エネミー・オブ・アメリカ

Enemy of the State
1998年
アメリカ
トニー・スコット監督
デビット・マルコーニ脚本
ウィル・スミス、、、ロバート・クレイトン・ディーン(弁護士)
ジーン・ハックマン、、、ブリル / エドワード・ライル(元NSAエンジニア)
ジョン・ヴォイト、、、トーマス・ブライアン・レイノルズ(NSA行政官)
リサ・ボネット、、、レイチェル・F・バンクス(情報仲介者)
レジーナ・キング、、、カーラ・ディーン(ロバートの妻)
スチュアート・ウィルソン、、、サム・アルバート議員
かのリドリー・スコット監督の弟である。68歳で自殺してしまった。本当に惜しい、、、。
この映画遅まきながらやっと観たが、傑作という以外にない。しかし危険な映画でもあった。
偶然だが、この映画も昨日の映画同様、全く関係ない者同士を、ここでは秘密の「ビデオ」で結びつけてしまう。
全く内容が異なる危険なビデオであるが。「ビデオ」ということばで繋がってしまうのだ。
(片やプライバシー保護派の議員の暗殺現場ビデオ、片やマフィアの労働争議不正ビデオ)。
一気にカタルシスに追い込む手さばきに、思わず上手い!と膝を叩いた(笑。
情報~ことばの危うさが実によく出ていた。
勿論、骨格はスノーデンが全世界的に警告した、それである。
しかし、1998年である。
かなり早い時期での映画製作だと思う。
まだスノーデンは出てきていない。ヴィム・ヴェンダースの「エンド・オブ・ヴァイオレンス」が1年前に封切られていることから、このような認識・知見を得て、警告の必要性を感じていた人々はすでにいたのだ。
エシュロン~PRISMの脅威である。
まさかトニー・スコット監督もその件で狙われていたのか、、、
そうも思ってしまうほど、饒舌で説得力あるフィクションで実情を鮮やかに暴いて見せている。
漸く、この映画の描く現実に人々が危機感を抱き始める時代になってきた、と言えよう。
ITテクノロジーの演出がよく出来ていて真に迫るものだ。
特に人工衛星からのキビキビした画像送信や監視、追跡、本部内でのデータ照合と分析や盗聴など今見てもワクワクさせる。
どこにでもある監視カメラとも直結していると思うと、やはり気持ち悪い事この上ない。
しかしそこで働くNSA職員(工作員)の憎ったらしいこと、、、。
(スノーデン氏の離脱はそのへんもあったか、、、)。
クレイトン家をあそこまで滅茶苦茶にし、盗聴器と発信機を付けまくり、彼を社会的に抹殺し銀行口座を凍結し、最後は本当に殺しに来た。しかも彼から盗んだジューサーで作ったジュースを飲みながら彼を追い回し窮地に追い込んでゆく。
まあ、物語冒頭でプライバシーを大きく侵害するテロ防止法案に反対する下院議員を湖畔で暗殺しているくらいだ。
その湖の生態を記録しようと設置したカメラマンのビデオに偶然それがはっきり写っていて、そのデータを知らぬうちに預けられてしまったロバートがNSA(その首謀者トーマスたち)から追われることになる。
最初は何で追われるのか分からずに逃げているのだが、ブリルに逢うことで、事の真相を掴み事態の恐ろしさを把握する。
ウィル・スミスの主演でエンターテイメント性でも魅せる。
確かに外に漏れては大変な事になるデータであるが、それを持った一人を追うために大変な機材の利用と大掛かりな人員の導入がなされる。トーマスの権限がどれほどのモノなのか分からぬが、結局これが面白いところである。
スリリングなサスペンスとして多勢に無勢でしっかり成り立つ。
ただし、彼だから体を動かさなければ、ということからか、車相手にちょっと走り過ぎてはいないか?
ウサイン・ボルトでもなかろうに、車相手の前を逃げるあの自信を持った走りはなんだ。
ジャッキー・チェンでもあそこまで車とさしで走らない。もう少し狡い手を使う。
それから、弾みで始まった最後のマフィアとNSA職員(工作員)との至近距離での銃撃戦であるが、あの場にいてテーブルの下に入ってロバートだけ助かるというのも、ちょっとキツイシーンであった。
その場を上手く離れる身の護り方の方がしっくりこないか。
シュワルツネガーもののエンターテイメントとは明らかに違う路線であるし。
だが、それ以外で気になるところは、なかった。
(上記のシーンも別に違和感を感じるほどのものではない)。
ウィル・スミスとジーン・ハックマンのほとんど反りの合わない相棒のやり取りや動きは自然で味わい深い。
ジョン・ヴォイトの高官も昇進のために法案を何としても通したいという切羽詰まった様相がよく出ていた。
しかし改めて不気味である。
エシュロン~PRISMによる超巨大データーベースの存在である。
不気味である、、、。
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