グレートレース

The Great Race
1965年
アメリカ
ブレイク・エドワーズ監督
実際に行われた”1908 New York to Paris Race”を原案としているという。
ナタリー・ウッド 、、、マギー・デュボワ(新聞記者)
トニー・カーティス 、、、レスリー・ギャラント三世(著名なスタント・パフォーマー)
ジャック・レモン 、、、プロフェッサー・フェイト(博士)
ピーター・フォーク 、、、マックス・ミーン(フェイトの助手)
ドロシー・プロヴァイン 、、、リリー・オーレイ(歌姫)
キーナン・ウィン 、、、ヘゼキア・スターディ(レスリーの助手)
昔こんな風なアメリカTVアニメがあって、ボヤっと見ていた。
”チキチキマシン猛レース”だったか、、、この映画より後の放送であったから、結構参考にしていそうだ。
毎回、レースをするだけの番組。
優勝者も毎回違う。
始まって終わるのが、レースの開始からゴールまでというシンプルさがよかった。
この映画も特に何がある分けではない。
フェイト博士の改造車が車高が異常に高くなるところは面白いが、その他は大砲を備えているくらいである。
しかも抜きつ抜かれつの白熱レースと言う訳ではない。
レースそっちのけで、あちこちでパーティに招かれては事件に巻き込まれ、ギャグ調の大暴れを繰り広げるばかりなのだ。
間抜けなフェイト博士の助手を刑事コロンボがコミカルに演じている(笑。
笑うしかない基本に忠実なギャグが散りばめられている。
古いが、ツボは抑えている。
腹を抱えての大笑いではなく、生理的にクスっと笑ってしまうものが多い。
ただ、マギー・デュボワたちのウーマンリブ運動はちょっと煩いし、あからさまなアメリカ万歳も白けるところか。
その辺は、こんなに強調(誇張)して話に盛り込む必要はないと思われる。
無論、これもギャグの内ではあるが、どれほどの意味があるのか。
寧ろ、ヒーロー、レスリー・ギャラント三世対アンチヒーロー、プロフェッサー・フェイトの競争だけに絞った方が面白いのではないか。
最初の気球や飛行機、ボートなどのコミカルな演出はとても面白かった。
あれを延々とやり続けるのは流石に無理だろうし、その後アメリカ~パリ間のレースで決めるというのは、よいと思ったが、その展開はやはりチキチキマシンスタイルで行って欲しかった。
パーティで延々と殴り合いをしたり、北氷洋での流氷の上で立ち往生したり、ロシアの宮廷での陰謀に巻き込まれるところなど、ちょっと寄り道が多すぎるというか、そちらのナンセンス・エピソード主体で「レース」の面白さスリリングさなど微塵もないところは凄く残念であった。
尺の長い寄り道エピソードにしてもさほど面白いと言う訳でもなく、見た後ですぐに忘れてしまう程度のものだ。
パイの投げ合いなど、もうどれだけ観てきたことか、、、
辟易する。
いづれにせよ題は変えたほうがよい。
全く期待に反したものであった。
それに映画の尺が長すぎる。
「八十日間世界一周」にも似た感覚であった。この映画は1956年上映であり、この映画の影響は受けているように思える。
ただ尺の長いことは、マネしないで欲しい。
短く圧縮できるところは、是非ともしてもらわないと。
後の短いTVアニメ”チキチキマシン猛レース”の方が、ずっとそれらしい。
長い時間をかけて観終わり、全体として面白いとも何とも言えない印象であった。
ナタリー・ウッドが水辺でギターの弾き語り(The Sweet Heart Tree)するシーンなどは僅かながら良いなと思えるところであった。
これから観る映画ではないな、と思う。
笑いの装置においても、何にしても感性における「古さ」を感じた映画であった。

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