黒い雨

昔、ドイツにJaneというロックグループがありました。とても叙情的で哀愁のあるメロディーが印象的なプログレッシヴハードなサウンドで日本でも結構コアなファンをもつグループでした。かれらの最初期の楽曲で、題は思い出せないのですが、”Do you go outstreets in the rain?"と言うフレーズがメロトロンとギターで奏でられる何とも切ないハードチューンがありました。(中期から彼らは大作プログレに移行していきますが、3枚目くらいまではかなりストレートなハードロックでした。)
わたしもなぜか気になるグループで、ついついアルバムが出ると買ってしまうのです。
そして大作が比較的多い中、3分足らずのこの曲が頭にこびりついていて、雨が降るとひとりでに鳴り出すのです。
動けない自分の、背をそっと押して、一歩雨の中へと誘うのです。
一緒に雨に濡れてみないかい?
そう言えば子供のころ、雨の中を傘を差さずに出ると放射能にやられるぞ!とよく注意された記憶があります。
ビキニ環礁核実験の残留放射能の影響でしょうか?何十年立っても残るものは残ります。
何か、雨の中を出ていくということは、一種の死を覚悟する、これまでの自分に決別しようとか実際に命を削ってしまうかもしれないという、感覚を少なからず纏うはずです。
特に昨今は、叙情ではなく肉体的現実でまさに放射能にやられるぞ、そのものになりました。
雨からロマンチシズムがなくなりただの黒い雨となってしまいました。
リドリー・スコット監督の”ブレード・ランナー”も最初から最後まで黒い雨が降り続けていました。
未来の記憶を呼び覚ますかのように。
雨はやはり叙情を優しくうけとめる生命の水であってほしいです。
古い自分を洗い落とす
詩的な
再生のための
生命のための
雨
”Do you go outstreets in the rain?"

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