PICKUP
ザ・ミスト
末期の目
美しき冒険旅行
レヴェナント: 蘇えりし者
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
シャイン
トイレのピエタ
カッシーニ グランドフィナーレ
ゴッド ファーザー
それでも恋するバルセロナ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
魔術師
ブラック・スワン Black Swan
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
LUCY ルーシー
ミツバチのささやき
娘ふたりと女子美へ☆彡
父 パードレ・パドローネ
写真についてーⅡ
去年マリエンバートで
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

トイレのピエタ

Pietà004

2015年
松永大司:監督・脚本
手塚治虫:原案

野田洋次郎、、、園田宏(末期ガンの青年)
杉咲花、、、宮田真衣(女子高生)
リリー・フランキー、、、横田亨(園田と同じ病院に入院している患者、友人)
市川紗椰、、、尾崎さつき(新進画家、園田の元彼女)
大竹しのぶ、、、園田智恵(母)
岩松了、、、園田一男 (父)
宮沢りえ、、、橋本敬子(園田と同じ病院の親しい少年の母)


十字架から降ろされたキリストを抱く母マリアの聖母子像をピエタと呼ぶ。
サン・ピエトロ大聖堂に展示されているミケランジェロの作品がもっとも知られている。
「何故死んだ我が子をこんなに穏やかに優しい目で見つめられるのでしょうね」(橋本敬子)
息子は手術の甲斐無く死んでしまう。病院の友達には退院したと伝えられる。
Michelangelo Pieta003


手塚治虫が亡くなる前の日記の最後のページに書いていた作品の構想を元に製作された作品だという。
「浄化と昇天」
トイレにミケランジェロさながらのピエタ像を描ききって、胃癌で息絶える若者の物語だ。
(手塚治虫も胃癌であった)。

前半は冗長気味にだらだら怠惰な雰囲気で話が流れてゆく。
飄々としたリリー・フランキーによるところが大きい(笑。
重いものを抱えた掴みどころの無い役が上手い人だ。
杉咲花はやはり目力があって若手実力派という感じであった。
真衣が金魚とプールで泳ぐところは、なかなか絵として気持ち良い。
(本人も気持ち良さそうであった)。しかしプロット的に今ひとつ意味が分からないところではある、、、。
Pietà003
彼女も日々、母親の愛には恵まれず、認知症の祖母のケアで息詰まっている。
ひょんなタイミングで園田宏の余命(3ヶ月)を知らされ、腐れ縁となった。
彼女は相手の余命がどうだなど、全く遠慮しない。
ただ、お互いに引き合うものがあるのだ。
「あんたなんか自分で生きることも死ぬこともできないじゃん!」
結構、正統できつい指摘を度々してくる。
感情がストレートに出るタイプ。
しかしそれに対して「そんなのわかってるよ!」と叫んで返す園田。
確かにそれ以外に何を答えられよう?

大学時代の彼女で今は絵描きとして賞にも輝き成功している尾崎さつきが彼らと対比する存在として現れる。
自分のやるべきことに一途で全く嫌味はないが、晴れ舞台を突き進んでゆく彼女はもう彼の世界の住人ではなかった。
ここで演じる市川紗椰嬢は、実際の彼女に近い気がする。
もう少し彼女の演技を見たかった。

元々自らをビルに張り付いた虫だという園田宏の覇気のなさは自然で良い。
しかし画家を諦めて高層ビルの窓拭きアルバイトというのも何か面白い。
これまで塗ってきた絵の具、全ての線や色を自ら拭き取っているみたいで。
決別したいと思ったらやってみたくなるバイトかも知れない。
しかし園田は作業中に突然倒れ医者に運び込まれて検査を受けると胃癌であった。

最初は副作用に悩まされながら抗癌剤治療を入院して続ける。
隣ベッドの怪しいオヤジ横田亨とも何故かウマが合う。
白血病の少年と心を通わせたり、その少年の死に際し、母親から少年の絵を頼まれる。
しかし絵を捨てた彼は彼女の懇願を退けるのだ。
その後、転移もみられ、医者に最後の日々の暮らし方を尋ねられた。
彼は退院して余生を自分のアパートで過ごすことにする。
実家には少しばかり顔は出すが、そこに戻る気はない。
これは、分かる。わたしがその立場でも絶対に実家に戻ることはあり得ない。

Pietà001
しかし間近に死を突きつけられたとは謂え、何がどう変わる訳ではなかろう。
恐らく何も変わらない。
何をか認識を得たり、見えてきたりするものではない。
体調が変わる(悪化する)としても。
(いや、余りにも体調の変化や苦痛~激痛が描かれていなかった気はする)。

真衣と横田の存在は大きい。
彼らは園田の生に火を灯したことは確かである。
絵を描く気になったのだ。
(わたしは、まだまだ、ならない(笑)。
天井向いて一心不乱に描くとところなど、まさにミケランジェロである。

Pietà002
横田のヴィデオにおさまりつつ、、、
「僕、いま生きてますよ」
このセリフで締まった!


絶命した園田を抱く構図の絵~聖母は紛れもなく真衣であった。

何でも最後は肝心である。


”RADWIMPS”というグループの音はまだ一度も聴いたことがない。
であるから、野田洋次郎というギター&ヴォーカルという人も初めて見た。
素人臭さが良い意味で生きていた。市川嬢と共に。

関連記事

COMMENT

改めて☆

改めてGOMAさまの
映画レビュー群
ほんとうに素晴らしいですね。

今や、ライフワークのようでもあり
(ココロが深く結びつけられるのは、お嬢様たちだけでなく)
このまま論文も書けそうですね^^

こちらの映画は、未見ですが
レビューから伝わり
迫ってくるものがありました。

>しかし間近に死を突きつけられたとは謂え、何がどう変わる訳ではなかろう。
恐らく何も変わらない

そうですね・・・
そう思います。


ですが、”末期の目”
は、あろうかと・・・。

今日のエストリルのクリスマスローズは
末期の目
これでゆきますね。

追伸

>「何故死んだ我が子をこんなに穏やかに優しい目で見つめられるのでしょうね」(橋本敬子)

(作品は、鑑賞者のものですからね。)
達観された方の見方でしょうか。

私は、あの哀しみ
周囲を静寂で埋め尽くすあの哀しみ
其処に
ただ取り込まれるほか術はなかった。

穏やかさ、優しさを感じ取るには
未だ未だ未熟のようです。)

ありがとうございます☆

私は、あの哀しみ
周囲を静寂で埋め尽くすあの哀しみ
其処に
ただ取り込まれるほか術はなかった。


SAKI様、間近にご覧になっているのでしたね。
(もう何でもご覧になっていらっしゃるから、その再現性~解像度もどれほどのものか!)
わたしは写真集ですから、、、。
話は逸れますが、今はかなりのものですが、昔の写真集は飛んでもなかったです、、、。
わたしは、ギュスターヴ・モローが大好きで、彼の「オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘」の模写をしていたのですが、その数年後にparcoから出た鮮明な写真集を観てびっくり、、、ビリジアンと思っていたところがビリジアンブルー~コバルトブルーに近い色で、彩度だけでなく色相すら異なり、こりゃ塗り直さねばと呆れました(笑。
ですから当然、実際にその場で観ている人には叶うはずありません。
その場所~時空というのが肝心なのかも知れませんね。
絵や彫像には固有の広がり~延長がありますし。


この物語で最後、主人公がトイレの天井に向かって絵を描いてゆく様子が、横田(リリー)によってヴィデオに撮られてゆくのですが、そこでそれまで見せなかった晴れやかな顔を向け、「僕、いま生きてますよ」と確信に充ちた言葉を発します。

実に淡々としていましたが、、、。
生を全うした良い死に方だと思いました。
(その時、身近に横田や真衣のような人がいるかどうかも大きいですね)。


また宜しくお願いします。

EDIT COMMENT

非公開コメント

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
日々思うことを綴ってゆきます。
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ることもあります。
悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

*当サイトはリンクフリーです。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
最新トラックバック