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どん底

Les Bas Fonds

Les Bas-Fonds
1936年
フランス

ジャン・ルノワール監督
マクシム・ゴーリキーの同名の戯曲原作

ジャン・ギャバン、、、ペペル(コソ泥)
ルイ・ジューヴェ、、、男爵
シュジー・プリム、、、ワシリーサ(ナターシャの姉、コスチレフの妻)
ジュニー・アストル、、、ナターシャ(ワシリーサの妹、しかし孤児であった)
ウラジミール・ソコロフ、、、コスチレフ(安宿の主、故買者)
ルネ・ジェナン、、、ルカ

翌年のルノワール監督作品「大いなる幻影」にもジャン・ギャバンは中尉役で出ている。


「どん底」というが、そこは意外にカラッと明るい。
フランス風のロシアであろうか、、、。
(ジャン・ルノワール監督の個性から来るものとも思える)。
その安宿には、貧困と搾取と妄想と死が常に漂ってはいるが、、、。
人物に対するカメラワークが新鮮に感じられた。


ペペルと男爵は何故か親友となっている。
忍び込んだ先で意気投合というちょっと既視感もある設定(この映画が最初にしても)は感じるが。
片や文字通り泥棒、片や公金横領して賭博三昧という、両方とも立派な犯罪者であることには変わりない。
お互いに今の生活には区切りをつけようと思っていた矢先であった。
男爵は文字通りこの世ともおさらばするつもりでもいたのだが。

男爵は屋敷や家財を全て差し押さえられ職も解かれ、ペペルの安宿にやってくるが、草原で寝そべる生活にいたく感動する。
貧困が一義的には描かれていない。
「どん底」ではあるが、そこも住めば都的な面はある。
物事何においても両義性はある。
しかし、その安宿を誰もが本来自分がいるべき場所とは思っていないところでは、全員一致しているようだ。
そういうものだろう。
人間どこでどんな生活を営もうと、そこにピッタリ安住できるものではない。仮の宿なのだ。
何らかの過剰さによって、そこからはみ出ていってしまう。
(それにしてもあの過激なアコーディオン弾きは何者であろうか?まずロシアにはいまい(笑)。
そして何より、人生は服を着替えるようなものである、という男爵の達観、というか認識は流石である。
きっと、ペペルもこの清々しさにもっとも共感したのではないか。
(シュールレアリストたちも、シャツを取り換えるように考えを替えると言っていた。同じだ)。

ナターシャはいつもシンデレラのようにこき使われている。
ワシリーサに拾われた妹分である立場の弱さからであろう。
この物語は互いに惹かれ合っているペペルとナターシャを軸に動いている。
そこへ如何にもという太った役人が宿の監査をちらつかせて、器量良しで働き者のナターシャを嫁にしようと迫ってくる。
これはペペルを自分のものにしたいワシリーサにとって一石二鳥の好機である。
是非ともという勢いでコスチレフと共にナターシャを役人のもとへ生贄に差し出そうとする。
ペペルは早速、役人を懲らしめ、嫌がるナターシャを折檻したコスチレフを宿の住人みんなと殺してしまう。
ペペルは投獄されるが程なく出てきて、ナターシャに出迎えられる。この辺の流れも明るくカラッとしている。

この安宿を希望を胸に出て行くもの。出て行く先に絶望して首をくくるもの。取り合えず残るもの。そこで衰弱して死ぬもの。様々である。
しかし、やはりそこはフランス風(ルノアール流か)。
恋愛がもっとも大きな力を呼び、一歩を踏み出す希望の光となる。
冷たい言葉が首をくくらせもする(遺産をせしめ喜び勇んで出て行くワシリーサのような女もいる)。
ペペルとナターシャとは愛を成就させハッピーエンドである。
警官が横を通り過ぎても、もう動じない。
それはペペルの理想としていた生活であろう。
金はないが解放感で一杯のふたりの光景で終わる。


男爵の存在が妙に中途半端であった。
血の気が多く逞しいペペルと飄々として粋な男爵との間のやり取り~シーンがもう少し、観たかった。
ジャン・ギャバンとルイ・ジューヴェのコンビの絶妙な渋さがたまらない。
出逢いの場面を観て、「真夜中のカウボーイ」の原型か?と期待してしまったのだが、それは最初だけであった。
ルカの存在もこじんまりしていた。
  
ペペルとナターシャ中心の物語といえる。
このハッピーエンドは正しい。
思わずピクニックに出たくなる。



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