PICKUP
ザ・ミスト
末期の目
美しき冒険旅行
レヴェナント: 蘇えりし者
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
シャイン
トイレのピエタ
カッシーニ グランドフィナーレ
ゴッド ファーザー
それでも恋するバルセロナ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
魔術師
ブラック・スワン Black Swan
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
LUCY ルーシー
ミツバチのささやき
娘ふたりと女子美へ☆彡
父 パードレ・パドローネ
写真についてーⅡ
去年マリエンバートで
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

風立ちぬ

アニメーションの名作を観たくなった。
やはり宮崎アニメにした(笑。
The Wind Rises

The Wind Rises
2013年

宮崎駿監督・原作・脚本
久石譲音楽
荒井由実「ひこうき雲」主題曲 懐かしい、、、


庵野秀明、、、堀越二郎
瀧本美織、、、里見菜穂子
西島秀俊、、、本庄
西村雅彦、、、黒川
スティーブン・アルパート、、、カストルプ
風間杜夫、、、里見
竹下景子、、、二郎の母
志田未来、、、堀越加代
國村隼、、、服部
大竹しのぶ、、、黒川の妻
野村萬斎、、、カプローニ

宮崎駿監督はこの作品を最後に実質的引退宣言を出す。(以降、長編には関わらない)。


零式艦上戦闘機(零戦)の設計者として有名な堀越 二郎をモデルとしているが、顔がそっくりである。
零戦とは美を追求して作られた高性能航空機だったのだ。
一機も戻らなかった儚さもよい、、、。

主役が何と斬新な声優か?と思って調べると庵野秀明だった。
宮崎監督、直々のご指名だったらしい。
う~ん~、だね、、、。
最後まで馴染めなかった(笑。
(声とか言い回しとか口調ではなく、流れが途切れるというか唐突感があって、気になってしまう)
勿論、わたしも「新世紀エヴァンゲリオン」ファンであることは、ことわっておきたい。


物語ではかなり技術的な検討や議論をし合うところもあり、ワクワクするところでもある。
また、地震や火災などの自然の描写が正確にディテールまで追われていた。
(地震の収まる間際の小石の共鳴するような動きなど、、、)
そこが音響も含め新鮮であった。
(怪獣の鳴き声のような地鳴りの音などとてもリアルであった)。

堀辰雄の『風立ちぬ』でも女性が絵を描いていた。
その引用でもあるのか、里見菜穂子も絵を描いている。
結核も堀辰雄同様、患っているし。(そう、このアニメーションは、ふたりの堀氏に対するオマージュである)。

ドラマもよく練られている。
面白いのは、二郎のイメージや夢~白日夢が日常と繋がって流れてゆくところだ。
彼は明晰な理論家であると同時に、夢見がちなロマンチストであることがよく分かる。
イタリアの飛行機技師カプローニとも普通に逢ったように対話をしている。(これは一つ間違うと危ない)。
こころは、常に「美しい飛行機を作りたい」、、、という夢に満ちている。

二郎の職場に女性からという届け物が来て、アパートに戻ると女性の客が待っているという。
その人かと思ったら、自分の妹が待っていたのだった。来る事になっていたのを忘れていた。(彼はいつも妹の来る日を忘れる)。
最初は後ろ向きで、見返ると見違えるくらい大人になった妹がいた、、、というのも洒落たところだ。

お目当ての女性には、風に飛ばされた二郎の帽子を彼女が受け止めた最初の出会いのように、今度も風で飛ばされるパラソルを二郎が受け止めたところで出会う。
常に二郎と菜穂子との間には風が吹いていた。

風に乗せて紙飛行機を飛ばす。
それを取り合って遊ぶ、束の間のスリリングで覚束なさ、、、が彼らの人生そのもののよう、、、。


非常に優秀で一途な性格の二郎は、革新的な技術を開発し、斬新なアイデアによるデザインの飛行機を設計してゆく。
軍部から出される条件は法外で過酷なものであったが、それを充分満足させる成果を打ち出す。
ついに零戦の誕生をみた。

しかし次郎は諸手を挙げて万歳をしている場合ではなかった。
二郎に心配させまいと振舞う菜穂子の結核は、すでにかなり進んでいたのだ。
彼も医者となった妹加代の忠告で、そのことは感じていた(なかば覚悟していた)。
重篤な症状を最後まで見せずに菜穂子は彼の前から姿を消す。


「風たちぬ、いざ生きめやも 」

「あなたは生きて、、、」と菜穂子の語るように、、、。

風がにわかにざわめきたつ、、、生きよう(生きることを試みなければ、、、)である。

堀越二郎にとっては、涙を流しながらも、汽車の中で設計を進め続けるしかない。
何かを創造する者のそれは宿命なのだ。
そして何よりそれを分かっている菜穂子は、残された少しでも多くの時間を次郎の側に寄り添い、綺麗なうちに消えることを選ぶ。

そして両者の心情を余りに深く理解している加代の張り裂けそうな悲しみと切なさ、、、
彼女は、もう戻ることはない覚悟で立ち去った菜穂子の後を追い号泣する。
これにはわたしも耐え切れない。

二郎も「ありがとう」と、、、風に向かって、、、逝ってしまった菜穂子に語りかける。
上司の里見も最初の、ただの効率主義の仕事人間でぶっきらぼうな性格から、とても暖かく包容力を示し彼らを見守る人になる。これは、彼本来の姿というより、ふたりと関わるうちに変わっていったものが大きいと思う。


どの登場人物にもリアリティと変化と厚みがあり、とても共感を寄せられる。
素敵なアニメーションであった。


関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

*当サイトはリンクフリーです。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
最新トラックバック