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楽園追放 Expelled from Paradise

Expelled from Paradise

20141年
水島精二監督
虚淵玄脚本

                                        声        
アンジェラ・バルザック(電脳世界で活躍するエリート官僚)、、、 釘宮理恵
ディンゴ (肉体をもった人間であり仁義を重んずるアウトロー)、、、 三木眞一郎
フロンティアセッター (自立系AIとして自意識~自我をもつに至る)、、、、神谷浩史

二極化した世界の狭間にもう一つの際立った系が潜在しつつ進化を極めていたという構図である。


設定としては、特に目新しさはなく、、、
ナノハザードという120年前の人類による自然環境破壊によって地上は荒廃を極める。
(ナノマシンはこれから発達が大いに見込まれている。その暴走が起きれば壊滅状態を招くことは想像しやすい)。
工業技術、特に半導体などの精密機器製造は衰退し、地上に残された人類は文明から遠ざかる。
これは文明に大きな打撃を被った地上を描く未来映画・小説の多くに見られるオーソドックスな光景である。
人類のほとんどはディーヴァという電脳(情報)生命体としてVR空間に移行する。
しかし演算リソースは有限であることから、ここでも階級関係は厳然と存在する。
寧ろ、肉体をもって生活するリアルワールドにおけるよりも、徹底した管理統制社会である。
演算リソースの取り合い競争は、電脳生活の質を一義的に左右する。
VR空間において功績を上げられない者はアーカイブ圧縮され、処理されてしまう(酷。
二極化しているとは言え、双方ともデストピアといえよう。
であるからそのどちらも見限り、解放されようとする知性の系も発達する。
(結局、彼フロンティアセッター~AIが地球人の末裔として、古いロックナンバーを奏でながら外宇宙へと脱出する)。


新しさはないが状況描写のディテールの緻密さは高い完成度をもっている。
その世界観は圧倒的に濃密だ。
しかしお決まり?の美少女ヒロインによって萌え系に昇華し、テーマの重みと救われなさを緩和している。
お尻が強調されたキャラであった為、実写となればヒロインは内田理央となろう(決。

エリート官僚であるアンジェラは、フロンティアセッターの当局ネットワークへのハッキング阻止をするため、またその実体がディーヴァを脅かす力をもつ可能性があればそれを破壊する目的で、マテリアルボディに同化し地上に送り込まれる。
アーハンというガンダムのような戦闘スーツを操って闘うアクション装置もしっかり備えた映画だ。
地上で初めて彼女は、疲労と病気を知る。
まさに身体をもって。
そして、同じく肉体をもった(優秀な知性をもっていても肉体は捨てない)ディンゴという他者との関り、コミュニケーションを体験する。 
不快感も体験するが、気づきと共感と仁義もディンゴの影響で知る~体験することになる。


ナノハザード以前、ディーヴァの形成される前から着々と進化を進めてきたAIフロンティアセッターの存在はこの映画の肝であろう。
この系のない未来デストピア映画はやたら多い。
それだと基本的に、二極間闘争~戦争で終わるアクション娯楽映画の流れとなる。
構造は西部劇と変わらない。
(大概、管理の徹底と残虐性をもつ電脳VR知性体と迫害を受ける肉体のままの人間との対立で、人間側に感情移入を促し、最終的にレジスタンスが成功するというような陳腐な構図に陥りがちだ)。

ここではヒロイン、アンジェラ・バルザックの自己解体が行われる。
それは、現地オブザーバーであるディンゴとの衝突を通して自明性と確信が揺らぐ過程で、何より身体を持った思考に覚醒するところが小さくない。
そして第三系のフロンティアセッターに共感する、と同時に自分が盲目的に拠り所としてきたディーヴァというパラダイムから外れる。
これは文字通り、自分の身体で行動、調査しそれをもとに思考し導き出した確信を真っ向からディーヴァ当局から否定され排除された結果~事件の衝撃と消沈にもよるところだ。
彼女に残された道は、地上での生活を選ぶか、フロンティアセッターと共に外宇宙に飛び出すか、であった。
(ディーヴァにはすでに地球外に出るという発想自体がない。人はおおかたメモリー上の存在と化しているから、場所と食料事情は生じない)。

アンジェラは、離陸前の、フロンティアセッターに誘われるが、地上に暮らすことをギリギリで選択する。
きっとディンゴに言われた音楽~サウンドを骨で感じるという音楽の味わい方を知りたかったのだ。
もともと彼女は率直で好奇心旺盛な性格である。
「まだまだ、知らないことが多すぎるから、ここに残ることにする。」
ディーヴァの軍が次々と襲ってくるのを迎え撃ちながら、ふたりして外宇宙に飛び立って行く(地球代表の)フロンティアセッターのロケットを見送る。感動した。
(ここのシーンを尺を取ってじっくり見せるところは、「遠い空の向こうに」を想わせとても感慨深い)。


フロンティアセッターとディンゴの音楽の趣味が合い、二人でセッションするところは面白かった。
AIが自我を獲得すれば、そんなこともあるのかも知れない。
自我を獲得したかどうかが、そこで分かるとも謂えるか、、、。


よく出来たアニメーション映画であった。
やはり日本映画はアニメーションだ。
(そう、つくづく感じた)。

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