ドリームガールズ

Dreamgirls
2006年
アメリカ
ビル・コンドン監督・脚本
トム・アイン原作・作詞
ヘンリー・クリーガー、、、音楽
ビヨンセ・ノウルズ、、、ディーナ・ジョーンズ(シュープリームスのダイアナ・ロス役)
ジェイミー・フォックス、、、カーティス・テイラー・ジュニア(レインボー・レコードの創設者、つまりモータウンの創始者役)
エディ・マーフィ、、、ジェームス“サンダー”アーリー(花形ソウル/R&Bシンガー)
ジェニファー・ハドソン、、、エフィ・ホワイト(シュープリームスのフローレンス・バラード役)
アニカ・ノニ・ローズ、、、ローレル・ロビンソン(シュープリームスのメアリー・ウィルソン役)
シャロン・リール、、、ミシェル・モリス(シュープリームスのシンディ・バードソング役)
キース・ロビンソン、、、C.C.ホワイト(ソウル/R&Bシンガー、ソングライター)
(メアリー・ウィルソンの自伝もベストセラーだということ)
ミュージカルならではの、、、乗せられて感動!
特に幾つかの山場でのエモーショナルな持って行き方!実にソウルフルである。
ただし、今一つ名曲が欲しい。
確かに曲もよくできていて、歌唱力(声量)は大迫力なのだが、、、静かに聴かせる名曲もあったらよかったな、、、。
黒人3人娘(厳密には4人娘)「ザ・ドリームズ」デビューから解散までのミュージカル映画である。
ビヨンセのダイアナ・ロスメイクはなかなかのもの。
やはりビヨンセの美しさは飛び抜けている。
特に前半の素人臭さ丸出しの頃の演技は可憐である。発声もわざと抑えて歌っているところが、それはそれでよい。
ポップスにおいては、その声で充分にやって行ける。
終盤、自分の本当にやりたいことに目覚めソロになる決意を抱き本気でソウルフルに歌っているところもよいのだが、抑えたポップ歌唱スタイルがとても気に入ってしまった(笑。
あのまま映画で、「クレオパトラ」やったら、凄かったろうに、、、。惜しい。
プロヂューサーが中古車ディーラーで、中古車売り払って彼女らのレコードを放送局に掛けさせたというのは先見の目があるし面白い。
特に黒人音楽の特徴である強いメッセージ性を薄めて、広く白人にも受けるポップ性を高めていったプロジュースは素晴らしい。
デトロイトの黒人向けの小さなレコード会社から急成長したことはよく分かる。
これまでの黒人が成しえなかったことを実現しようという野心がありありと窺えるものだ。
前半の彼の手腕は当っていると思うが、エフィ・ホワイト切り捨て後(クビ)から徐々に厳しくなってくる。
クビを言う前に既に新メンバーミシェルがいるのに、エフィは大ショックを受ける。
彼女は同棲していたカーティスを心から愛し、すでにこの時子供がお腹にいた。
カーティスは決断そのものは当りであるが、やり方が基本的に冷徹で、ひとを目的のためモノ=駒扱いである。
ダイアナ・ロス達のシュープリームスの大成功、その後ソロでの更なる成功は、丁度ビヨンセのディスティニー・チャイルドの成功と彼女のソロになってからの爆発的成功にも重なる。(この辺は共感しながら演じていたか?)
しかし、ここでは歌唱力(声域)はダイアナ・ロス以上であったフローレンス・バラードの悲劇との対比で描かれる。
確かにエフィ(フローレンス)のエゴイストで自信過剰振りはグループや関係者に大きな迷惑はかけるが。
彼女の思いのたけに対する救いがなさ過ぎた、、、。
その後の人生の明暗のコントラストは余りに深い。
ディーナ・ジョーンズ(ダイアナ・ロス=ビヨンセ)の華々しいサクセスストーリーの影の部分をエフィ(フローレンス)が占める。
勿論、マネージメント、経営の面でのカーティスの問題も充分に影を帯びているが。
それらが織りなす関係がミュージカルに重みと痛みを与えている。
エディ・マーフィはここでも充分に面白かった。
軽みを全半しっかり彼が担ってくれたが、特にスポットに当たらなくなった後半から、話はかなり重くなってしまった。
ザ・ドリームズの余りの躍進の影でその他一人のアーティストになっていた(笑。
最後の、エフィも混ざったザ・ドリームズ解散コンサートで、カーティスは客席の彼女の娘の存在に気づき唖然として佇む。
分かれた頃と丁度歳の合う娘が、母の最初で最後の晴れ舞台を涙で見ている。
ドラマチックである。わたしもかなり沁みた。
ただ、やたらとソウルフルに歌うエフィにちょっと食傷気味にもなるが。
かえってディーナ・ジョーンズの前半の抑えた歌唱がとても新鮮でよかった(笑。
充分エモーショナルで惹きつけるミュージカルであるが、ビヨンセ・ノウルズの演技の幅がよく味わえる作品でもあった。
ジェニファー・ハドソンの歌唱力は凄いと思うが、パワーで押しまくるのはきつい感じもする。
ソウルだからそちらが正しいのかも知れぬが、、、。