スプラッシュ

Splash
1984年
アメリカ
ロン・ハワード監督
ダリル・ハンナ、、、アラン・バウアー(青果会社経営者)
トム・ハンクス、、、マディソン(人魚)
ユージン・レヴィ、、、ウォルター・コーンブルース(生物学者)
ジョン・キャンディ、、、フレディ・バウアー(アランの兄)
この作品リメイクの噂もある。が、これ程の人魚劇がまた観られるのだろうか?
ブレードランナーを観た後に直ぐに観た記憶がある。2年後の作品であるから、そんな感覚であろう。
レプリカントのプリスであったダリル・ハンナがここでは人魚である。
人魚の映画は、わたしはこれしか観てはいないが、まさに人魚そのものである。
人魚そのものなど知ろうはずもないが、恐らく理想~イデアの人魚がここにあるという感じだ。
ダリル・ハンナ見事に自然である。
この映画、ダリル・ハンナの魅惑の人魚に尽きる。
とても若いトム・ハンクス~アランもいる。
一癖あるなかなかいい奴であるコーンブルースや兄のフレディもいる。
中心となって動くのはそのくらいで、素早い展開で最後まで進む。
アランは幼いころ、海にいる彼女に魅せられ一度客船のデッキから飛び込んでいる。
かなづちでも彼女と一緒なら水中でも苦しくないのだ。
そこで彼女と(運命的な)ひと時をほんの一時過ごすが、すぐに救助(引き離)されてしまう。
アランはその頃のことなどすっかり忘れて日常生活に埋没して生きている。
そんなとき、あれから20年の時を経て、彼らは自由の女神の下で鮮烈な再開を果たす。
アランが落とした財布にあった住所を、海の底の難破船のなかの地図をみて確かめるというのは、ちょっとそれはないが。
突然、天涯孤独の想いに酔っていたアランの目の前に恋人が現れたのだ。
アランの落とした財布を手に持っていたため、警察から彼に連絡が行ったのだ。
この時点では彼女は何語も喋れないし、地上の知識は何もない。
だがしかし、彼女は彼に会いに来たのだ。
逢う前からの運命の恋人として。

人魚にとってみれば、最初から彼目当てで陸に上がってきたのだが、アランは彼女については何も分からない。
しかし彼女は、TVなどを利用し脅威的な学習能力で、言葉を覚えてしまう。
(その後なら、地図を読んでやって来ても不思議はないのだが)。
ただ、無邪気で明るく見えるマジソンにどことなく哀愁の陰りがあるのは、地上で過ごせる期限が定められているからだ。
次の満月まで6日しか残されてはいなかったのだ。
せめてその間を楽しく精一杯過ごしたかった、、、。
つまりわれわれは最後に大きな決断を彼らが迫られる予感にハラハラしながらの鑑賞となる。
兄フレディや最初は冷酷に見えたが結構優しく間の抜けているコーンブルースらのコミカルなシーンで随時笑わせながらも、運命の瞬間が迫ってくることを知っている。
まあ、よくある話ではあるとは言え、人魚の所作や体の性質からくる行為やちょっとした仕草が実に自然で可愛らしくて上手い。
ただの秘密を抱えつつ健気に生きる普通の女性のラブロマンスとは、また違う趣きがある。
最終的には、マジソンを研究材料としか見ない御用科学者から彼女を奪還し、海に無事に戻して別れようとするのだが、軍がヘリや潜水隊を繰り出し執拗に彼女を追い詰めてゆき、心配でならない。
一度行ったら戻れないということを聞き自分は残るつもりでいたが、彼女を放ってはおけない。
彼女への愛情が全てに勝り、かなづちのアランは、果敢に海に飛び込んでゆく。
だが、マジソンに抱きかかえられてから、全く苦しさもなく一緒に軽やかに泳げるのだ。
もう、ふたりとも二度と地上には戻れない運命だが、とても幸せそうなのであった。
大変、説得力あるエンディングである。
わたしもこういう展開なら喜んで受け容れるところだろう。
(陸から海に戻って行った哺乳類も何らかのラブロマンスがあったのかも知れない)。
カテゴリー的には「天使とデート」と一緒のものだと思う。
ファンタジーだ!

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