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めし

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1951年
成瀬巳喜男:監督
林芙美子:未完の絶筆『めし』原作
脚本:田中澄江
監修:川端康成

上原謙、、、岡本初之輔
原節子、、、岡本三千代
島崎雪子、、、岡本里子
杉葉子、、、村田光子
風見章子、、、富安せい子
杉村春子、、、村田まつ
小林桂樹、、、村田信三

東京・大阪の戦後復興期の街の風景が何ともリリカルである。
どこの国の風景だろうか、、、と見入ってしまう無国籍な抽象性であった。
「くいだおれ」も不思議で感慨深い。

小津映画で完成された原節子のイメージとはまた異なる彼女の姿が見られるが、憂いに充ちた横顔がギリシャの彫像のようで美しかった。
こういう原節子も味わい深い。
小津作品での原節子のことをよく書いてきたが、「青い山脈」、「安城家の舞踏会」の原節子がもっとも生き生きしていて魅力が感じられる。どちらも小津映画ではない、、、。勿論、「東京物語」の彼女は素晴らしいの一言だが、あれは作品の出来具合の良さで、誰もが神々しく輝いている。
この映画もまた彼女の異なる魅力が引き出されていると思う。

聖女ではなく、生活に疲れ猫に孤独を紛らわす市井の主婦を演じる。
「所帯疲れよ」と自ら突き放したように騙る原節子である。これは新境地か。

前半はひたすら彼女が倦怠感と疲労の漂う表情で、イライラとしながら家事に追われている。
「まるで女中よ」と、夫の転勤で大阪に居ることにも不満があるようだ。
周囲からは何の苦労もない幸せな夫婦と思われている。
当人もそれに対し真っ向から否定するような素振りは一切見せない。
だが陰鬱な疲労感が日々鬱積してゆく、、、。

仕事を持って故郷の東京で働きたい。そう思うようになるが、そこへ里子が転がり込む。
彼女は親が設定した縁談が気に食わず家出してきたのだ。
所謂戦後の現代っ子であろうか。
この時期の映画にはしばしばこういう思い切り自由な女性が現れる。
その後の彼女の、大阪での羽の伸ばし方が尋常でなく、遊びほうけて周囲も呆れるばかり。
三千代も彼女に対して不満を抱きつつ、自分の影とも言えるその存在への関心は保ち続ける。

さんざん自由に振る舞い迷惑をかけていた里子が実家に帰るに乗じて、三千代も一緒に東京の実家に帰ることを決断する。
実際に東京で仕事を見つけて張りのある生活をするつもりなのだ。
しかし、実家で父親に叱られた里子が今度は三千代の実家にまたもや転がり込む。
これには三千代も驚きまた呆れる。
そこで里子は勝手で我儘な生活ぶりを繰り広げようとする。
だがその姿に三千代は逆に、日々の生活の反復の価値に気づかされ思わず笑ってしまう。
冒頭で林芙美子の文章を原節子のナレーションで騙る部分に重なる。
これが基本コンセプトなのだ。

ここでも列車の移動するなかでの想念と思考の推移が描かれる。
最後の夫と共に大阪に戻ってゆく列車内での自覚と認識が告げられる。
生活の川に泳ぎ疲れて漂いしかも戦って、今は居眠りしている夫の平凡な横顔を見ながら、この人に寄り添って生きることが自分の本当の幸せなのだ、、、と微笑みを漏らしつつ悟る。
諦観を超えた生きる価値を見出すくだり、、、如何にも帰りの列車の中が似合う。


しかし元に戻れば反復する日常が待っている。
われわれに出来るのは、如何にこの反復を更新して行けるかだ。
日々新たに、、、向き合ってゆくか。
この先も毎日、「めし」を食べてゆくわけだ。
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