PICKUP
ザ・ミスト
トラウマ ~乖離 ~Mental Breakdown
末期の目
美しき冒険旅行
レヴェナント: 蘇えりし者
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
シャイン
トイレのピエタ
カッシーニ グランドフィナーレ
ゴッド ファーザー
それでも恋するバルセロナ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
魔術師
ブラック・スワン Black Swan
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
LUCY ルーシー
ミツバチのささやき
娘ふたりと女子美へ☆彡
父 パードレ・パドローネ
写真についてーⅡ
去年マリエンバートで
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

国際児童画展2017‐Ⅰ

19thBiennia_catalogue.jpg

この展覧会にはわたしは行けなかったのだが、長女が図録を持ち帰ってくれたので、サラッと観てみた。
88か国から25000人ほどの規模で作品を集めたようだ。
審査員が遠藤彰子氏である。わたしの中学校の美術の教科書のお気に入り画のひとつが氏の絵であった。
「日常風景から作者が感じた喜びや感動といったものが、感覚的な鮮度を失うことなく作品に反映されており、私自身、作者が感じた胸の高鳴りと共鳴するかのような感覚を覚えました。また、創造というものの原点に触れることによって、自分の過去を追体験しているような感覚にもなり、遠い日に失ってしまったカケラの一部が、内面から呼び起こされるような不思議な感情が湧き上がりました。」
初期というものの持つ良い点であろう。
まさに初心を忘れるな、の最も説得力ある文章に思えた。
ちなみに、わたしが最も好きな娘の作品は次女が3歳の時に描いた鉛筆画で、今でも額に入れて保管している。
飛んでもない力強い筆跡のものだ。もう彼女らからはこんな面白い絵は出てこないと思うと寂しさは感じる。
この先、遡行的発想や技巧は難しいだろうな、、、。


バングラデシュ人民共和国の9歳の少年が「猫の家族」という絵で「大賞」を取っていた。
絵を描くのに3週間かかったが、描いているうちに元気になったという。
(長女は3時間で、いっぱいいっぱいであった)。
確かに絵を描いているときは、元気になることが多い。
何と言うか、描いていること自体、忘れている。
時間を忘れているのだから、疲労感もない。(そんな感じで長生きする人も少なくない)。
だが、寝る前にこれは凄いと思って眠りに落ちるが、明くる朝見ると惨めなほど落ち込むなんてことが何度あったか、、、。
(わたくし事であるが)。

これは木炭画である。
木炭による素描というより、想像がかった作品である。いや想像画だ。
木炭と消しゴムで描かれた透明感のあるモノトーン画だ。
デカい親猫を真ん中に、3分の1くらいの小さな子猫がその両脇に同じように座っている。
背景の民家と前景の草花がまとまり過ぎる構図を崩し、止まった猫3匹をリズミカルな画面に捕えている。
猫を見ながら描いたのではなく、日頃見ている猫を想起しながら描いたことが分かる猫だ。
猫と描くが似ていることをつくづく面白く感じた。

「おどる人形」という作品も大賞だが図録の表紙にもなっている。
アメリカ合衆国の7歳の少年の絵である。
正直、これは凄い。
こんなもの見たのか?と思ったが。
家の近くにある店の空気を入れると伸びて抜けるとストンとなる風船人形らしい。
そういえば見たことあるような気もする。
だが、この絵だ。
赤~ピンクの強烈な胴体の折れ曲がった人形が、青い空と駐車場、それからグレーと黄色の建物を背景としてこっちを向いて笑っているのだ。
もう一息、空気が入れば、ピンっと固く立って画面から一瞬にはみ出て行く力に充ちている。
両腕と頭部に緑~補色の毛も生えており、こちらを驚かせて楽しませる人形なのだ。
きっと店の人気者だろう。
その想いを素早く、豪快にシンプルに捕えた動勢~緊張感のある絵である。
これは良い絵だ。

外務大臣賞
「向こう側にはより良き世界がある」
スロベニア共和国11歳女子。
わたしは題名を見ずに、その絵を一瞬見た時、ビーチバレーを楽しんでいる人々かと思った。

だが極めて政治性~思想性の高い絵であった。
この年齢で世界に開かれた問題意識を持っている。
それを強いる情勢下に住むところから来る必然もあろう。
よく見れば、まさにそういう絵であった。
「、、、途切れないたくさんの難民の列が、わたしの国を含めたヨーロッパを通過してゆきました。それは昼も夜も、そして老人も子どもも、家族全員でした。いくつかの国は国境をフェンスで閉ざしました。わたしは、移民や難民の人たちの苦しみを忘れないために、彼らの姿をコラグラフで表現しました。」

コラグラフは、よく木版などに、紙などを貼り付けたりジェッソなどのアクリル系を塗ってマチエールを加え、プレスやバレンでこすりとる、凸版の版画である。基本はコラージュのように版木に様々な素材を貼り付けたり塗りつけたりして刷る版画を指すが、木版と併用する場合が多い。
この少女のものは、様々な異素材の(重層的な)貼り付けで複雑にモノトーンで作り込まれている。
これは、重い。フェンスが無慈悲に人々を分け隔てしている。
表情も腕の動きも緊張し強張っている。
そう、楽しさや安らぎからは遠い世界の一幕だ。
ビーチバレーではない。が、きっとわれわれの感覚で題名を見ないと、そう見てしまう絵でもある。
見ておくべき絵であった。

関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

*当サイトはリンクフリーです。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
最新トラックバック