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眼下の敵

The Enemy Below001

The Enemy Below
1957年
アメリカ・西ドイツ

ディック・パウエル監督
ウェンデル・メイズ脚本

ロバート・ミッチャム、、、マレル艦長(アメリカ軍)
クルト・ユルゲンス、、、シュトルベルク艦長(ドイツ軍)
ラッセル・コリンズ、、、軍医(アメリカ軍)
セオドア・ビケル、、、ハイニ先任士官(ドイツ軍)
デイヴィッド・ヘディスン、、、ウェア副長(アメリカ軍)

アメリカ戦艦とドイツ潜水艇Uボートとの一騎打ちである。
以前、「戦闘機対戦車」というのを、観たことがあるが、遥かに緻密な戦いであった。
(向こうの映画は戦略においては大雑把な魅力であった(笑)。

どちらの船長も個性は違うがカリスマ性のある深みのある人格で、船員に頼りにされ慕われている。
話はどんどん広げってゆく映画の対極で、ただ海の上と下でソナーを頼りにした頭脳戦を繰り広げるのみ。
極めて限定したシチュエーションの逃げ場のない場で、双方ともに神経を擦り減らし精神の参る戦いを強いられる。
相手の次の手を読みながら、それを出し抜き先手を打ち、欺き合う。
そして呼び寄せた千載一遇のチャンスにここぞとばかりに魚雷・爆雷で仕留める。それをギリギリのところで交わそうとする。
お互いに死力を尽くす中、相手を好敵手と認めるに至り、最後に双方ともに戦死者を出し自分の船を失うが、ハイニ先任士官の葬儀を救援に来たアメリカ戦艦の上でとり行う。
その戦時における特異な場で、彼らはお互いに顔を合わせることになり人命を巡って友人同様の関係となる。
(それまでは海上と水中にあって、ソナーで相手を探り合うだけの関係であった)。
船長同士で甲板で海を眺めながらことば少なく煙草を吸う。

「君のせいでまた生きながらえることになった。」
「もう縄は投げない。」
「いや、また投げるよ。」

会話は、こんな流れであった。
ただ、軍医が「希望」を何度も口にし強調していた。


戦争は極力、敵の顔~人間など確認したくない。
マレル艦長も相手の艦長が只者でないことを悟るが、どんな人物かなんて知りたくもない、と言う。
殺し合う同士で、余計なことを知ってどうする、、、。
しかし互いの船が潰れ、両者脱出する際に、最後まで瀕死の船員を救出しようとしているシュトルベルク艦長の姿~人間を観て思わずマレル艦長はロープを投げた。
いずれの船長も先に船員を逃がし、自分が最後の一人となって残っている。
しかし、シュトルベルク艦長はユーボートの自爆装置を起動させていた。
一刻を争う事態に、両陣営の船員たちが二人の船長を我先に救いに駆け付ける。

そしてギリギリのところで皆、助かる。
小さなアメリカ駆逐艦の救命ボートに、溢れんばかりに米独の生き残った兵士が乗り込んでいる。
(背後で潜水艦の爆発が何度も起こり、戦艦もろとも焼け崩れて沈む)。
ポカンとした顔をした乗組員たちが善も悪も敵も味方もなく、小さな存在として海を漂う。
生が炎を背景に清々しく際立つ特異な戦場の情景だ。
そこに希望を見出したい軍医に共感する。


CGによるVFXのない時代。
実際にアメリカ海軍の全面協力による駆逐艦の出向と本物の魚雷の発射の迫力は圧倒的であった。


The Enemy Below002
The Enemy Below003




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