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詩人の血

LE SANG DUN POETE THE BLOOD OF A POET001

LE SANG D'UN POETE/THE BLOOD OF A POET
1930年
フランス

ジャンコクトー監督・脚本・編集
ド・ノアイユ伯爵製作
(芸術と貴族の結びつき)

エンリケ・リベロ(詩人)
エリザベス・リー・ミラー(彫像、ミューズ)


この16年後に次作「美女と野獣」が製作される。

途中3回眠ったが、夢の中でもシームレスに見ていたので問題ない。
ひとことで謂えば、いつサルバドール・ダリが飛び込んできても可笑しくない映画だ。
つまり詩的で私的な作品。
コクトーの想い~原型的記憶に触れられそうな。


ダルジュロスがここでも出てきて雪玉をぶつける。
同じシーンだ。
これを20年後の「恐るべき子供たち」まで温めてゆくのか。
ジャン・コクトーにとって、この雪玉投げはどのような意味~価値をもつのか?
余程、拘りのある特別で大切な個人的イメージなのだろう。
そんな気が無理なくしてくる。

掌の中の口のイメージはかなりの尺を取った。
自分の描いていたビーナス像の口が掌に乗り移ったのだ。
この組み合わせは比較的思いつきやすい造形だ。口の部分は、身体の他の位置にも比較的移しやすい。
おまけに空気を吸いたいと言って窓も開けさせる。
口を自分の体のあちこちに暫く押し付けたりした後に、実際の彫像の顔に戻すと、彼女は喋りだす。
「ミギー」はここから着想を得たか?
手のひらの中の口は、メディアとしては、ここが発祥どろうか?

「怪我をした手」に驚いて逃げてゆく男。これは一般民衆の象徴か?
「詩人の傷」と続くところから、もう充分察せられる。
しかし詩的な想像力はここからしか湧いてこないだろう。

鏡の中に入れと彫像に促されて詩人は入ってゆく。
まさに、プールにドボンである。工夫は感じるが。
これは、21年後の「オルフェ」で見事なまでに艶かく瑞々しい鏡への浸透シーンへと結実する。
鏡に入るシーンは、絶対いつかリベンジを果たそうと練りに練った計画を進めていたことだろう。
撮影・編集技術のみならず、、、。しかしそれらしく見せるという現在の3DCG的な観念は微塵もないことも分かる。
ただ表現の深度として、このプールからオルフェの鏡までは、隔世の感は否めない。
コクトーの執念を感じさせる。

3Dの面取り像を想わせる頭像の影をゆるゆる回しながらの構成シーンはとても絵として面白い。
特に何をか示唆しようというものでもなかろうが。
全てのシーンを絵としてシュルレアリスティカルに構成するとても優れた要素~アイテムだ。

そして鏡の向こうに落ちてゆく姿は、まるでブラックホールに落ちてゆくモノのように見える。
光の波長が極限にまで延びてゆき、ゆっくり事象の地平に張り付いて見えるような。
そこで彼は実際、オルフェの原型の歩行移動を図っている。
その特異な運動イメージが凡そ仕上がっているのを確認できる。
疾風と重力の強い作用を受けた「オルフェ・ウォーキング」である。
そして随時リバースも加わる。

ブラックホールの中には、幾つものホワイトホールとしての噴出口が存在し、それは重くて熱いホテルの部屋の鍵穴さながらであった。
彼は詩人の目でそれらの穴を一つずつ覗いてゆく。
声も聴く。
きっとドアを開ければ別次元の宇宙が創造されるはず。
驚く程、芳醇な原型イメージである。
特に少女の空中遊泳の特訓には強度を感じた。
これらの鍵穴からまた無数の宇宙が開闢しそうな予感に震える。

破壊、水、ピストル自殺、血、カード(エース)、、、繰り返されるイメージ。
しかし、詩人であるがゆえ、飽きる。
部屋に帰還し、ハンマーを手に取り彫像を叩き壊す(笑。
何故か自分が彫像になっている、、、。
そして雪玉のシーン。
死んだ少年の間近でかつて彫像であった女性~ミューズ?とポーカーをしている。
面白いところは、詩人が死んだ少年の胸からハートのエースを取り出して勝負に臨むが、黒い天使が現れカードを取り戻し、少年を天に連れていってしまう、、、。
これによって、詩人は女に破れ、またピストル自殺をする。

目的を果たして女~ミューズは彫像の姿に戻る。
詩人というものは常に負けるものなのかも知れない。


「不死のものは退屈によって死ぬ。」
だろうな、、、と思う。
かなり真に迫った詩人の苦闘を極めて詩的に描いている。

LE SANG DUN POETE THE BLOOD OF A POET002


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