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オンディーヌ 海辺の恋人

Ondine001.jpg

Ondine
2009年
アイルランド

ニール・ジョーダン監督・脚本・製作
クリストファー・ドイル撮影

コリン・ファレル、、、 シラキュース(漁師)
アリシア・バックレーダ 、、、オンディーヌ
アリソン・バリー 、、、アニー(シラキュースの娘)
スティーヴン・レイ、、、牧師

「オンディーヌ」だけでは、ダメか?
海辺の恋人、、、実に安い邦題である。


シラキュースが網にかかった人魚を引き上げるところから始まる。
彼は禁酒中の漁師で、腎臓病の幼い娘を持つ。離婚しており元妻のところにいる娘の人工透析の時は必ず何時間もかけて付き添う。どうやら彼はその係を受け持っているようだ。
映像は全体的に、フリードリヒの絵画のような静謐さを漂わせ神秘的で伝承的な事件が起きそうな空気感に充満している。
(撮影者の感覚が現実とオンディーヌの世界の境界を質的に巧みに現出させている)。
引き上げられ息を吹き返した彼女は、自身をオンディーヌと名乗る。
そのまま信じたくなる登場の仕方だ。
人を避け、医者も頑なに拒み、素性も明かさない謎めいた彼女がオンディーヌと言えば、説得力がある。
オンディーヌとアニーの初めての出逢いの場面など、まさに幻想的で御伽噺が現実に起きたみたいな光景であった。
(この光景は、この映画の要のシーンである。とても素敵だ)。
だが、端から御伽噺ではないことは自明であり、どう展開してゆくのかリリカルなテンションの途切れることはない。

彼女はシラキュースの母が使っていた古い家に取り合えず匿われる。
オンディーヌが美しい声で歌えば、大漁となり運のよいことが続く。
彼女と共に過ごし服を買って着せたりしているうちに、シラキュースのこころに希望が芽生え始める。
出逢った時は二人とも生に対し後ろ向きであったが共にいること、そのことで確実にこころに変化が生じてゆく。
ここが本当に自然な流れであり、プロットがよい。
そして電動車椅子の支給され自由に動き回れるようになったアニーも父の御伽噺で興味をもっていたオンディーヌを探し当て目の覚めるような出逢いを通し、彼女に惹かれる。というよりお互いに惹かれ合う。
この二人の間にも希望~秘密の約束が生まれる。

青みがかった荒涼とした風景のなかで、オンディーヌの肢体が美しく映える。
彼女の泳ぎの美しさ~水中の光景も、幻想性の現実性を高めてゆく。
そう、知っていながら関係を引き延ばしてゆくシラキュースと彼女の覚束ない現実が維持されている。
村人みんなから好奇の目でジロジロ見られているのも彼らの際どいポジションを照射している。
だが、元妻の飲酒運転の自動車事故で夫が死に、その通夜でシラキュースは3年近く禁酒していたのに誓いを破りたらふく吞んでしまう。
その酩酊した勢いでオンディーヌとの関係をただの「御伽噺」に終わらせてしまおうと、彼女を近くの島に置き去りにしてしまう。
ここで、これまで故意にうやむやな形で維持してきた(幻想的)関係を現実の下、はっきり更新するときがやって来た。

それこそ「恋」の力であり、ドナーが見つかり移植手術の成功したアニーの活きのよい強い希望の力により更新が図られる。
特にシラキュースとオンディーヌの幸せになることへの恐れをアニーが吹き飛ばす。
そして生を真正面から肯定する姿勢が、改めて現実的に3人を強く結びつける。
この流れは映画の鑑賞者の希望にも重なるものであろう。

オンディーヌを連れ帰えるところで、彼女の素性が明かされ、以前の相方が彼女に託した麻薬を奪い取りに来る。
彼女は麻薬の運び屋をさせられていたのだ。(道理で誰からも身を隠そうとしていたのだ)。
彼らは絶体絶命の身の危険に晒されるも、アニーの機転により、泳げない相方を麻薬の在処を餌に誘導し、海で溺れさせ無事に危機を逃れる。

外国人であるオンディーヌを繋ぎ留める(強制送還から守る)には、結婚しかない。
最後はこの話から考えられる理想的な結末と言えよう。

Ondine002.jpg


神秘~幻想の力をリアルに感じるよい映画である。
カメラ~撮影のセンスによるところが大きい作品でもあった。
キャストが良かったが、アリシア・バックレーダの自然な美しさが際立った。
少女アニーのアリソン・バリーは注目株だ。

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