PICKUP
レヴェナント: 蘇えりし者
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
シャイン
トイレのピエタ
カッシーニ グランドフィナーレ
ゴッド ファーザー
それでも恋するバルセロナ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
魔術師
ブラック・スワン Black Swan
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
LUCY ルーシー
ミツバチのささやき
娘ふたりと女子美へ☆彡
父 パードレ・パドローネ
写真についてーⅡ
去年マリエンバートで
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

闇のあとの光

post tevebras lux

Post Tenebras Lux
2012年
メキシコ、フランス、ドイツ、オランダ

二度目の鑑賞となる。
何故なら、はじめて観たときに拒絶反応を起こし、ろくに観た覚えがなかったからである。
しかしその後、何度も例の「赤い悪魔」がわたしの脳裏を過るようになり祟られた感じもしてきたので、再度まともに観る事にした。
前回は正直、観たとは言えない。

カルロス・レイガダス監督・脚本・製作

アドルフォ・ヒメネス・カストロ、、、フアン (裕福な実業家)
ナタリア・アセベド、、、ナタリア (フアンの妻)
ルートゥ・レイガダス、、、ルートゥ (フアンの娘)
エレアサル・レイガダス、、、エレアサル (フアンの息子)
ウィレバルド・トーレス、、、セブン(フアンの元部下、親友)

4:3アスペクト比のセンターフォーカスで周囲の画像がダブる映像。
比較的短めのシーンで構成されプツっと途切れるトランジションが目立つ。
各シーンの時制は、線状的に連結されてはおらず、幼い二人の子供が突如思春期の子供に成長していたかと思うと、それは映画によくある数年後を意味している訳ではなく、次にはとても幼い頃の姿になっている。
ある意味、全てが現時点での回想のシーンかと疑うのだが、回想する主体の特定が構造上、できない。
基本的に、その多くのシーンが単にカメラの目であり、われわれの目でもある。
しかし特定の人物の目ではない。

この映画、基本的に主人公はいない。
不在という強い言葉を使うほどではないが、主人公を探そうにも~われわれがピッタリ寄り添う感情の拠り所と見なせる存在は、いない。この意味からも、観客は登場人物たちを超えた視座でここに展開される世界そのものを見据えなければならない立場に立たされる。
それは、「主人公」という限界の視界~思考(認識)を最初から超えた一定の距離で関わることを意味する。
われわれは、少なくとも監督からどう感じろという指図を受ける必要はない。

ただ、この中心に集中させるシャープな映像と(特殊なサイズも含み)音と何やら生々しい質感は、生理的~身体性に訴えるものは大きい。
これも一種のサブミナル効果か。
幼い子供の声、肌の肌理、サウナでの裸体の群れ、犬の骨を噛じる音、犬の殴られ吠える声、乾いた銃声、、、。
生理的(性的)な嫌悪ギリギリのところまで迫る描写が安定した俯瞰を脅かしつつ、思いの他深い印象を残す。


内容の羅列を取り敢えず拾っておくと、、、
幼い少女と動物たちが 青いフィルターを通した光景なのか、時間帯の判然としない空間~谷を雷鳴轟く中、歩いている。
少女は無邪気で楽しそうだ。
うしさん。ヤギさん。ひつじさん、、、はなかったか、、、動物の名前を呼んで歩いてゆく。
声と映像が純粋に結びつく。ある特定の人物を通していない分。
生々しい。これは、彼女の夢であったようだ。そして以下の悪魔シーンも彼女の夢~想念と連結しているらしい。

赤いシルエットのシッポの生えた悪魔が(妙にフアンの虐めている犬に似ているのだが)青いカバンをもってフアン家に入って来る。
非常にあからさまなメタ・イメージが使用され、前回見たときは面食らった。
家に物色に入り何もなかったので帰ってゆく空き巣みたいである。
(少年を見ていったか、、、)
緩慢でどこかユーモラスな動きのアニメーションであった。
よくある映画の手法としては、後々重要な手がかりとなる記号を何気なく文脈に潜ませるといったものはあるが。
われわれの目には余りに突飛で派手な現れをしたそれは、何をしに来たのかは判然としないままであった。

とりわけ清々しい朝の家族の目覚めが描かれる。
幼いエレアサルとルートゥの兄妹がベッドで両親に甘える姿は、ハリウッド映画の親子を彷彿させる。
一種の4人家族の典型に見える、ところから始まるようだ。

アルコール中毒者であった者の禁酒集会でフアンとセブンが親しそうに対話する。
セブンはフアンの家の修繕を行っており、最高級品を惜しみなくそれに充てがうなど、フアン家が経済的に裕福なことが分かる。また、セブンはフアンに身の上話を打ち明けており、信頼関係も築いていることが窺える。集会への招待も彼がやっている。

ラグビーの練習光景が現れる。ここですでにエレアサルは思春期を迎える少年でいる。
荒々しいラグビーの生命感溢れる描写が見られるシーンの挿入。

サウナシーンでは、ナタリアが別の男性と性交渉に及ぶ。この前後の文脈が分からないが、フアンは性交渉の出来ない病気であったようだ。または、彼はすでに死んでいたかも知れない。
マルセル・デュシャンの部屋とかヘーゲルの部屋などに分かれたサウナであり、ここではフランス語が標準語で使われる。
そう言えば、スペイン語で語られるシーンと英語で語られるところ、このようにフランス語というように場所~シーンに合わせた言語が選ばれているようだ。
このサウナは少なくとも、一般庶民対象の場ではなく、超脱した人々の場であるようだ。

大きな木である。
セブンの仕事のボスが姉への当てつけで、その大きな木をセブンに切らせる仕事を持ちかける。
「電ノコは使うな、斧で切れ。」「この木を切っていいのか?」「姉貴が文句言ったらを撃ち殺すからやれ。」
セブンは木で厄介事に巻き込まれたくないと断るが、断りきれたのかどうか、よく分からない。
ここでもボスは犬を蹴飛ばす。この行為は、恐らくハリウッドでは拒絶反応を引き起こすことだろう。

食事風景である。
ふたりの子供は幼い。
バーでは、かかっているオルガンの音楽がアシッドで良い感じだ。
海では、、、家族で来ているが、ふたりはもう大きい。
恐らくフアンはそこにはいないはず。
だがずっと長回しで波が打ち寄せている間に何故かふたりは幼くなっている、、、。
食事風景にメイドも加わっている。
「長いシッポ」の幽霊の夢をルートゥがフアンに話して聞かせる。

夜、夫婦の会話からこの夫婦が非常に神経過敏に壊れ易い状態に来ていることが分かる。
フアンはナタリアと言い合いをした後、しこたま叩いている愛犬グエラに餌をやり「我が家の守り神」と彼を呼ぶ。
このグエラの骨を噛み砕く硬質な音が夜の静寂に染み込んでゆく。

フアン一家は車で旅行に出かけるが、ナタリアの忘れ物に気づき、家に一旦取って返す。
そこでフアンの目にしたものは、セブンが彼の家からパソコン一式と拳銃を盗み出している光景であった。
フアンが怒って詰め寄ると、セブンは彼目掛けて銃を発射した。
(わたしは、ボスに命じられた木を切るための電ノコかと思ったが)。

明け方、小舟に乗ったフアンの大きくなったふたりの子供が狩りで猟銃を撃つ。

幼いふたりと妻がフアンの容態を心配する。
フアンはセブンを警察には訴えないと言う。
フアンは寝てばかりで飽きたと言い、妻にピアノでニール・ヤングを弾いてくれるように頼む。
後半になるとふたりは一緒に唱っている。
その後、フアンは酷く打ち拉がれて、「命の終わりを感じる」と悲観して妻とともに泣く。

セブンは、ずっと離れて暮らしてきた妻子とともに暮らすことにし、決心を決めフアンに会いに来るが庭で合った幼いエレアサルにパパは死んだと告げ知らされる。

また、「赤い悪魔」がカバンを持って部屋に入って来る。少年がその姿を見た。
それは、すぐに出てゆく。

セブンは自分の家に取って返すが妻子はもういない。
彼は空き地に向かった。
その脇では、丈高い木が倒されていく。
大きな岩山を前に、彼は自分の首をもぎ取って自害する。
骸の上を豪雨が降り注ぐ。

ラグビーのシーン。
「僕たちのチームの力を発揮して必ず勝つぞ!」
エレアサルたちのチームが戦いに臨む。


もう、お祓いは済んだので、「赤い悪魔」は出てこないと思う。
最初見たときより、観ることの快感は感じられた。


関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
日々思うことを綴ってゆきます。
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ることもあります。
悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

*当サイトはリンクフリーです。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
最新トラックバック