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GOMA28

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悪魔の手毬唄

temari001.jpg

1977年

市川崑 監督
久里子亭 脚本
横溝正史 原作

石坂浩二 、、、金田一耕助
岸恵子 、、、青池リカ(亀の湯女主人)
若山富三郎 、、、磯川警部
仁科明子 、、、別所千恵(人気歌手)
北公次 、、、青池歌名雄(リカの長男)
永島暎子 、、、青池里子(リカの長女)
渡辺美佐子 、、、別所春江(千恵の母)
草笛光子 、、、由良敦子
頭師孝雄 、、、由良敏郎
高橋洋子 、、、由良泰子(歌名雄の恋人)
原ひさ子 、、、由良五百子
川口節子 、、、由良栄子
辰巳柳太郎 、、、仁礼嘉平
大羽五朗 、、、仁礼直太
潮哲也 、、、仁礼流次
加藤武 、、、立花捜査主任
中村伸郎 、、、多々良放庵
大滝秀治 、、、権堂医師
三木のり平 、、、野呂十兵衛


確かに日本映画であるが、特定の国~場所を超えた独特の質感と肌触りである。
古くからの因習に縛られた日本の邑でありながら何処か日本から浮遊している。
(ワイナリーなど、特に無国籍風であった)。
由良家と仁礼家の対立とか、狭い共同体からくる閉塞感は半端ではないが、そこをかつて横断した「性」が不気味で陰惨な芽を残したことで起きる芝居がかった連続殺人。
だが、それはとても静かに昼でも夜でもない黄昏時に起きる。

この薄明~トワイライトの世界の湿った情感に浸ると、、、。
観終わった後のずっしりした爽やかさがやってきた。
石坂浩二、岸恵子、若山富三郎の主演3人がこの独特の世界観を充分に表現していた。

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外の世界からやって来た探偵、金田一耕助と20年来邑に潜在して事件の真相を探り続ける磯川警部との合流により、伝承の息づく歪んだ時空「鬼首村」の時効となった殺人事件からまた新たな展開が産まれる。
禍々しい女性殺人が連鎖し、邑に再び悲劇が沸き起こるのだ。

この物語の特筆すべきところは、「恩田」という常に流れの底にいる詐欺師と呼ばれる男がどんな形であっても一度も姿を現さない事である。主役トリオに反転する形で常に中心にい続ける恩田が不在ということで物語の構造を作っている。
そして、その恩田の「性」による横断~圧倒する交通量と2つのペルソナの使い分けである。
この「性」は、恰も民俗学的な伝承か神話にあるような「性」の事件に思える。
その「性」の受け容れ方が様々であり、二つのペルソナが一つであったことの衝撃から最初の殺人が発生する。

23年前の殺人事件と新たな連続殺人の繋がりが徐々に見えてくる。
恩田の足取りを辿りつつ、数少ない情報~写真を追う金田一。
と言っても、割と序盤に犯人は察しがついてしまう。
「手毬唄」は、さほど重い関りはない。その歌に則って殺害現場を演出する必然性はなく、犯人の捜査目くらましか趣味のレヴェルである。
お婆ちゃんがそれを唄う為だけに、二度ばかり出てくるが、そのシーンだけが何故か浮いている。

活動弁士の職を得ていたリカの夫、青池源治郎(彼も一度も画面に登場しない)と恩田が何と同一人物であることが明かされる。
いよいよ弁士が時代の趨勢から消えてゆく運命であることを知り、源治郎は恩田として邑に戻り、詐欺と複数の女に自分の子供を作る生活を始める。
それを最初(23年前)に知ったのはリカであり、そこから事件が起きた~始まったのだ。
恩田に殺された源治郎というフィクションが暴かれる。
そして、殺人事件の真相を知ってしまった里子が母を止めるためか、千恵の身代わりとなり殺されてしまう。
(自ら愛娘を手にかけてしまった)。
彼女は夫と夫が他の女に産ませた娘たちが許せなかった。

一途なリカへの愛情から、彼女を忌まわしい過去の記憶から解き放ちたい一心で、金田一の助けを借りて真相を突き止めた結果が磯川にとり、究極の皮肉な事態を引き起こしてしまう。


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犯人探しとかどんでん返しのトリックを楽しむというより、女の情念や怨恨の深く湿った情景を味わう映画である。
音楽もとても情景に合った、美しい映画であった。

石坂浩二の飄々とした人間を探求する眼差しに支えられた捜査の姿勢。
若山富三郎の秘められた愛情に基づく執念の捜査の姿。
岸恵子の哀しい女の性と情念。
この三人の懐の深い演技だけで、この映画を重厚なものにしていた。
更に加藤武、大滝秀治、三木のり平の脇を固めるキャストの堅実でコミカルな演技。
仁科明子、北公次が凛として瑞々しい風を送り込み、そしてベテラン草笛光子が引き締めていた。
『モロッコ』の終盤がかなりの尺で見られた。
これを境に活動弁士が廃業に追い込まれる、象徴的な作品であったという。


これは、間違いなく小津や溝口の作品に引けを取らぬ名作だと思う。

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