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アルフォンス・ミュシャ

Mucha001.jpg

ついに今回の展示会には行けなかったが、、、。
チェコ国外で「スラブ叙事詩」が展示公開されることは、世界で初めてのことだという。
(それを知っていれば、無理にでも~這ってでも観に行ったか、、、)。

ほとんど展示作品は観ている。画集等で。
大学入学時に知った画家である。
計算され洗練を極めた装飾と輪郭線に囲まれたモデルの女性そのものの美しさも際立ったポスター。
最初はそのアールヌーボーのセンスの良い美しい作品群に惹かれ、絵ハガキ等を集めたものだ。
それから崇高なスラブ叙事詩の絵画で俄然、特別な画家となった。
その闇から見つめる目に釘付けとなる白光した祈りそのものといった巨大な画布。

最後はナチスに迫害を受けて亡くなった愛国者でもある。
ドイツ語が公用語とされた、チェコの画家でありパリで大成功を手にした後、50歳で「残りの人生をひたすら我が民族に捧げるという誓い」を立てプラハに戻り、20作の「スラブ叙事詩」を創作した。
絵のモデルは全て彼の周囲に住む一般市民に自ら頼んでポーズをとってもらい描いたものという。

プラハ出身でドイツ語で作品を執筆した作家にフランツ・カフカがいる。
わたしのもっとも好きな作家であるが、その意味でもミュシャに興味をもった。

以前TVの「日曜美術館」を途中から見た時に、宮本亜門が「スラブ叙事詩」を前に、「この絵は復讐とかそういった気持ちを起こさせない絵だ」といったことを語っていた、と思う。
チェコ・スラヴ民族の伝承および歴史を題材とし、太古の時代から1918年のチェコ独立までを描いた連作である。
テンペラによるものだ。
まさに血みどろの惨劇、といった復讐心~敵意高揚させるような絵では、全くない。
そんなレヴェルの絵ではなく、もはや神話のような連作なのだ。
ひとが沢山殺されていても血は一滴も描かれていない。
白い布に包まれ横たわり、夜であってもその地は白光しているではないか、、、。
そして赤ん坊を腕に抱いた表情を失った母の闇の奥からこちらを真っ直ぐに射貫く開け放たれた瞳に気づくともう目を逸らすことは出来ない。
ここには偉人も英雄もいない。
皆、ひとりひとりのスラブ人がいるだけである。
(無論、何かの予兆のように急襲してくる他民族が悪魔のように描かれているが)。

よく、パリ時代のポスター画とプラハ時代のスラブ叙事詩を比べ、まるで別人の作品と評されることが多い。
だが、棺桶で眠る強烈な個性の女優サラベルナールの一連の作品の精神性は後期の作品に連続している。
(彼はサラベルナールのポスターで時代の寵児となった)。
彼女の横顔の毅然とした凛々しい表情と独自の観察から精緻なパタンを抽出した様式美は、同じ視力によっており、その制作姿勢は。後期にそのまま受け継がれている。
どちらも入念な素描から入っている点において。
敢えて言えば違いはポスターであることを際立たせるあの強調・単純化を図る美しい輪郭線の有無か。


故郷のスラヴ人 — トゥラン人の鞭とゴート族の剣の間で
ルヤナ島のスヴァントヴィト祭 — 神々が戦う時、救いは芸術にある
大ボヘミアにおけるスラヴ的典礼の導入 — 母国語で神をたたえよ
ブルガリア皇帝シメオン — スラヴ文学の明けの明星
ボヘミア王プシェミスル・オタカル2世 — スラヴ王朝の統一
セルビア皇帝ドゥシャンの東ローマ帝国皇帝即位[35] — スラヴの法典
クロムェジーシュのヤン・ミリーチ — 尼僧院に生まれ変わった娼家
ベトレーム礼拝堂で説教するヤン・フス — 真実は勝利する
クジーシュキでの集会 — プロテスタントの信仰
グリュンワルトの戦闘の後 — 北スラヴ人の団結
ヴィトーコフの戦闘の後 — 神は権力でなく真理を伝える
ヴォドナャニのペトル・ヘルチッキー — 悪に悪をもって応えるな
フス教徒の国王ボジェブラディのイジー — 条約は尊重すべし
クロアチアの司令官ズリンスキーによるシゲットの防衛 — キリスト教世界の盾
イヴァンチッチェでの聖書の印刷 — 神は我らに言葉を与え給うた
ヤン・アモス・コメンスキー — 希望の灯
聖山アトス — オーソドクス教会のヴァチカン
スラヴの菩提樹の下で誓いを立てる若者たち — スラヴ民族の目覚め
ロシアの農奴解放の日 — 自由な労働は国家の基盤である
スラヴの歴史の神格化 — 人類のためのスラヴ民族

画題を見ただけでも圧倒される。
本物を観ていないことが残念ではあるが、、、。
尋常ではない労作であることは充分に感じる。

この作品完成後、ナチスが台頭する。
ミュシャ存命中に全作品が展示されたのは1928年の一度きりという。
それ以降、作品もミュシャも不当な評価を受け、管理も最適な状態ではなかったと言える。

2012年にプラハのヴェレトゥルジュニー宮殿に展示され現在に至っている。

Mucha002.jpg


今回は、本当に稀な機会であった。
それは間違いなかった(涙。


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