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レッド・オクトーバーを追え!

The Hunt for Red October001
The Hunt for Red October
1990年
アメリカ

ジョン・マクティアナン監督
トム・クランシー原作
ラリー・ファーガスン、ドナルド・スチュワート脚本

ショーン・コネリー、、、マルコ・ラミウス大佐(ソ連ミサイル原潜艦長)
サム・ニール、、、ヴァシリー・ボロディン中佐(ソ連ミサイル原潜副長)
アレック・ボールドウィン、、、ジャック・ライアン(CIA情報分析官)
スコット・グレン、、、バート・マンキューソ中佐(米攻撃型原潜艦長)
コートニー・B・ヴァンス、、、ロナルド・ジョーンズ伍長(米攻撃型原潜ソナー士)
リチャード・ジョーダン、、、ジェフリー・ペルト(米国家安全保障担当大統領補佐官)
ジェームズ・アール・ジョーンズ、、、ジェームズ・グリーア中将(CIA副長官、海軍提督)

「十月革命」か、、、レッドオクトーバーというと。


ゴルバチョフ政権の前夜の話ということ。
米ソ両政府は、このような事実はなかったと言明しているが、実際どうであったのか、、、あったならはっきり否定する他なかろう。
そんな類の事実~国家機密だ。あってもおかしくは、ない。

この映画の肝は何と言っても、、、米ソの深い狭間におけるある男の恐るべき賭けである。
二つの冷戦状態にある超大国の片方からもう片方に向けて、相容れぬもの同士一方の岸からもう一方の岸に向けて、実存の投企~暗闇のジャンプをする。ここではその狭間である深海に音を潜めて、、、突っ切ろうとする。
ソ連としては当然、新兵器である磁力型水力推進装置(無音推進装置)を装備した原子力潜水艦による亡命となれば、軍事技術の流出を阻むため消去するしかない。
アメリカとしても、正体の分からぬ脅威に対し自国防衛のため撃沈の態勢を取る。
その「キャタピラー・ドライブ」を装備した最新鋭のソビエト原子力潜水艦はソナーにひっかからず、何処からでも突如現れて核弾頭を放てる恐るべき潜水艦なのだ。

亡命がどのような真意と意図によるかどうかなどはともかく、この大胆で想像を絶する越境行為そのものの不条理さが、実に人間的なものに思える。
部下たちの命も巻き添えにした行動に、確かな橋渡しも特殊なコネも密約も取引も事前にない、、。
ただ、妻の一周忌に、飛んだのだ、いや飛び込んだのだ。
普通なら自殺行為であろう。
だが、マルコ・ラミウス大佐はアメリカ側のレセプターに全てを賭けた。
(この場合、受け入れ側の存在は絶対的な重みをもつ)。

その受け入れ側のレセプターが、ジャック・ライアンCIA情報分析官であった。
軍事演習と称しソビエト側の主力潜水艦が全てひとつの地点に向けて航路を取り始める。
不穏な非常態勢がとられてゆく。
それらと、一度だけ会議で会ったことのある軍人として崇拝されているとは言え、ラミウスの印象からジャックは、彼の大西洋の対岸に向かう動きを、亡命と断じる。

これも恐るべき勘である。このCIA情報分析官が米ソ両陣営から撃沈されようとしている厄介な潜水艦(艦長)が亡命を望んでいるという事情を可能性を超えて信じ、その線で迷わず体をはり、救援に賭ける。
マルコ・ラミウス大佐とジャック・ライアンCIA情報分析官は、傍受されるあらゆるネットワークを超えて繋がったのだ。
これが何よりも肝要な部分である。
後はラミウスの百戦錬磨の戦術の問題だ。
アメリカが静観している以上は、襲い来るであろうソ連の潜水艦との対戦のみとなる。

この映画のもう一つの特徴は、秀でたスペシャリスト揃いであることだ。

超人的で凄かったのは、ロナルド・ジョーンズ伍長の聴覚である。
音楽好きで、音に大変敏感な彼の耳は何の音でもすぐに聴き分けてしまう。
コンピューターの分析でマグマの音と判断されたものが、レッドオクトーバーのものだと割り出すのだ。
彼の能力のお陰でソ連側を出し抜き、先に米攻撃型原潜ダラスが無音潜水艦を捕捉し得たことは、アメリカ側とラミウス大佐側にとって幸いであった。大きな功労者であるが、やや出来すぎにも思える。
レッドオクトーバーの写真は撮ったが、訳のわからぬ扉が二つある構造に注目し、それがアメリカ軍がかつて開発に失敗した「キャタピラー・ドライブ」の噴射口だとすぐに割り出してしまうタイラーというエンジニアも凄いとしか言えない。
ジェフリー・ペルト米国家安全保障担当大統領補佐官も非常に狡猾でクレバーな政治家である。
行方不明になっていた精神に異常をきたした船長率いるレッドオクトーバーがアメリカ沿岸に向け核弾頭を撃ち込むつもりだ、などとゴルバチョフ以前の状況のソ連の大使から言われると、これは裏があると当然推察できるが。
そこでジャック・ライアンを選んで現地に送り込み、その真相解明とレッドオクトーバー(ソ連の技術)の獲得に賭けるのは大した手腕だ。
この物語、感覚や信念の研ぎ澄まされた超人的な人がちゃんと生かされ仕事をする(笑。


生の迫力では「眼下の敵」には譲るが、魚雷をギリギリのところで交わすシーンなどの生き詰まる描写は素晴らしい。
カリスマ船長のラミウス大佐の計算・戦術が見事に当たりまくる。
しかし彼の敵は外部だけではない。彼の最新鋭の艇の中にスパイとしてKGB工作員が紛れ込んでいるのだ。

だがそこに米攻撃型原潜ダラスに乗り込み、艦長マンキューソ中佐を説得したライアンがやってくる。
彼を乗せたアメリカ救援艇がレッドオクトーバーに接続して(実にタイミングよく)アメリカ・ソ連連合でソ連の潜水艦の魚雷攻撃を逃れる。同時に船内でKGB工作員の船体爆破の阻止に向け銃撃戦も展開する。ソ連側もこの潜水艦は何としてもアメリカの手に渡す訳にはいかない。ここはかなり見せるが、何と銃を握ったことがあるのかどうかという感じのジャック・ライアン分析官が爆破工作員を撃ち殺す。
潜水艦内というのに情け容赦ない激しい銃撃戦で、とても真面目でアメリカ行きを楽しみにしていたボロディン中佐が殉職する。

この艦長の優れた右腕ヴァシリー・ボロディン中佐がサム・ニールであるため、船内で密かに破壊工作をするKGBの人間が実は彼ではないかとずうっと冷や冷やしていた。サム・ニールでなければ、ボロディン中佐の艦長への忠誠心を疑わないのだが、、、。
彼はどの映画でも暴走の怖い人で、しほらしく収まるとは信じ難かった。「月のひつじ」は例外的に穏やかな紳士であったが。「ジュラシック・パーク」の博士もよい方であったが、、、。
結局、実直な悲劇の人で終わってしまったのは、新鮮だった。
(「オーメン/最後の闘争」、「透明人間」「ピアノ・レッスン」、何と言っても「イベント・ホライゾン」である、、、この人のイメージは)。


ソ連側は常にロシア語で喋り続けて欲しかった。
その辺はしっかり統一した方がリアリティが保てる。

何れにせよ、濃厚なアメリカ側からの視点で作られており「眼下の敵」のような中立性は見られない。
しかしアメリカ賛美であっても、それはそれで面白い。
CIA情報分析官が007まがいの(それほどスマートではないが)大きく職務範囲を逸脱する活躍をするこういったパタンもこの後よく出てくるものだ。(その走りだろうか?)
彼の分析を超えた信念の力で解決が図られてゆく流れであった。
アメリカ(ペルト)はレッドオクトーバーを魚雷で撃破したことをソ連大使に伝える。
亡命は成功し最後はライアンの故郷の川にレッドオクトーバーをそっと沈めて隠す。アメリカ大勝利、、、。


そしてやはりショーン・コネリーの醸す雰囲気で重厚な映画という仕上がりになっていた。
「アンタッチャブル」の方が良かったが、この映画で見せる威厳ある姿もかなりのものである。
そしてこんなスケールではないが、普段わたしたちもこんな投企に賭けていることは確かだ。
徹頭徹尾、計画的に進めようとしてもそんなものは先が見えている。
暗闇でのジャンプまたは飛び込みを肝心なところでやってきていたのではないか、、、。

おおそう言えば「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」が冒険の魅力をお間抜けに楽しく伝えていたが、ちょっと近いものを感じてしまった。

この映画、彼の存在で名作化している感はある。


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