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入江一子

絵を描くことがそのまま宇宙から滋養を貰うこと。
きっとそうなのだ。
われわれには不可視なその光が、いよいよ顕になる。
呆気にとられる「光そのもの」が射してくる、、、。
まさしく「光の画家」

しかし、それはDNAを破壊するような宇宙線ではない。
霊光とでも謂うべき優しい涼やかな光が風景を満たすのだ。
尋常ではない原色の眩い光景~パステルカラーである。
民族衣装も際立つ。
そう、純情無垢な美しさ~愛らしさで充ち広がるのだ。

irie001.jpg
「四姑娘山の青いケシ」

入江一子は、高齢で現役を元気に続けている画家の代表である。
1916年5月生まれであるから今、101歳。
新作を意欲的に制作し続けている。
何れも対象に対する究極の「賛歌」と謂えようか。一点の曇りも感じない絵だ。

彼女は50歳を越えてから、シルクロード36カ国を周っている。(それを聞いただけでもわたしは眩暈がする)。
42℃もある土地で何時間にもわたってスケッチをしたり、明かりのない暗がりで懐中電灯を頼りに敦煌の飛天を模写したり、蒼い芥子を観るために24時間馬に乗り、山頂に二泊して高山病に罹りながらも芥子を描いて帰ってきたり、ともかくその取材力が半端でなく凄い。普通なら過労で倒れるようなところ、彼女は絵を描くことによって、余計に元気になる。
恐らく、自然に同調して元気を貰っているのだ。
自然~宇宙の神秘との結束点になっているのだ。
植物のように。
ヒトとしての何かの器官が発達している(または、抑制されている)のかも知れない。

irie004.jpg
「敦煌飛天」

彼女の天真爛漫な話し方からして、何かが違う。
これまで画業一筋、脇目も振らず一直線に生きて来た賜物か。猥雑物が一切ない。
彼女が「絵」そのものという感じしかしないのだ。
例えば青木繁のような天才画家であっても、絵は手段・方法のひとつと考えており、彼にとって自分の思想~世界観(神話)を表すことが何より問題である。それが文学であったかも知れず、選択の結果であった。
入江の場合、そのような絵との距離はなく、描くことは生の形式に埋まり込んだものだ。
絵を描くことが生きること~呼吸することと同義となっている。
6歳の時から絵が描きたくてたまらず描いてきており、その姿勢は100年、変わりない。
(彼女にはメアリー・カサットと違い、「女子美」という受け皿もしっかりあった。)
幼いころから食卓に出た食べ物も、まず絵に描いてから食べる。(これは今でもやっているかどうか、、、?)

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「トルファン祭りの日」

そして毎日、好物の焼き肉を食べる。(魚は絵になるが、恐らく焼き肉は絵には描くまい)。
来客には自分の旅の話を楽しそうに聞かせる。
モロッコのバザールで空に浮いた原色の色鮮やかなパラソルの群れのこと。
大道芸人たちと楽器を打ち鳴らす音の響き、、、。
民族衣装の美しさ。
砂漠や日干し煉瓦に落ちる朝日と夕日の光の輝き。
そして、その民族が今、戦禍に見舞われ苦しめられていることにたいする同情。
入江の絵は文化遺産の記録にもなってしまった。(彼女流に抽象化された風景ではあるが)。
彼女がかつて描いた バーミヤンの石仏は、タリバンのによって破壊されてしまっている。
そんなところが多数ある。

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「バリ島.ガルンガンまつりの日」

光が完全に可視化している。
この光の下でのこの色彩なのだろう。
彼女には実際に、こう見えているのだ。
「デッサンは難行、苦行だが色を塗ると真実みが出てきて愉しいです。」

彼女は、何処にあっても目に留まるものを何でもスケッチする。
東京の路地であっても。
そこから「生命の美」そのものが生まれてくるようだ。


「絵がだんだん分かって来て、だんだん描けるようになるんです。」
この言葉には無限の重みがある。



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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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