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GOMA28

Author:GOMA28
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「新世界より」TVアニメを観てひとこと

sinsekai2.jpg

「想像力がすべてを変える」
と作者はバラードのように締めくくってくれたのですが、それでホッとするにはあまりにもキツイ物語でした。
後味が悪すぎる。胸が重苦しく虚脱感で暫く身動きできない。最終話のブーツ・ストラップが効きました!

無表情に唐突に切れ切れに断続的に世界についての情報は様々な形をとってわれわれに送られてきます。
それらを想像力を稼働させて自ら練り上げれば、物語として成り立ちもしましょう。
でもまとめ練り上げる軸がない。あまりに日々漠然としていて。私自身も情報も。

「新世界より」(ドボルザーク家路から)わたしも幼い頃、登場人物と同じくこの音楽で夕日の中、家路に向かった記憶があります。そこから自分も精神の基調を成している少年期へと自然と誘われます。
原作は全く読んでいませんし、コミックも手にとったことはなく、TVアニメで観ただけですが、想像力の核を確かに感じる物語でした。特にTVアニメであったため、イメージは端から限定される分、強烈です。
しかしディテールの描き込みが緻密なため、ストーリーの基盤が活き活きしていて抵抗なく入り込めました。
さらにこちらをグイグイ巻き込んでゆく比類ない展開が生半可なものではありません。これは発想豊かな作者の技量によるものです。ほとんど今と変わらぬ性の問題や殺戮なども生々しくリアリティーに溢れています。
登場人物にも魅力と奥行があり、それぞれに立場の理解やそれなりの共感はストレスなくできます。特に自分の種族?のために自己犠牲も厭わぬ侍映画の主人公のような奇狼丸と異様に人間臭い策士のスクィーラは取り分け魅力的な存在でした。ここでは新人類に歴史的に貶められてきた2人の異形の脇役が一番覚めていたと言えます。だからこそあまりに悲壮です。

未来の社会の設定も現実に、ある国を考えれば充分に成り立ちうるし、現実はフィクションより非現実的であることは珍しくないものです。特に思いを物質化すること、これは波動(存在密度)を上げれば可能となることで、われわれの次の存在段階に当たります。ですから学校教育に呪術の授業があるのも順当なことでしょう。しかし、思念の力がいとも簡単に破壊や大規模殺戮に向けられてしまったり、コミュニケーション手段もテレパシーなどへの発展が見られないのは、もしかしたら想像力の乏しさが能力的に決定的な欠陥としてあるのか、政策上の遺伝子操作の結果としてのもの(副作用等)なのかと思われてきます。それをするなら政府としては無意識の破壊本能の発動制御にまず総力を挙げてフォーカスすべきでは、と自然に考えてしまいますが。合法的に肉体的に始末するより。

しかしこの物語は、その(コントロール出来ない)呪力の破壊力を持て余して初めて成立する世界となっています。もしそれがなければこのような暗黒譚ではなく楽しい「ドラえもん」の世界になっていたことでしょう。
前提を改めて押さえた上で、この物語はわれわれの日常世界と相似してきます。ある意味歪に進化してきた新人類ですが、われわれも現時点で多くの歪さを抱え持っています。原発の後処理・汚染水問題が何故ここまで滞り拡大し続けるのか等、現実は理論では動きませんし、思想も常に歪曲され、力を持ち優位に立つ者の利己的な采配に従ってなし崩しに流れてゆきます。子供の被爆基準値が跳ね上がるなど様々な矛盾のなか、わたしたちは生きなければなりません。「わたしは生きなければならない」数々の困難や悲しみや死別、記憶操作を受けながらも何度も発するこの言葉は、主人公であり共同体の将来を託された早季の真の資質をあらわす言葉なのだと思いました。

しかしこの先、この共同体を少しでも立て直してゆくにも、真相を知っているのは早季たち2人だけです。バケネズミの学名の謎も知らない民衆は、新人類が過去においてどれほどの残虐な遺伝子操作をして新たな劣等種族を作り社会の安定を図ろうとしてきたか、然してそれが必然的な戦乱を招き寄せたという原因にも思い及ばず、従って何ら反省の機会もなく総括をする術もないままです。それで良いのか?
早季たちもその歴史的事実を知り、その考えられない暴挙に対し悲しみの涙は流しますが、意外にもすぐに立ち直り、明るく前に進んでいきます。わたしは大変ショックでした!最終章の虚脱感の大きな部分はそれです。何故、早季は怒りを示さず悲しむだけだったのか?
この受容的・肯定的な姿勢、しかし「清濁併せ呑む」という前にこの共同体の歴史的な批判と総括を民衆の前でまずすべきだと思います。でなければ多くの同胞、スクィーラや奇狼丸たちも浮かばれません。
「この世界がよくなるかしら」「きっとよくなるよ」
どうでしょうか?
「想像力がすべてを変える」
だれが想像力を働かせるのか、いささか不安で心配です。
何故ならこれはわたしたちの、パラレルワールドなのですから。
同時に進行する。




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THEME:哲学/倫理学 | GENRE:学問・文化・芸術 |

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