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ブリューゲル Ⅱ

ブリューゲルは時折気になって見たくなる画家である。以前、一度書いているが「ブリューゲルとは何者か?」
巷で彼のことが囁かれるとまた気になってくる。

BABEL001.jpg

どこから俯瞰しているのか。
このアイレベルが微妙である。
やはり「神」なのか、、、。
非常に大きな世界~建造物~思想が描かれているが、縦横それぞれ約60cm×75cmのこじんまりしたサイズの絵である。


建築物としては構造上成立不可能であるとしても、絵であれば成立する。
それを説得力たっぷりに雄弁に示したのがこの「バベル」か。
ことばで創られた「バベル」はことばが崩された時点でもう立ち行かなくなる運命であった。
永遠に放棄された異次元に通じるハイパーな器の妙。
(ガウディはいつかは完成するが、この塔はわれわれの次元では構造が成り立たない)。

である為、内部の異次元空間に強く魅せられる絵でもある。
ディテールがひたすら細やかに描きつくされているというだけでなく、窓は全て異なる形状であり、夥しい人は誰もがそれぞれのドラマの中を活き活きと生きている。
その微細な描写と動きが秘めたる闇の生活空間にわれわれを誘う。
外の歪んだ円筒状の壁面には通路~廊下がある。
内部にもきっと幾つもの回廊があるのだ。
確かめる方法のない内部の神秘的で魔術的な魅力。
「内部」という夢想の楽しみに膨れた構造物とも謂えるか。

そこでは、きっとわれわれの世界では語られない秘密の話が囁かれている。

生前のことばが何一つ残っていない画家というのも、考えてみれば凄い。
これだけの画家のことばが、何処にもひとつも記録されていないのだ。
ますますブリューゲルを取り巻く秘密の霧が深まる。
いや、極めて晴れやかでシンプルな事態なのかも知れない。


「子供の遊戯」などを観ると、ことば以上の饒舌さが存分に窺える。
敢えてことばなど残す必要もなかった。
この絵には中心などなく、ただ様々なディテールが空間を埋め尽くすように息づいている。
ある意味、バベルを平らに幾何学的に変換した姿か。
これもあるし、あれもある。その面白さを優劣付けずにひたすら拾い上げてゆく楽しさで一杯だ。
実は内部もそれを超越的に窺う神もいなかった。
そのような教育的~宗教的な視座はなかった、、、。

Bruegel002.jpg

ルネサンス的な主題性から救われている。
そこが何より大きい。
彼にとっての絵画制作がそもそも「子供の遊戯」であったか。
だから面白くて興味の尽きない絵画であるのだ。

彼の作品は明らかに寓意性の見て取れるものが特に後期に見られるようになるが、観念的な説明のない博物画的な作品に大きな魅力を感じる。
ただ面白い。
「面白くっても大丈夫」(南伸坊氏)なのである。



なお、この記事は、今開催されているブリューゲル展とは何の関係もない。
まだわたしは会場には足を運んではいない。
暑くて外に出ると溶けてしまう。
アイスクリームを食べながら画集などを眺めて、思いめぐらしているだけである(笑。


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