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ヒストリー・オブ・バイオレンス

A History of Violence001

A History of Violence
2005年
アメリカ・カナダ

デヴィッド・クローネンバーグ監督
ジョン・ワグナー原作

ヴィゴ・モーテンセン、、、トム・ストール(ダイナーの店主)
マリア・ベロ、、、エディ・ストール(トムの妻)
エド・ハリス、、、カール・フォガティ(トムのかつての仲間、マフィア)
ウィリアム・ハート、、、、リッチー・キューザック(トムの兄、フィラデルフィア・マフィアのボス)
アシュトン・ホームズ、、、ジャック・ストール(トムの長男)
ピーター・マクニール、、、サム・カーニー保安官

「イースタン・プロミス」でも監督とタッグを組んでいたヴィゴ・モーテンセンがここでもバイオレンスと絶妙の心理表現で魅せる。
相手の女優も何故かナオミ・ワッツ似のマリア・ベロという人である。
やはり物語は凄味のあるマフィアものだが。
この感じの主役の組み合わせが、監督(この映画)にとってジャスト・フィットなのか。


乾いたバイオレンス感覚で迫る映画であった。
強面の俳優が次々に出てくる迫力もあり、それだけでもワクワクする。
(マフィアものである限り、やたら怖い人が続々と出てくると嬉しくなるものだ)。
最初に出てくる二人組もかなり、残虐で肝の据わったコンビに見えたが、よりによってトムのダイナーを襲ったため呆気なく射殺される。彼の見事な銃さばきで、、、。
ここでは、トムは一般人の犯罪に巻き込まれた素人という扱いで、新聞メディアでその活躍をひたすら称えられる。
家族も、よかったねお父さん、というところだ。

だが、見るからに怪しく凶悪そうなトリオがその後、何度も接触して来ると家族の間に父の隠してきた過去対する不安が次第に立ち込めてくる。
彼らが父を昔の名前~本名?で呼び、馴れ馴れしくしてくるのだ。
勿論、トムはきっぱり否定し、誘いを断り続けるが、、、。
妻エディと娘がデパートで買い物中にも彼らは接近して来て不吉で意味ありげなことを言う。
エディは法的な措置はとるが、何とそのトリオは、家にまでやってくる。
信頼していた父に対する疑心暗鬼が強まり家庭は不安定な状況に陥って行く。


バイオレンスとともに家族の絆の微細な揺れ動きの感触が細やかに描きこまれる映画なのだ。
長男のジャックの複雑に揺れる心情の演技がとてもよい。
トムのダイナー店長としてのジェントルで繊細な雰囲気と豹変して闘う姿勢のタイミングも見事であった。
カール・フォガティと他二名のマフィアはかなりの貫禄と大物振りをみせていたが、父の危機一髪の際、いじめっ子を撃退し逞しくなった息子に助けられる。息子のライフルが、フォガティを撃ちぬいてしまう。
少し前までのジャックからは、想像しがたい姿だ。
息子の前で、トムが過去の自分をオーバーラップしたありのままの姿を見せたシーンの壮絶な表情が一番印象的だった。
ただ、これが俺だ、という、あからさまで余りに生な凄い表情であった。
息子ジャックの受け止めきれないが受け容れるしかない、と悟る表情が彼の立たされた状況を雄弁に物語る。


妻のエディは度々のマフィアの接触を通して、トムに対し不信感を募らせ、批判的で冷たくなっていた。
息子も一度さらわれて怖い思いもし、大いに揺れているが、、、。

トムはついに、フィラデルフィア・マフィアのボスである実の兄に呼び出される。
だがそこで、トムはかつてのキューザックに戻り本領発揮する。
兄のアジトで殺害されかかるが、返り討ちにして無事に帰宅する。
食卓では、すでに妻と息子と娘が食事を始めていた。
黙って幼い娘が、父の皿を用意してくれ、彼は静かに憔悴しきった表情で食卓につく。
すると、息子がパンを差し出す。
エディが彼の顔を真顔で見詰める。

A History of Violence002

ひとは、互いに本当の顔を見詰め合う時がくるはず。
あらゆるペルソナを外して。
余計な言葉はひとことも発せず。

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