カッシーニ グランドフィナーレ

NASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)の共同開発によって1997年に打上げられた土星探査機カッシーニ。
当時、34億米ドルを使って送り出された。(これ以降、かけられる費用はどんどん減ってゆく)。
太陽電池ではなく原子力電池で運航、作動。(太陽光が僅かなため)。
ついに燃料もなくなり、いよいよ最期のミッションに入る。
時折、気になりNASAのHPを覗いていたものだが、、、。
まりのるうにいの絵でもお馴染みの土星である。
稲垣足穂の短編ではヒトでもある。
(輪っかをバーの入口に置いておいたら誰かに盗まれたとか、、、)。
ここでは、その土星専門機カッシーニ(パイオニアやボイジャーは通りすがりの探査)の噺を少しばかり、、、。

金星→金星→地球→木星の順に重力フライバイして土星に到達。
これが使える条件(並び)が600年に一度のチャンスであったという。
その後、搭載していた惑星探査機ホイヘンス・プローブをタイタンに着陸させ大気の組成・風速・気温・気圧の観測を行った。
カッシーニ=ホイヘンスのやったこと、、、。
○ホイヘンスプローブのタイタンへの着陸。
○衛星エンケラドゥスの氷の噴煙の吹き上げを観測。
○土星のリングが30以上あり、自転速度もそれぞれ異なる活発で動的なものであることを発見。
○今もリングのなかから衛星が形成されている。現在62個の衛星が発見されている。
○タイタンが地球の他に唯一降雨があり、川、湖、海を持つことを発見。
○ただし、タイタンのメタンは生物由来ではないことも確認。
○2010-2011年の土星の北側で起きた大規模な嵐を調査。
○土星からの電波パターンは、土星内部の回転には拘束性がないことを確認。
○リングの垂直構造~捻じれ(外側の2本のリング)を明らかにする画像を初めて取得。
○環と環の隙間に存在し環の崩壊を防ぐ役割の衛星ダフニス(他4つ)の発見。
○衛星イアペトゥス表面で30カ所もの巨大な地滑り跡を発見。(大きさ比で表面地形の高低差が最も激しい)。
○土星両極の巨大なハリケーンを発見。
○北極の6角形の様子をカラー撮影。ジェット気流下の風に押されることで幾何学模様が形成され崩れないことが解明される。

環の間の衛星。

ヘキサゴン。(モノクロ)

天然色の環。AとBリング。
そして、「グランド・フィナーレ」
土星本体と環との間へ飛び込み、通り過ぎる軌道を22回繰り返す!
さぞや荘厳なヴィジョン~「末期の目」であろう。
これまでに、2004年に土星に到着してから127回、衛星「タイタン」をフライバイし探査してきた。
4/22に最期のフライバイを行い、4/26から「グランド・フィナーレ」に入った。
この間、磁気と重力の精巧なマッピングと上層大気の接写を行う。
土星最近傍からカッシーニが見るはずの景色を夢に見たい。
9/15に土星大気圏に突入し流星のように燃え尽き、13年にわたる土星探査を終了する、、、。
今ほとんど宇宙の探査といえば、地球外生命の探査とも言える状況となっているが、、、。
例えば、タイタンの低温の炭化水素の湖に生命の可能性を探るとすれば、地球とは異なる化学の系を必要とすることになる。
生命の系という観点から見れば、太陽系に独立した起源を持つ2例目の生命が存在する探査を意味しよう。

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