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ザ・インターネット

The Net001

The Net
1995年
アメリカ

アーウィン・ウィンクラー監督。製作
ジョン・ブランカート、マイケル・フェリス脚本


サンドラ・ブロック、、、アンジェラ・ベネット(コンピュータ・アナリスト)
ジェレミー・ノーサム、、、ジャック・デブリン(テロ組織のエージェント)
デニス・ミラー、、、アラン・チャンピオン(馴染みの精神科医)


題がシンプルで不気味だ。
邦題は「ジ」ではなく「ザ・インターネット」である。
「カウボーイ」が「カーボーイ」だったりするので、ありなのだろう、、、(笑。


誰のカヴァーか知らないが、プロコル・ハルムの「青い影」が流れる。
唐突に送られたフロッピーディスクを開けると、、、。
ブラウズされた画面の右下に表れるΠ(パイ)マーク。
それをクリックした途端、政府の機密情報にアクセス出来てしまう、、、。
これは政府を転覆させ自分たちの理想とする社会に作り替えようという陰謀を持つテロ組織のものであった。
どういう拍子に漏れてしまったのかはともかく、アンジェラのお得意先の仕事仲間がそれを手にしてしまい最も頼りとなる彼女に縋ってきたのだ。(彼女は、デバックにおいて天才と仲間内から評価されている)。
そのディスクを預かってしまったことから、彼女の運命が激変する。

今はもうない、わたしはドライブともどもまだ持っている、フロッピーが大活躍する。
いいなあ、、、。これだけでウキウキしてしまう。
しかしこの時期で、ネット上から生活の全てを監視されている事態を綿密に描いているのは、かなりのものだと思う。
ヴィム・ヴェンダースの「エンド・オブ・ヴァイオレンス」(1997)、トニー・スコットの「エネミー・オブ・アメリカ」(1998)よりも早い。
IT世界は日進月歩の進化速度がある為、相当に早い認識と言えようか。
確かにこのような世界はその時期、ほぼ出来上がってはいたのだが、、、。
「個人情報保護法」などが全面施行されたことからしても、危機は認識されてはいるが、急速な個人データの活用範囲の拡張に保護が追い付けるものかどうか、、、。

アンジェラは在宅勤務なのでご近所にもクライアントにも、数少ない仕事仲間にも、ほとんど顔を知る人がいない。
引き籠りつつ仕事をしている。趣味のサイトでのチャット仲間も、お互いに匿名性を第一に楽しむ間柄だ。
ピザさえ海外サーバー経由で身元を隠して注文するか?やりすぎ感はあるが、その行為~習慣が自分の首を絞めることに繋がる。
このように独りで生きている人はやはりIDデータを書き換えられたらお仕舞いか?
マイナンバー制はこんなところで、危なくないか。
サーバー上のデータを失ったところで、現実の個も喪失する。

ここで恐ろしいのは、そのフロッピーデータの存在に気付いた人間が悉く殺されてゆくことだ。
それだけの大組織なのである。
そもそもことの発端は、国防次官の自殺からであった。彼はエイズと診断されそれを苦に死んだのだが、実際はその組織によるデータの改竄であった。
データを送り直接彼女にコンタクトを図って事の重大性を伝えようとした仕事仲間はセスナ機をコンピュータの誤作動により墜落させられ命を落とす。
彼女もバカンスに行った先で恋に落ちた相手が、その組織のエージェント、ジャック・デブリンであった。
この男にはとことん、しつこく追跡され、データと命を狙われ続ける。寸でのところで機転を利かせ命からがら逃亡を図るが、このしんどさがほぼ全編を貫く。
彼女がいよいよ追い詰められ現実に面識のある精神科医を訪ねるが、入院した際に病名を書き換えられ、彼にとって劇薬となる薬を点滴され彼もまた絶命する。
チャット仲間も彼女の救援のため会う約束をしたが、現れたのはまた例のエージェントであった、、、。


大企業・銀行、政府関係、FBIが採用しているセキュリティーシステム「ゲート・キーパー」そのものが、その団体の開発したプログラムなのだ。
これでは、政府転覆は火を見るよりも明らか、、、。中枢がどのようにも書き換えられてしまうではないか。
アンジェラの言うようにトロイの木馬の働き。
彼女も銀行口座を凍結され、自分の家と車も失い、犯罪を犯し手配中の女のデータに書き替えられている。
つまり、名前も書き換えられてしまう。
突然、自分を自分と認めるものがなくなり、自分が所有していたはずのものが全て奪われている。
しかも自分に完全に成り済ました”アンジェラ・ベネット”が存在しているのだ。
自分は何者でもなくなり、犯罪者のIDで特定されている。
この辺は、カフカ的な世界でもある。情報化社会は、その方向性は確実にもつはずだ。
コンピュータによる照合を誰もが信じる。実際に彼女との面識が以前になければ当然である。
これは、もう彼女にとって、実存的発狂レベルである。

この手法はかなり見てきたもので、物語的には既視感はタップリなのだが、恐らくこの映画が走りなのではなかろうか、、、。
今でも鑑賞に耐えるし、まさに現在の問題である。
演出に不自然な点(IPアドレスにあるべき数字でないもの)があったりはしたが、それには目をつぶるとして、興味深くスリル充分な作品に仕上がっていたと思う。
「バグのないプログラムはない」なんて、しっかり今現在でも通用する認識である。
(それによってデバッグの仕事にありつける訳だ)。
収集しておいたウイルスを敵のプログラムに感染させた時の表現など漫画チックで面白かった。
当時としてはパソコンを活用して出来るサスペンスを充分実現したと思う。

結局、コピーの遅いフロッピーにハラハラしながら、追撃をギリギリでかわし、敵の出方の一歩先を読み、出し抜く。
このアンジェラという人、プログラミング技術は、現実的な駆け引きにもしっかり応用出来ている。
組織の存在をIPアドレスから探り、その黒幕が例のセキュリティーソフト開発会社の社長である証拠データをコピーし、直後に以前自分が回収しておいたウイルスの入ったディスクに差し替えてセットしておくのだ。
そこに現れたエージェントと成り済ましアンジェラ。

このセキュリティシステムを崩壊させた手口にはこちらもニンマリした。
あの相手の慌てようは可笑しかった。自分で実行したんだから何とも頓馬でどうにもならない。
先入観を利用した彼女が一枚上手であった。やり返したぞ、という彼女の表情が印象的であった。

よく出来たサスペンス映画であったと思う。
サンドラ・ブロックが本当にプログラミングの手練れに見えた。


最後もまた「青い影」が流れていた。

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