001.jpg

肝心の大作についてだが、「500羅漢図」を美術誌紙面とTVで観た。
実際に会場に行ったとしても全貌を一度に観るのは不可能であり、部分的に観てゆくことになろう。

全長100mの凄まじく長く大きなシルクスクリーン作品であり、彼が原案を考え、それらを構成する絵は雇っているスタッフや学生アルバイトに任される。
実際の刷りは、非常に神経を使う体力・根気仕事であり、これは学生たちの担当になる。
村上は、基本チェックをして檄を飛ばす社長のような立場だ。
現場責任者も学生だったりする。
村上は外注であったり、工房~スタジオシステムで作品制作をしてきているのだ。
ルネサンス期だって多くはそうであった。(レオナルドはベロッキオ工房で師匠の絵の一部を描いていた、、、師匠より上手かったが)。
「500羅漢図」は、東日本大震災に衝撃を受けて、アートとして何ができるかを考えたところから、コンセプトが生まれたという。
安政の大震災の際に描かれた狩野一信による「500羅漢図」を下地に村上流の平面的極彩色の迫力画面に仕上がっている。
羅漢が光線を発しているところなど、歌川国芳にも通じるところを感じる。
(村上にとって光線を発する等、大したギミックではないが)。
そして羅漢に限らず、全ての要素が「怪物」たちなのである。龍やその他の想像上の怪獣で羅漢の他は埋め尽くされる。
勿論、羅漢の顔~表情も皆、怪物である。
少なくとも観て拝みたくなる厳粛な顔などは一切ない。
どう見たらよいのかよく分からない顔ばかりなのだ、、、。それが狙いなのだろうが、、、。
(何故か諸星大二郎の「インフェルノ」を扱った『生命の木』に登場する彼らの顔を想起した)。

また面白いのは、背景の(炎などの)連続性を故意に崩すことで、観る者にワザと引っかかりを持たせる工夫を凝らしているところだ。
炎に限らずドット模様も繋ぎ目でズレていたりする。しかし図の部分では綺麗に連続している。
これは確信犯である。

しかし、大いに目立つとはいえ、これがどういう作品なのか(何であるのか)、よく分からないのだ。
『DB君』とその変容キャラも含め。
文字通り商品としても接することのできる作品であるが、どう接するものなのかとても戸惑うモノなのだ。
とても微妙な境界上の作品群に想える。
(分析しようとか、そういう気にもさせない強靭な即物性は感じる)。




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