シチズンフォー スノーデンの暴露

Citizenfour
2014年
アメリカ・ドイツ
ローラ・ポイトラス監督・製作・脚本・撮影
エドワード・スノーデン、、、本人(ブーズ・アレン社アナリスト、SE、ハワイNSA勤務、CAIアドバイザー、ソリューション・コンサルタント、通信情報システム管理者)
グレン・グリーンウォルド、、、本人(ジャーナリスト)
ローラ・ポイトラス、、、本人(監督)
監督自身、イラク戦争やグアンタナモ収容所についてのドキュメンタリーを製作したことにより、政府からの監視や妨害を受けてきた人である。しかし、今回の映画製作のスケールは途轍もないスケールになった。
彼女の元へ暗号メールを送りつけてきた人物こそ、、、
コードネーム:シチズンフォー
元CIA職員エドワード・スノーデンであった
彼の世界中を揺るがす大暴露が始まる。
われわれは監視が前提のネットであったことを知る。
随分前に彼のことではUFO絡みの軽い記事をしたためた。
(そう言えば、当時興味本位であることないこと彼に絡めて面白可笑しい記事が一杯出回っていたものだ)。
洒落みたいなことを言っていて良いのか、、、と身を正される非常に重い内容であった。
と、同時に改めてわれわれが如何に「情報」というものを捉え、扱い、それに向き合ってゆくか課題を突きつける内容である。
問題はプリズムによる、政府の市民の個人情報傍受管理システムの拡張にとどまらない。
(プリズムでフェイスブック、スカイプ、ユーチューブ、ヤフー、ホットメールの情報は全て盗まれている)。
アメリカの国家安全保障局(NSA)だけでなく、各国政府もそれぞれ深く関与している全世界的な動きである。
ドローン攻撃の基地はドイツにあった、、、等。
世界的に巨大なIT企業にも皆、バックドアを設けさせてその情報収集に加担させているという。
NSAはそれらの大会社のサーバーに自由に直接アクセスできるのだ。
これでは、もう止めどなく個人データは権力側に収集され市民は圧倒的不利に立たされざる負えない。
いよいよ完全管理社会が現実化してゆく。「1984」(ジョージ・オーウェル)の描く社会の到来か、、、。
「政府によるプライバシーの喪失!」である。
しかも抜け抜けと、9.11を口実に、国防の為と嘯く「愛国者法」が制定され政府に広範な権限が与えられてしまう。
無差別な情報収集に更に加速が加わる。(テロを正当化の理由に使われては犠牲者たちも浮かばれまい)。
実際の収集はテロとは関係ない国家間の競争に関するものばかりという、、、経済、主に金融関係か、、、。
調べてみると企業や財務関係の情報こそがターゲットになっているらしい。
また、情報そのもののゲットだけではなくその発信者の追跡も大きな目的のひとつでもある。
われわれは、オンラインでしていること全てを収集されているのだ。
使用した検索キーワード、訪問ウェブサイト、、、。何と口座の自動引き落としまで操作対象になるようだ。
スノーデン氏の話では、セレクター機能により、特定の個人のやり取りの過程の全データが手に入り、全ての人間関係とその個人の足取りが掴めてしまうようだ。
この対象とされている人間は120万人をのぼるという。
それらの行為を全て「国防」の名~ことばの元に誤魔化し強行している。
しかもこういったNSAのような機関を監視する独立機関は存在しない。
その為やりたい放題である。これでは完全に支配~被支配関係の成立ではないか。
情報を握る者と握られグウのネも出ない者。
実際、告発者であるスノーデン氏の立場(NSA通信情報システム管理者)であれば、トップシークレットにアクセス権限があり、その階層で、どうにでも出来ることを意味する。
この極悪非道の暴挙は絶対に阻止しなければならない。
映画内でも警告されているようにプライバシーの侵害はそのまま自由の喪失に向かう。
個人の自立もなにもあったものではない。
その萎縮効果は北朝鮮を見れば火を見るより明らかだ。
ヒトは内面から虐殺されている。
「個人」という「主体」がこの世から消失して逝くのだ。
マイナンバー制、通信傍受法改正、秘密保護法、、、日本でも遅ればせながら先進国アメリカにいつものように追従してゆく。
安倍政権を打倒したとしてもこの方向性(依存性)というより傀儡体質、、、が変わるとは思えない。
というより、このドキュメンタリー映画では日本のことは全く語られていなかったが、きっとクソ情けない片棒を担がされていることは間違いない。ここではイギリスがそうであったが、よく分かる。ブッシュ政権時のトニー・ブレアなどまさにそうだった、、、「有志同盟」だとか。
「華氏911」みたいなのをまた、マイケル・フランシス・ムーアみたいな人がやらかすのも良いかも知れない。
この危機をより広く知らしめる意味でも。
フィルムの最初の方では、スノーデン氏は、個人としての自由が侵されることに敢然と立ち向かう意思表明をする。
そしてジャーナリスト、グレン・グリーンウォルや監督のローラ・ポイトラスとメディアに顔を出すタイミングなども相談する。
確かに出ておいた方が、安全だ。
余裕をもった力強い表情で気さくに重要機密に関する事柄を語っていたスノーデン氏であったが、2013年6月12日アメリカ政府から告訴され香港に引渡し請求が出されてから以降、次第にグレン・グリーンウォル(ガーディアン誌)ら勇敢なジャーナリスト達も含め権力の圧力、身の危険が感じられてくるようになる。
わたしが潰されてもヒュドラの法則で次の7人が立ち上がる、と毅然とした態度でいたスノーデン氏の表情から明らかに余裕が消えてゆく。
彼は香港ではその身が危なくなり人権派弁護士とともに国連経由でロシアに運ばれる。
この時、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏も彼の政治亡命を手助けする。
しかしスノーデン氏は空港ロビーで40日間の足止めを食らう。アメリカ政府が旅券を抹消したからだ。
(オバマも狡猾である)。
結局、政治亡命としてロシアから1年間の滞在許可が出されたが、いよいよその後が問題となってきた。
アメリカもトランプとなり、引き渡される危険性も高まっている。
今後、目は離せない。
「スノーデン」という映画も封切りとなり、6月頃にはメディアとしても販売される見込み。
こちらもぜひ観なければ。
この怒りは、断じて鎮めてはならない。
今日リンクを張った記事に対する展開と訂正も含め、「UFOがよくTVに映る年でした」もご確認の程を。
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