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巴里の屋根の下

古典名作を見てみるシリーズとして、「巴里の屋根の下」を。
Sous les toits de Paris001
カメラワークがまさに巴里の屋根の下である。

Sous les toits de Paris
1930年
フランス

ルネ・クレール監督・脚本
ラウール・モレッティ主題曲

アルベール・プレジャン、、、アルベール(楽譜売り)
ポーラ・イレリ、、、ポーラ(魅惑する女性)
エドモン・T・グレヴィル、、、ルイ(アルベールの親友)


ルネ・クレールの15年後の作品、「そして誰もいなくなった」は、圧倒的なストーリー、プロットの巧みな面白さに感心したものだが、、、
この作品は全く異なる質感を放つ。

古き巴里の街並み。路地。夜景。石畳の通り。カフェ。アパルトメントのひと部屋。列車の汽笛。
軟らかい光のトーン。影の階調。全てがセットらしい。ちょっと、抽象的な幾何学を感じるものだ。
ラウール・モレッティによるシャンソンが流れ続ける。
最初と最後の(特に最後の)シャンソンは染みる。それはまた、屋根から屋根の俯瞰でもある。

舞台劇を見るような感覚である。古き巴里という舞台。
サイレント映画の雰囲気も演出に効果的に使われている。
そこにミュージカル的要素も。セリフはとても少ない。
アルベールが歌いまくる。歌の楽譜売りという仕事も如何にも巴里で粋なものだ。

そしてスリさえも芳醇な文化のひとつに思えてきてしまう。
ナイフを光らせた喧嘩にしても、、、夜の石畳を自転車で走るポリスも、、、。
別に個々の人物たちの文化水準~知性や教養が高いとかどうとかではなく、、、
結局、巴里の街が詩的で芳醇な場所なのだ。

何処も詩的な絵である。
全編、粋である。
ポーラはミューズか、、、小悪魔か、、、ルーマニア出身というのも特別な意味をもつか。
男たちは彼女に惑わされる。そういうものなのだ、、、。

実にフランスらしい。
またこの時期のファッションがよい。
特に女性のこの帽子?でよいのか、、、このファッションが好きである。
Sous les toits de Paris002
タマラ・ド・レンピッカの写真や絵で見て、妙に未来派的だと感心していたものだ。

写真といえば、アッジェの写真でも見た記憶に残るパリの光景である。
間違っても、ウディ・アレンの映画のパリの絵ではない。
ことばを出来る限り削って、汽車などの環境音を効果的に使用し、音~トーキーにおいて極めて自覚的に実験的なアプローチを図っていることが分かる。ウディ・アレンの対極にも思える。
言葉がやたらと消費されている現在、このような自覚を持って映画制作をしている人がどれだけいるだろうか、と思った。


アルベールはポーラに恋心を寄せ、彼女も応じていたかに思えたが、彼が盗みのとばっちりで投獄されていた間に、親友のルイと良い仲になってしまっていた。
アルベールは彼女を諦めて、また元の生活に戻る。
歌とともに。

やはり最後の歌が良い。
この映画のように、日々も反復する。

Sous les toits de Paris003

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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