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サイレント・ランニング

Silent Running001

Silent Running
1972年
アメリカ

ダグラス・トランブル監督

ジョーン・バエズ「リジョイス・イン・ザ・サン」音楽

ブルース・ダーン、、、フリーマン・ローウェル
ドローン1(デューイ)
ドローン2(ヒューイ)
ドローン3(ルーイ)


ロボットが独りで誰もいなくなったドームで植物の世話をしているといった光景は、既視感というか郷愁を感じさせる。
J・Gバラードの小説などにもこのような光景をたびたび観た記憶がある。
「天空の城ラピュタ」のロボットも忘れ難い。
「結晶世界」誰か映画化しないのだろうか?きっと凄まじい傑作SFができると思うが(誰に頼むかの問題だが)。
おバカSFばかりでは、ちょおっと寂しい。
ジョーン・バエズも興味ないなあ、、、。


最近のまともなSFと言ったら、インターステラーオブリビオンオデッセイエクス・マキナくらいか、、、。

”Silent Running”という映画があることは、知っていたが特に見る気もなくそのままでいた。
今回、BSの録画でたまたま見てみた。

生物学者が、植物の不調に際し、日照状況に気づかないということがあろうか?
(最初からそれら全ての諸条件を完全に取り込んだ装置でプログラミングされた管理がなされているはずではないのか?)
光に関しては観葉植物の鉢植えの世話など一度でも経験した人なら、素人でもまず気にする要素だ。
この博士とこれまでの研究に根本的な疑問を投げかける摩訶不思議な部分である。

ロボットが極めて初歩的な歩行型作業ロボットに見えるが、プログラムカードの差し替えで、船体メンテナンス、人の足の手術、カードゲーム、更には仲間同士の何やらコミュニケーションまでとっている、というのはその形体からしてもあり得ない。
特にあの「手」である。巧緻性などまずない。
このロボットの二本のカギ爪で複雑・繊細極まりない作業をどうやってやるのか?
しかもプログラムの差し替えで動くロボットである。
自立系AIですらまだまだ遠いコミュニケーションなどどうやって可能としているのか。
ロボット同士で意思疎通なんて200年は早いわ。
はっきり言ってかなり出来の悪いロボットだ。それだけのことをさせようとするなら、鉄腕アトム(ATOM)くらいのを出してもらいたい。

あのドーム内の電力の供給もあり得ないもので、どこからあれだけのエネルギーを得るのか。
しかも場所が土星近辺ときている。
太陽エネルギーなど全く見込めないが、本体と切り離されてもそのほぼドームだけといった形の、何処かに原子炉が備えられているのか、、、。どう考えても構造上本体側になければおかしいであろう。
ドーム側では、あったとしても太陽光パネル程度だろう。しかし宇宙空間のその位置において設置意味がない。

植物も実を付けたものを食べるところまで出来ており、もう地球に持って帰ってそれをどう根付かせ増殖していけるかのレベルではないか?そもそも実験ドームの中にこんもりした林まで作ってどうするのか?
そんな増殖(幻想も含め)をする前に、研究実験の詳細なデータのやり取りがしっかり当局との間でなされ管理されてきているのか?
その場所を人類の住処とするような巨大な空間~宇宙コロニーとするというのならともかく、単なる大きめの実験室であろう。
動物との共存形態も研究しているのか、、、ウサギやカエルまでいるが。それは地球にまず植物を繁殖させてから後の問題であろうに。
どうも研究テーマがはっきり見えてこない。単なるフリーマンのフリーな趣味のレベルとしか思えない。


宇宙空間に長いこといればそりゃ退屈だし、ジャングルみたいなものが作れればそりゃ楽しかろう。
いずれにせよ、そこを恒久的な環境としてずっと維持しようとする発想が分からないし、そんな自由がそもそも与えられているのか。
もう取り憑かれている。
実験結果のデータや成果のサンプルやらを持って一刻も早く帰還して、母体の地球を何とかすべきではないのか?
目的はそもそもそれではないのか?
土星近辺でわざわざ行ってきたその8年間の研究自体が、どういう意味をもつものなのか、説明があってほしい。

肝心の地球環境が飢えも病気も職業の心配もなく、何処もぴったり24℃に設定されているという環境の状況、納得できるメカニズム~システムの説明もなければ困る。わたしはこんな世界歓迎だが。(ほとんど霊界を想わせるとは言え(笑)。
それとの対比で、この宇宙植物実験施設の意味合いや価値が明瞭となり、われわれもその世界間の軋轢や理想や展望について思いめぐらせる余地が生まれてくるはず。

どうもなにやらはっきりしない。
凝ったガーデニング趣味に取り憑かれたフリーマンの妄想を描いたホラー映画という位置付けなのか?
また同乗する3人のクルーがほとんど何かの専門家には見えない連中であったが、何のために乗っているのか?研究者でもなく似たような妄想癖もなければ、フリーマンの趣味に8年間付き合わされては到底やってられないだろう。
盆栽趣味でもあれば、一緒に楽しめるところだろうが、そんな感性の感じられる連中ではない。
彼らとしてはさっさと退却したいはずだ。

変わった映画だ、、、。

ともかく、フリーマン(どうもわたしの贔屓しているモーガン・フリーマンとこんがらがる)は、自分の育てた植物園が破壊処分されるのが許せないのだ。そりゃ、8年間手塩にかけて育てた世界が無慈悲に宇宙のチリとされるとあっては、頭には来よう。
しかし、それよりもまず、当局に(クライアントに)要求された研究成果はあげられたのか、なのである。
問題はそこのみである。それが明瞭に語られない点がこの映画の致命的な点と言える。
期日までに成果が上げられなければ、法的な契約問題も含み、普通それまでである。
破壊・帰還命令が出るということは、明かされぬにせよそれなりの理由もあるだろうし(政治・権力の面からも、、、それだけかも知れぬが、、、珍しいことではない、ゴルバチョフによるソビエト連邦版スペースシャトルの航行中断もまさにそれである)せめて個人レベルで許される範囲で、役に立ちそうな苗でも持って素直に帰還すべきであろう。
別に船員がゲス野郎であっても殺すほどのものでもない。

恐らく宇宙空間に長く滞在するうちに、理解者のなさや何やら研究が圧迫されていることからくる被害者意識で妄想が膨らんでいたところに、研究打ち切り命令が来たため一気に暴走とあいなった、というところか。


テーマは、宇宙空間における孤独な存在の内に巣食う妄想の肥大と爆発である。
文字通り爆発して終わり。
切り離されたドームに植物に水をやるロボットが一体。であるが、、、。
後は、多分土星周回軌道上に吸収されて細かい輪っかを構成するチリの一部として周回する運命だろう。



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