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ダーク・プレイス

Dark Places

Dark Places
2015年
アメリカ

ジル・パケ=ブランネール監督・脚本
ギリアン・フリン『冥闇』原作、、、「ゴーン・ガール」の作者でもある。

こころの闇、、、


シャーリーズ・セロン、、、リビー・デイ
ニコラス・ホルト、、、ライル・ワース(殺人クラブオーナー)
クリスティーナ・ヘンドリックス、、、パティ・デイ(リビーの母)
クロエ・グレース・モレッツ(年老いてからアンドレア・ロス)、、、ディオンドラ・ワーツナー(ベンの恋人)
タイ・シェリダン(年老いてからコリー・ストール)、、、ベン・デイ(リビーの兄)

暗い画面の多い重苦しい映画であった。
噺はよくできていたが、「ゴーン・ガール」ほどのインパクトはなかった。
だが、見応えは充分あるよくできた映画だ。
リビー・デイの苦悩と彷徨と覚醒の物語である。

シャーリーズ・セロンのうらぶれた姿がずっと続くが、最後に本当の自分の生を生きなおすことができる、、、
希望の光の窺えるシーンで終わる。


8歳の時(1985年カンザス州の小さな町で)、一家惨殺事件(母と娘二人の殺害)に巻き込まれリビーはたったひとりあとに残される。
幼いリビーの証言もあり、犯人は兄のベンとされ、刑務所に服役し28年目を迎える。
1980年代当時のアメリカの農業不況は壮絶なもので、多くの農民が苦しみに喘いでいた。


リビーは定職に就かず、自堕落な生活を送っている。
人との接触を極端に嫌い、孤独に生きてきた。
幼い時の外傷経験の大きさを物語るものである。
善意の支援金や母の保険金や自伝の印税のお金も底をついたある日、「殺人クラブ」からの手紙を手にする。

そのクラブは、過去に起きた殺人事件を検証し直し、真犯人を見つけ出すことを目的としており実績もあげている。
リビーはクラブオーナーのライルから事件の重要な証言者として協力を依頼される。
金に困窮していた彼女はそれを引き受ける。今さら働く気力もないし、スキルも何も身につけていない。
他にどうすることも出来ない。

クラブのマニアックでディープな雰囲気は一種異様であったが、ずっと詳細に緻密に事件を追い続けてきたメンバーは、皆ベンの無罪を主張していた。しかし、まだ決め手に欠けるのだ。
事件の真相を突き止めるには、彼女自身が当時の家庭の真実にしっかり目を向ける以外になかった。
ベンも再審請求など出したことがなかったこともあり、彼女はひたすらそこから目を背け続けて生きて来たのだ。
その姿勢が彼女の荒廃した生活ぶりとして表れていたと言えよう。

「殺人クラブ」は、一言で謂えば完全にオタクの集合体である。
その為、集めている情報も半端なものではない。
リビーはその分厚い独自捜査資料に目を通しながら、とても兄が殺人など犯す人間ではないと思う。
では何故、兄は控訴もせず28年間に渡り沈黙を守って来ているのか、、、。
また、それが冤罪だとすれば、8歳当時混乱していたとは言え証言者は自分である。

真相に向き合うことの重さは、こちらにもひしひしと伝わってくるものだ。
だが、彼女は最初は金のため引き受けた事件の洗い直しへの協力であったが、自ら疑問を解決する為に捜査にのめり込んでゆく。彼女の中に思い出の断片に対する意味を求める問題意識が沸き起こってきたのだ。
何故母親はあの夜ベッドに入ったわたしに対して「愛しているリビー。あなたをこころから愛している。忘れないで、、、」と念を押すように囁いたのか。

今現在の動きと、8歳当時のその夜の光景が絶妙に交錯して、こころに引っかかっていた疑問が解けて進んでゆく終盤は秀逸であった。リビー・デイの”Dark Places”に徐々に光を当ててゆく、非常に優れた演出である。

彼女の母パティはとても真面目で愛情深い優しい女性であったが、女手一つ(さらに別れた夫は賭け事で負けては金を無心に来る)で農場を切り盛りすることは、当時の社会情勢からいって不可能であった。
息子ベンの悪魔崇拝も世間に知れ、様々な誹謗中傷を受ける中、彼女は最後の手段をとる。
自殺を他殺のかたちで請け負う業者に仕事を依頼してしまうのだ。(そのケースはかなりの数にのぼっていたという)。
彼女が書類にサインと遺言を書き、それは実行されたのだが、、、
間が悪く、その夜にたまたまベンの子供を身籠もった恋人ディオンドラが駆け落ちの為にその家に居合わせてしまった。
彼女は二人の素行のことなどいつも陰口を言い触らしているベンの妹ミシェルと言い争いとなり思わず手にかけてしまう。
ベンはそのディオンドラを逃がし、彼女の(ふたりの)子供を守るため、口を閉ざして服役することを選んでいたのだった。

ディオンドラは必ずリビーに見つかると、ずっと以前から言っていたらしい。
「人間は例え正しいことをやろうとしても間違えることはある。」
この絡みで縺れ進行してきたのだ。

全てが明かされ、事件から漸く解かれ彼女は、普通に生きてゆく気持ちが芽生える。
許すことで。
「普通の人生が今、やっと始まった、、、」
エンディングの音楽がとてもマッチしていた。


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