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昼顔

Belle de jour002

Belle de jour
1967年
フランス・イタリア

ルイス・ブニュエル監督・脚本

カトリーヌ・ドヌーヴ、、、セヴリーヌ(ピエールの妻)
ジャン・ソレル、、、ピエール(夫、医師)
ピエール・クレマンティ、、、マルセル(若いチンピラ)
ミッシェル・ピコリ、、、マッソン(女好きの夫の友人)


「欲望のあいまいな対象」「自由の幻想」「ブルジョワジーの密かな愉しみ」「小間使の日記」など観てきたが、これは美しいがとても普通に観ることができた。頭を捻る部分がない。感覚は捻るが(笑。


カトリーヌ・ドヌーヴ繋がりで、、、。
馬車の鈴の音で始まる導入部。
現実とは真逆なサディスティックな性的夢想である。

所々で、「反撥」に似た幻想が見られるが、これは一種の妄想であり、白昼夢である。
現実が異様に克明に描かれ、ささくれ立って立ち現れている映像ではない。
「反撥」は優れてシュール・レアリスティカルな作品であったが、こちらでは現実と妄想が織り成す心象が印象的に描かれる。

非常に自制心があり理性的で優しい夫をもつ、放逸な性衝動に身を任せてゆく若妻がじっくりと描かれる。
カトリーヌ・ドヌーヴが最初から最後までひたすら克明に描写される点では、「反撥」と同じであるが。
夢に見るサディスティックな性愛の欲望を現実に解き放つとどのようなドラマが生まれるか、、、。

セヴリーヌは、夫の女好きな友人マッソンから聞いた高級売春宿に自ら足を運び内緒で務めることにする。
「売春は最も古くからある職業だよ。知っているかい?」彼女にとって少しばかり後押しとなっただろうか。
夢にも現れる欲望を補償する半ば無意識で意図的な行為であろう。
女主には、彼女の上品で貞淑な雰囲気が気に入られ直ぐに雇われる。
2時から5時までの契約できまり。
その働く時間帯から名前は「昼顔」となる。
娼館の女主のセンスはなかなかのものである。
客相手の百戦錬磨という感じで、話のもって行き方もうまい。

そこにやって来る客も飛んでもない性癖のある客がいて面白いことは面白いのだが。
日本人はどう見ても日本人ではない。
この時代でも、あんなイメージなのか?しかも支払いに「芸者カード?」を出して、断られ現金を出すという、、、。
笑えない変な設定だ。日本(人)のイメージがまだ随分デタラメで稚拙である。
著名な産婦人科医もかなりどぎついマゾヒストの客であり、各自に合わせた作法を心得ている必要があることを彼女は知る。
そして屍体愛好家の公爵家に呼ばれ屍体に扮することまで経験する。
彼女はその高級売春宿の稼ぎ頭にまでなっていた。

このドラマで強烈なスパイスを効かせているのが、銀の差し歯と仕込みステッキが凶暴さを際立てるマルセルである。
短絡的に人殺しをする衝動的で激情型の人間である。
単に危ないだけである。
しかし、セヴリーヌと相思相愛の仲になってしまう。
彼には夫にない粗野で粗暴なむき出しのエネルギーがある。
そういうところに惹かれたのか。
しかし、彼女は夫への愛は別の次元のものとしてしっかり持っているという。
だが、よりによってマッソンに娼婦の仕事を知られてしまい、きっと最後に罰せられると、罪悪感に苛まれる。
(これは絶対に誰かにバレるものだ。単に時間の問題だろう)。

彼女は娼館を止めるが、それに腹を立てたマルセルが彼女の高級な自宅に押しかけてくる。
経済的に恵まれていて、立派な夫もいる事を知る。
彼はセヴリーヌを独占したい為、夫を邪魔だとして銃殺を企てる。
自宅前で待ち伏せしたマルセルにピエールは撃たれる(確か3発)。
ピエールはそこから車で逃走を図るが、ポリスに撃たれ死ぬ。
直ぐに病院に運ばれたピエールは一命を取り留める。
彼女が予感していた罰は自分自身ではなく夫に下ってしまった。

最後、車椅子で口がきけず身体の自由の効かない夫に対し、始めて深い愛情を感じるセヴリーヌであった。
マッソンにより彼女の娼婦として働いた一件も夫に伝えられていた。
彼女の幻想で、最初と同じように馬車の鈴の音が響く、、、。
何故かとても安堵感を与える光景だ。

Belle de jour

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