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砂漠の流れ者

The Ballad of Cable Hogue001

The Ballad of Cable Hogue
1970年
アメリカ

サム・ペキンパー監督・製作
ジョン・クロフォード、エドマンド・ペニー脚本

ジェイソン・ロバーズ、、、ケーブル・ホーグ(砂金掘りの流れ者、駅馬車中継駅の主)
ステラ・スティーヴンス、、、ヒルディ(娼婦)
デビッド・ワーナー、、、ジョシュア(似非牧師)
ストローザー・マーティン、、、ボウエン(砂金掘りの小悪党)
L・Q・ジョーンズ、、、タガート (砂金掘りの小悪党)


久しぶりのサム・ペキンパー監督の作品。
「ゲッタウェイ」「ワイルド・バンチ」「ガルシアの首」「 戦争のはらわた」、「わらの犬」、、、などとても印象を深く残す作品ばかりであるが、わたしにとってはとくに「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」の演出・脚本も強烈なインパクトを残す。
わたしの一番のお気に入りは「ゲッタウェイ」であるのだが。
これも何とも言えない印象を残す作品となった。

初っ端から歌がたくさん唱われて、何か長閑な雰囲気の映画である。
最初の歌が流れたときは、これってミュージカル調の映画なのか?と思って見るのを躊躇したが、サム・ペキンパー監督のものである。
そのまま観る事にした。
いきなり主人公であるケーブル・ホーグが砂漠で仲間2人に身ぐるみ剥がれ、放置されてしまったところから始まる。
彼は水のないところで独り半死半生の苦闘を演じ、神にすがり神を呪いつつ諦めかけた時に水を掘り当てる。
そこからその場所を登記しインチキ牧師とともに小屋を建て、駅馬車の中継駅を経営する。
娼婦のヒルディとも恋仲となって、安定した幸せと言ってよい日々が過ぎてゆく。
しかし彼は、もうすんでのところで命を落としかけた仲間の裏切りに対する復讐心は失ってはいなかった、、、。

スローモーションや派手な撃ち合いなどは一切ない。
お洒落なタイトルバックは「ワイルド・バンチ」に準じていたが。
主人公が腰抜けと呼ばれているのだ。
実際のところ、腰抜けでも何でもない、心優しく商才ある堅実な男だが。
やはり変わった主人公ではある。

見終わってから、これも西部劇であったのだ、と気づいた。
もう車が走り出した西部劇時代の末期か?
砂漠で裸一貫、一花咲かせた男の奇妙な何とも悲哀のある人生が描かれ、象徴的な締めくくりで終わる作品である。
この監督のいつもの作風とは異なるとはえ、大変味わい深い魅了される作品であったが、何よりもケーブル・ホーグという男に惹かれてゆくのだ。
砂漠に留まり続けたところが良い。
わたしは、ここでこの男に強く共感し、より映画にのめり込んだ。
(ちょいと儲けたところでいそいそと街に移り住んだとしたら実に詰まらぬ男である)。

そして砂漠の地においてケーブルとヒルディとジョシュアの朴訥で細やかな話が織り成される。
ここは面白く、綺麗である。
ケーブルは善人でも悪人でもなく、ケチでもあるが優しく大らかでもある。
よく映画で描かれる、はっきりした主人公でないところに好感が持てる。
とてもユニークな普通の男なのだ。
(実際そうしたものであろうし、その方が馴染める)。

そして最後、自分が長年砂漠で待ち続けた敵の二人に自分の経営する駅で出逢う。
一人は射殺し、もうひとりはお情けで許し自分の後継者とする。
ここの攻防は派手さはないが、相手に姿を見せぬ上下(高低)の地形での毒蛇を使った作戦などでかなり楽しめた。
何れにせよケーブルはこころに誓っていた復讐は成し遂げたのだ。
ひとつの大きな目的を達してしまった。
そこへサンフランシスコで富豪となったヒルディが最新の車にお抱え運転手の運転でやって来る。
彼女にニューオリンズに一緒に行きましょうと誘われ彼は二つ返事で同意する。
ここで、彼を支えていた「復讐」と「砂漠」から彼は解かれてしまう。

運転手のサイドブレーキかけ忘れによる、交通事故死というこの時代としては突飛な事故死に見えるが、とても必然的で悲哀に満ちた死に思える。
その実、彼は周りが大丈夫というのにもうすでに自分の死を確信し、ジョシュアに生きてるうちに弔辞を詠ませるのだ。
ジョシュアの詩人としての資質が窺える、美しいスピーチである。
このシーンが一番こころに残った。
最後はもう本当に死んで葬式の場面に移っている、、、。

「戦い愛した砂が今、彼を覆い、、、永遠に留まることのない魂の流れの中に入る、、、彼にはある面では神のお姿に似たものがある、、、この砂漠で生きて死んでいったことを考えても、、、彼は並みの人間ではない。」

牧師の言葉を聴きながらひとりまたひとりと姿を消してゆくところが本当に物悲しくも美しい。




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