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激突!

Duel002.jpg

見過ごしていた昔の名作を、ピックアップして見てゆきたい。
スピルバーグ監督のデビュー作である。

Duel
1971年
アメリカ

スティーヴン・スピルバーグ監督
リチャード・マシスン原作・脚本

デニス・ウィーバー、、、デイヴィッド・マン(セールスマン)


怪物トレーラータンクローリーの不条理な猛追に命からがら逃げ惑うセールスマンの話。
幻想か現実か、その境界線上で不安と恐怖のうちに次第に追い詰められてゆく人間の姿を炙り出している。
トレーラータンクローリーひとつで、ここまで押し切ったところが名作の所以であろう。
見応え充分であった。


セールスマンのデイヴィッドは商談でカリフォルニアに車で遠出する。
クライスラーの「プリムス・ヴァリアント」である。その時代を感じさせるいい車だ。
その途上、たまたま追い抜いた直後から大型トレーラータンクローリーが不気味な怪物となって何処までも彼を執拗に追いかけてくる。フロントグリルにはいろいろな州のナンバープレートが飾られていることが更に気味を悪くする。
トレーラーの運転手は腕とブーツは確かめられたが、顔はフロントグラスにも映らない。
タンクローリーにたとえ人は乗っているにせよ、その窓は車自身の凶暴で虚ろな目でしかなかった。
まさにタンクローリー自らの意思で動いているとしか感じられなくなる。
無機的な暴力の塊~エイリアンと言えよう。

ちょいと内向的な主人公が、タンクローリーは本当に自分を狙っているのか、ただの自分の思い過ごしに過ぎないのではないかと自問自答する場面が続くところなどリアリティを感じる。
本人はなるべくなら、自分の思い過ごしということで、やり過ごしたかった、、、。
実際、そういうものだと思う。特に彼としては厄介なことには巻き込まれたくない。

とは言え同時にその事態が、われわれには気弱で周囲にも邪険にされている神経質な彼の脅迫的な幻覚にも想えてくるところがあり、微妙に話をスリリングにさせる。
ガソリンスタンドから妻にかける電話でもそれが窺えるものだ。
(しかし、本当にそういった類の幻覚であるなら、ハンドルなど握ったら非常に危険な人物である)。

途中で入ったドライブインに当のトレーラータンクローリーが乗り付けられているのを見つけた。
そこで、ドライバーに直接話をつけようという賢明な策に出たのはよいが、勝手な判断で相手を決めて突っかかり痛い目に合う。
普通、客に対して、「あのトレーラータンクローリーの運転手さんはどなたですか?」とまず聞いてみないか?
「誰だ?あいつか?それとも、あいつか?こいつか?」とひとりでパニックになっていてどうなる?
聴きもしないで、一方的に犯人扱いされたら相手も怒る。
この辺がかなり自閉的で妄想的な人格であることを匂わせてもいる。

だが、ドライブインに入ろうが、道をまこうがタンクローリーは戻ってきて実際に彼(彼の車)に危害を加えようとする。
巨大な図体の割に、スピードも速い。またそのカメラワークから迫力が半端ではない。
それこそぶつけられたらたちまちペシャンコにされてしまう、重量とパワーである。
そして実際、列車が通過中の踏切に彼の車を押し込もうとしたり、警察に通報しようとしている電話ボックスごと跳ね飛ばそうとしたことから、タンクローリーの殺意はもはや明白であった。
それでも通りかかった人は誰も当てにならず、彼を助けるどころか避けたり非難して去ってゆく。
(彼はどうもコミュニケーションが上手くいかず、直ぐに齟齬を生じてしまうタイプでもあるようだ)。
彼は孤立無援のなかで何とか、自力で狂気のタンクローリーを振り切るしかなくなる。


彼も単純に逃げるだけでなく、策を考えねばならない。
相手が大きく重量があることを逆手に取り、登り坂の続く峠の道を選んで逃走する。
だが、暫くすると自分の車が激しく白煙を吐きはじめ、著しく出力が落ちてゆくのだ。
以前から、ラジエーターホースの劣化を注意されていたにも関わらずそのまま放ってきたツケがよりによってこんな時に回ってきたのだ。
その日に入ったガソリンスタンドでも、それを指摘されたのに、取り合わなかったことを後悔する。

いよいよデイヴィッドも腹を決め、最後の手段に訴える。
オーバーヒートして息絶え絶えの車を背後から迫ってくるタンクローリーに向け直し鞄をアクセルに固定して走らせたのだ。
正面衝突でぶつかる直前、間一髪のタイミングでデイヴィッドは車外に転げ出る。

プリムス・ヴァリアントと巨大タンクローリーは衝突して互いに火を噴き、タンクローリーに引きずられ2台もろとも崖の下に落ちてゆく。
その際の、タンクローリーの音がまさに断末魔の怪獣の声そのものであった。

デイヴィッドは時計を見ながらの商談に向かう最中であったにも関わらず、ずっとそこの場に座り続け、すでに夕日が落ちようとしていた。
どんな想いに耽っているのだろうか、、、。いや、さぞかし想うことがたくさんあるはずだ。
腰が上げられなくなっているのは、よく分かる気がする。


タンクローリーの運転手はついに一度も顔を見せることはなかった。


この次に来るのが「ジョーズ」というわけか、、、。
なるほど。


Duel001.jpg





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