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フォーリング・ダウン

Falling Down001
Falling Down002

Falling Down
1993年
アメリカ

ジョエル・シュマッカー監督
エブ・ロー・スミス脚本

マイケル・ダグラス、、、ウィリアム・“D=フェンス”・フォスター
ロバート・デュヴァル、、、プレンダガスト刑事(早期退職を控えた)
バーバラ・ハーシー、、、エリザベス(ウィリアムの元妻)
レイチェル・ティコティン、、、サンドラ刑事(プレンダガストの若き同僚)


主人公D=フェンスは、ストレスに対する閾値が低い。
他人事ではない。
彼も小刻みに爆発している。
(わたしも最近は爆発ネタが増えた。思う存分、爆発予定は立ててはいるが)。
そしてその爆発を異常に怖がり、事前に回避しようとする元妻。
(警察も呆れるほどの自己防衛)。

それに対比して描かれるプレンダガスト刑事とその妻。
プレンダガストは、所長に腰抜け呼ばわりされようと、同僚に軽く見られ邪魔者扱いされようと、異常に高い耐性を維持している。
この情緒的安定具合はどうだ。
職場でこの状況で、家庭の妻はと言えば彼に対し過度な依存をしてくる。
仕事中にもしょちゅう電話をかけてきて夕食の買い物まで頼む始末。
それでも彼は平気だ。
人間ができているということなのか、、、。

プレンダガストこそ、まさにD=フェンスを追い込む刑事に相応しい。
冷静沈着で推理も利くし鼻も利く。
しかし投げやりでやる気のない事務的に何でも済ませようとする同僚刑事からは、厄介者扱いだ。


D=フェンスはまず、工事によるとんでもない渋滞にから暑さにやられ、車を車道に放棄して、「家に帰る」と歩き始めてから、彼にとって世界の全てが許し難いものとなる。(その工事自体、予算確保のために意味もなく行っている空工事であった)。

恐らくそれまでにも、歩きすぎて靴が壊れてへたり込んだり、小銭の両替を拒まれたり、売値の異常に高い店に憤慨したり、ケチなゴロツキに絡まれ、不法に金を請求されたり、ホームレスにしつこく金をせびられたり、ハンバーガーショップで、3分過ぎただけなのに朝食メニューを断られたり、出された現物が写真サンプルとは著しく異なるクソ不味いものだったり、靴を買いに行った店のオーナーがいかれたレイシストのおやじであったり、道を真っ直ぐ進みたいのに高級会員制ゴルフ場が邪魔をして大きく遠回りさせられたりなど、、、そしていくら電話をかけ、娘の誕生日を祝いたくても離婚した妻が頑として受け入れてくれなかったりと、、、。

そういった流れが一気に一日のうちに打ち寄せることだってあるだろう。
いや、これほどまではなかなかないだろうが、わたしにも近い経験はある。
しかし、彼の場合、最初に絡まれたゴロツキどもから銃器をしこたま奪い取ってしまったため、ことあるごとに発砲してゆくのだ。
そりゃあ、銃を持っていれば誰だって撃ちまくりたくなるのは人情である。
それで事は次第に大きくなってゆく。
もはや彼にとってはどうでもよい。
彼にとっての至上命題は、家に帰ること(だけ)なのだ。端からそう、なのだが、周りは動いてゆく。

両替をしないぼったくりの店でバットで暴れるくらいで終わっていれば、問題はなかったはず。
空き地で休んで靴の応急処置をしているところでゴロツキに絡まれ、それを撃退すると今度は銃を車から乱射してきた。運よく?弾には当たらず彼らは自動車事故を起こし瀕死の状態となったところから、D=フェンスは銃器を全て奪う。
一瞬、ラッキーに思えたがそこから彼は本格的に奈落の底に向かって落ちはじめることとなる。

レイシストのナチ趣味に染まったおやじに銃を突き付けられるが、逆に銃殺し、ハンバーガーショップでも威嚇射撃をしまくり(暴発もあるが)、電話ボックス(懐かしい)も銃で木っ端みじんにし、工事現場では、バズーガ砲をお見舞いする。子供たちが面白がって寄ってくるところは、実際にもありそうだ。彼は使い方を知らず、黒人の坊やが全ての扱いを教えてくれる(笑。

途中で、黒人のビジネスマンがこれまでずっと取引してきた銀行を不良債務者だと締め出されたことへの抗議のプラカードを掲げて道行く人々に訴えかけている場面に出くわす。
しかし、彼はこうした形の抗議には出ない。彼の抱えている問題は、このように言葉で整然と訴えかけられる共有可能な問題ではなかった。
家に帰りたいというのは、シンプル極まりない要求のはずだが、家~妻娘までの距離は異様に長いのだ。
全てが彼にとり、不条理で腐っていた、、、。

彼はやっとのことで家に帰宅するが、妻子は思い出の埠頭に逃げている。
彼も居間で以前撮った娘の誕生日ヴィデオを観ていて彼女らの居場所に思い当たる。
そこにはすでに、名刑事プレンダガストが来てポップコーンをつまんでいた。

娘のために生きろと説得する刑事であったが、彼はもうその気はないことを示す。
銃の撃ち合いを申し出て、D=フェンスがポケットから出したのは、おもちゃの水鉄砲であった、、、。


マイケル・ダグラスはこういう不条理に追い詰められ逃げ場を失う役柄がもっとも似合う。
彼の右に出る役者は恐らくいまい。
ロバート・デュヴァルもピッタリの名刑事であった。



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