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双頭の鷲

L AIGLE A DEUX TETES001

L' AIGLE A DEUX TETES
1947年
フランス

ジャン・コクトー原作・監督・脚本

エドウィジュ・フィエール、、、(女王)
ジャン・マレー、、、スタニスラス(無政府主義者)

冒頭で「これは史実ではなく虚構であり、観客は現実と虚構とを混同無きよう。」とわざわざことわっている。
オーストリア皇后エリザベートに着想を得て作った戯曲を元にしているというが。
観客は、その虚構に酔いたいがために映画を見るのだが、何故敢えてそれを、ことわるのか、、、。
非常にノーブルな主人公ふたりの演じるこのファンタジーを見ているうちに史実と思えてきてしまうからだろうか。
しかし、それはそれで観客に任せれば良いことである。
コクトーの自信の現れであるか。


婚礼の日にクランツの城へ赴く途上、愛する王を暗殺された女王は、10年後の舞踏会の晩、王に生き写しの暗殺者(無政府主義者)に邂逅する。
というより相手が窓から転がり込んで来るのだが、、、最初は彼女の問いかけに彼は一切何も応えない。
彼はアヅラエルというペンネームで女王を誹謗中傷する詩を秘密出版物に掲載していた人物でもあった。
しかしその実、彼女への漠然とした叶わぬ(届かぬ)愛も胸に秘めていた。
初対面で、ふたりは恋愛感情を抱いている。それに贖おうとは内心しているが、、、。

女王は国民の信頼を得て国を治めていたが、亡き王の母君の大公爵夫人の権力が強く、また富豪やそれと結びついた(正確には手先の)警察が力を振るっていた。
女王は刺客を匿うが、書斎の隠し部屋から彼女を訪問した警視総監フェーン伯爵の言動を具に見て事の次第を知る。
自分は利用されていた。
スタニスラス(女王は彼の名を詩集から知っていた)と女王は本心で語り合い始める。

(何より)詩人である。彼は女王の朗読係に任ぜられる。
その時の「ロミオとジュリエット」の朗読が極めて音楽的で美しい。
(わたしもあんな朗読係が欲しい、、、と心底思った)。

最初はベールを被り、気丈でミステリアスな女王という雰囲気であったが、顔を見せてから非常に美しさが際立ってくる。
特に出で立ちが余りにスマートである。また鞭で調度を叩いたりする仕草などにびっくりする(笑。
後ろ姿には、フリードリヒの描く貴婦人の孤絶した凛々しい美を湛える。
(そう、常に死と隣り合わせで生きている研ぎ澄まされた気品だ)。

だが、体操と称してブランコしているところなど愛らしい。
まさに魅惑の女王以外の何者でもない。
しかし、彼女を亡き者にせんとする権力が厳然とあった。(王家は実質ほとんど実権はない)。
スタニスラスはやがてはっきり気づく。
彼を操っていた勢力こそが帝国主義であり、彼女は自分同様のアナキストであると。
彼女の所作は、アナキストの颯爽としたものだ。
(かつてハーバード・リード卿が「わたしはアナキストである」と公言していたことをふと思い出す、、、実にカッコ良い)。

もう彼らは、片方が死んだら、もう片方も生きてはいられない、、、という世界である。
女王の背中を刺すスタニスラス。
彼の目から溢れる涙、、、。
ここで至上の愛を確認しあう。
もはや一心同体~双頭の鷲である。

高い城での、重厚なエロスとタナトスの大舞台であった。

L AIGLE A DEUX TETES002
飛び切り際立った主演ふたりの映画である。


一回見ただけでは未消化な部分があるため、また少し経ってから見直してみたい。
オルフェに劣らず素敵な映画である。

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