人狼ゲーム ラヴァーズ

2017年
綾部真弥監督
川上亮原作・脚本
古畑星夏、、、高野蘭子
佐生雪、、、海老原一香
平田雄也、、、佐久間弘人
溝口恵、、、八木ひなた
前田航、、、基菅すばる
「人狼ゲーム」 シリーズ第五弾とのこと。
初めて観た。
ともかく、こういったパッケージのものはこれまで、意識にも引っかからなかったものだが、怖い映画見たいという娘たちのリクエストで、探すようにはなった。しかし、この映画のようにとても子供には見せられないものも少なくない。
あの古畑星夏が刃物でグサグサと同年齢の青年を刺殺してゆくのだ。
スプラッターなグロテスクさはないが、彼女がやるとショッキングである。
この手の映画が意外に多いことを知った。(まあ、パッケージを見ればラブコメかホラーサスペンスかは普通に見当つくが)。
”人狼ゲーム”というものは、アメリカ発祥のゲームで、「村人陣営」と「人狼陣営」に分かれて互いの生き残りをかけて会話で推理したり騙しあったりして争うゲームだそうだ。そのゲームをもとにした日本のホラー小説もあるという。全く知らなかった。
パソコンゲームとしてもあるのだろうか、、、だとすればそれをやったことのあるゲーマーが見れば、自分の攻略法に照らして見るときっと面白いことだろう。
はっきり言ってわたしには、作戦内容がどういうことなのか追えないところがあった。
今もよく分からない部分がありしっくりしない。
ゲーム内容に充分馴染んでおく方が見易くなり楽しめるはずだ。
「恋人」というペアがかなり大きなポイントでもあったと思う。(最後はそれが効いた)。
ちなみに、毎晩全員がホールに集まり、一人を指名(指差)して処刑する。
(カメラでそれが察知され首輪が絞まる)。
深夜になると、人狼が大きなナイフをもって襲撃する人間の部屋に行き一人を殺す。
翌朝、その死体を確認し、予言者や霊媒師の占い結果をみんなで聞くのだが、何故予言者や霊媒師がその情報を知るのか分からなかった。予言者や霊媒師もわざと嘘をついてかく乱しようとする。
昼間は、それぞれ好きな場所で、お互いの立場を探り合ったり、取り敢えず出来た仲間内で夜の指名相手を決めたりする。
最終的に、村人、人狼が同数になれば、人狼側の勝ちとなるが、そこに恋人が残っていれば、恋人の勝利で、残りは皆死ぬ。
(キューピッドは生き残る)。
荒唐無稽な設定で強引に始まる(その会場に拉致され目覚めたところから始まる)ところなど、以前観た「シンデレラゲーム」を思わせたが、こちらの方が殺し合いもストーリー自体も遥かに広がりとインパクトがあった。追い詰められる人間の心理描写が深くなされていたことも大きい。
しかし、何故か不自然にそんなところに集められ飛んでもない殺し合いのルールを古めかしいTV画面で説明された割に、みんな取り乱しパニックに陥らないなと思ったら、何と皆さん二度目(複数回)の経験者だという。ならばゲームのルールや戦略についてもかなりのものかと思うと、バラツキは感じるが、確かにそうであった。
みんなに指名されたところで、首輪(またしても)が絞められそのまま死ぬかと思っていたら、残りのメンバーでリミットの時間までに殺さねばならないことを知る、とかそれを避けるために自ら施設の外に出て自殺を図る(強制的に図らせる)ことにする、という追加による進展(動き)があることも物語に厚みを加えてゆく。
この物語の構造上、「人狼」と「恋人」、キューピッドそして「村人」は誰であるのかは、カメラの超越的目線でこちら鑑賞者には全て明かされているが(見易さを組み入れた演出構成であろうか)、ゲーム参加者は何も知らされず疑心暗鬼の中、人数を減らす作戦を立てながらそれを探ってゆくことになる。預言者、用心棒、霊媒師、については、こちらも分からない。
このゲームの主催者は彼らの役割を一方的に決め、その動き~殺し合いを監視カメラを通して観て賭けを楽しんでいる、という設定。
主催者の姿は、ゲーム参加者にも鑑賞者にも全く見えない(物語上存在するだけで実質いない)。

わたしが見た限り、人狼側は結構、推理をして作戦を練っていたが、村人側は作戦も個々にばらばらで特に結束もなくあえなく崩されてオシマイというかんじであったが、、、。
そして、村人、人狼同数で人狼側の勝利であるが、恋人カップルも残っていた為、恋人の勝利ということから、残った村人と人狼の片割れの青年も処刑となる。
複雑な命懸けの駆け引きと、各自の思惑のズレとその変化が感情の大きな揺らぎとともに絡みうねり続けていたと言える。
特に最後の詰(ある意味、どんでん返し?)は、やはりねとは思ったが、決まった。
中盤まで、最後に3人で優勝賞金(1億円)山分けにもってゆくのかと思っていたのだが、あの流れとなった。
心を許していた余命儚い女の子(キューピッド)を処刑指名し自殺させ、義父が借金の為自分をこのゲームに生贄に出したことを知るに付け、古畑星夏のなかで、何かが壊れ、賭けを楽しんでいる主催者側への怒りも極限的に膨れたと言えよう。
確かに終盤となると古畑星夏は何やら思いつめ覚悟を決めたようにも、箍が外れたようにも見えたが。
凄いところで終わった。結果的に1億円を独り占めする形である。
最後に残った”恋人”の少女がこれからどうする?と屋上で安堵し晴れやかに聞いてきたと同時に、下に突き落として瞬時に殺すところなど、もはやサイコである。ある意味、壊れている。
キャストはどうやら毎回全員入れ替わっているようだが、「そちらに行きます。そこはどこですか」と古畑星夏が監視カメラに向かって強く呼びかけるところで終わるのだから、次だけは主演はそのまま彼女でいってもらいたい。
違うひとだったら完全に白けてしまう。
どうせ他の人間は全員死んでいるのだから、キャストは古畑さん以外は誰でも自由に選べるわけだし。
続編は彼女が主催者グループの席に招かれるところから始めて欲しい。
参加費1億円で彼女の義理の妹を生贄にゲーム開始、、、すると古畑さんは掛け側で目立たない立場となるか、、、妹が主役か?
若手俳優がともかく体当たりで精一杯頑張っている熱は充分伝わってくるものだ。
しかしちょっとセリフが五月蝿すぎるところが気になった。
絶叫しなくとも、憤りや絶望、恐怖が伝わる。これについては演出からの指示かも知れないが。
勿論、微妙で繊細な感情表現も見られ、かなり演技派の人々であることが分かってきた。
古畑星夏は、ティーンのファッション雑誌のカリスマモデルから、最近朝、夜の情報番組、TVドラマや映画でちょくちょく見かける。
他と混ざらないオーラがあり、どの子が誰なのかよく分からない似たような若手女優の中では、無二の凛とした存在感をしっかり放っている。切なく悲嘆に暮れている演技は良いが、基本的に穏やかで優しい役の方が個性と容貌にはあっているような、、、。でも目が冴えておりクールでニヒルな役ならかなり様になりそうだ(サイコではなく)。

pickupの最初の4項目の記事に飛ばないのに気づき、直しました。
飛びます(笑。
宜しく、どうぞ、、、。
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