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アフタースクール

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2008年
内田けんじ監督・脚本

大泉洋、、、神野良太郎(中学校教師)
佐々木蔵之介、、、北沢雅之(探偵)
堺雅人、、、木村一樹(梶山商事の社員)
常盤貴子、、、美紀(片岡の情婦)
田畑智子、、、あゆみ(謎の女、神野の妹)
伊武雅刀、、、片岡義信(暴力団の親分)
北見敏之、、、大黒武(梶山商事社長)
山本圭、、、郷田昭一郎(警部)

キャストが上手い。
皆、芸達者でその芸と醸し出す雰囲気を見るだけでも愉しい。
母校の西森沢中学校で働く気さくな教師。テニス部顧問。あだ名は、モジャモジャの神野。
自身が経営する大人のおもちゃ屋に事務所を構える怪しい、やさぐれた探偵(上から来た仕事は何でもやる)北沢。
突然姿を消す、梶山商事に勤めるエリートサラリーマン。何を考えているのか分からない笑顔の木村。

脚本が、最後まで観てみると、笑ってしまうほど細かくミスリードを誘うものになっている。(ギリギリ嘘はついていないが)。
同時に、登場人物同士の騙し合いもそこに重なってくる。
きっとこういうものが好きで堪らないひとが愉しく脚本作りをしたとしか思えない。(趣味のレヴェルか?)
常識的で日常的な意識で見る範囲では完全に騙されてしまうだろう。こちらの思い込みを利用する狡いやり方だ。
見終わった後から想起する形でない限り、どう見ても身重の若妻(常盤)のいる木村一家のほのぼのとした朝で始まる物語にしか思えない。そこには、娘のそんな体を気遣う父親(山本圭)が泊まりに来ていてもおかしくはない。
「しっかりしてくれなくては困るよ」と言うのは、婿に厳しい父親かと思うだけだ。
中学時代に下駄箱で、美紀が木村にラブレターを渡す回想が映されるのだから、若夫婦と思うのが自然だろう。
本当に後半になって、あれらの光景に、ことごとく意味~内容の塗り替えが起こる。
その点では実に細かくよく練られた物語であるし、どんでん返しにも驚く。
そしてしんみりとエンディングにもちこむ。
とても上手い、と思う。

木村は突然、神野の車ポルシェ911を借りて失踪する。(この高級車が胡散臭さを漂わせる)。
その後、会社をさぼって謎の女とホテルでの密会が目撃される。普通に不倫かと思われるが、何やらきな臭い。
我々としては、木村が何やら秘密裏に良からぬことを企てているのか、と思ってしまう。
その後、神野は接触してきた北沢にヒッチコック調の巻き込まれスタイルで一緒に木村を探す流れとなる。
意外に感じたのは、神野が妹の写真に無反応であった北沢(偽名で島崎)が偽の同窓生と気づくも、その後も彼に付き合ってゆくところであったが、後でその理由は妹絡みで分かった。また、彼なりに北沢が持っている情報を確認したかったはず。
失踪した木村が普通に神野の部屋に戻っていて寛いで語り合うところから、これはかなり大掛かりな裏がある。ふたりで結託して会社と繋がっている暴力団の金でも奪う計画なのか、とも思ってしまう。
いよいよふたりとも普通の一般市民ではないことが分かり、中盤から特に構えて見ることを強いられる。
以降いちいち筋をなぞっても意味はないので、ここで止めるが、そこからの展開は鮮やかな手並である。
本当に僅かでも目は離せなくなる。離さないではなく離せないのだ。

こちらの視座に一番近いのは、北沢であろう。
結構、神野を軽く見て、自在に利用しているようで、実は彼に上手く騙されている。
余裕で細かい策を巡らし金をせしめようと頑張っていたが、木村・神野が警察に協力して動いていることには最後まで気付かなかった。完全に形勢逆転である。
暴力団員かと思われた周囲をかためていた強面衆が、皆警官だったというのも面白かった(笑えた。


神野が北沢に向かって言う。
「あんたみたいな生徒どのクラスにもいるんだよ。全部わかったような顔して勝手にひねくれて、この学校つまんねーだの何だの。……あのなぁ、学校なんてどうでもいいんだよ。お前がつまんないのは、お前のせいだ」
前半に、裏社会を散々見てきた北沢が神野に向けて言ったこと。
「お前みたいにずーっと教室で生きてるような奴に、人間の何がわかるんだよ?何にも知らないで、自分の都合のいいように世間見て、人間見て安心しやがって。お前みたいなやつ見てるとムカムカするんだよなぁ。早く卒業しろよ、中学校から」
に対するお返しである。

結局、愚直にまっとうに生きたもの勝ちということである。
自分の現状を人のせいにして、ずるをしていては、愉しく生きれない。悪循環に閉込められるだけだ。

わたしが最初、木村の若妻と思っていたあゆみは、片岡の情婦であり彼から逃げ出し警察に保護を求めていた身であった。いきなり雨の夜逃げ込んできたのは、木村と神野の乗るなかなかエンジンのかからぬ軽自動車であった。彼らはふたりとも彼女とすぐに分かり、その場から逃げ去る。あゆみは彼らふたりの初恋の相手でもあり、あゆみがかつて下駄箱で木村に手渡したラブレターは、神野宛で彼に渡すのを頼んだものであった。彼女は家の都合でそれを渡した直後に何処かに転校してしまったのだ。(それで神野は車をポルシェ911に買い替え、婚約指輪も同時にローンで購入したのだ、、、彼の思いの丈だ)。
彼女の出産した娘も片岡の子供である。木村の義父にしか思えなかった男は警視庁郷田警部であり、彼女の身の安全と、暴力団と梶山商事との癒着と金の流れを摘発する任務に当たっていた。あゆみの旧友ふたりも一生懸命警察の手先として見事な働きをしていたわけだ。「しっかりしてくれなくては困るよ」という郷田のことばが何であったかその時点で知る。
最後に神野はあゆみに「おれのうちに帰ろう」と誘う。恋が実った瞬間である。(その後の彼女が指輪をつけているシーンからも)。
一方、木村とホテルに謎の女性として何度も出入りし、肝の小さい大黒に疑いを持たせ動揺させて尻尾をつかもうと動いていたのは、神野の警察官である妹である。神野が北沢からふたりの不倫写真を見せられ動揺したのは、単に妹を心配してのことである。
だが、彼も妹が木村を好きなことは知っており、このふたりもこれを機に急接近する流れを見せて終わる。


内田けんじ監督は乃木坂46 「何度目の青空か?」(2014)も監督している。
このMV何度も観たが、この感性を心地よく擽るセンスは絶妙なものである。
それにわたし(と娘たち)の一番のご贔屓アイドル(ミュージシャン)生田絵梨香嬢がセンターの楽曲である。
とても愉しいものであった。


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