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ジョン・ウェットンに捧ぐ 土曜日の本

John Wetton001

ジョン・ウェットンが2017年1月31日に亡くなった。
癌であった。
何とも言えない虚脱感に襲われ、それを記事に書こうなどという気持ちは微塵もなかった。
わたしにとってジョン・ウェットンは、キング・クリムゾンがもっともそれらしかった第2期を支える柱である。
彼の死によって、確実にひとつの時代がプッツリと終わった。

カール・パーマーはここのところ、連続して追悼の意を発表し続ける立場である、、、。
(このあまりに重い連続追悼を彼はどう捉えているのだろう、、、彼もさすがにキツかろう)。
キース・エマーソン、、、グレッグ・レイク、、、ジョン・ウェットン、、、考えてみると恐るべき才能の消滅だ。
(彼らは、まさに才能と技量のみで生きていたことを確認する。変な付加価値は必要としない)。
今日、何気なく、エイジアのファースト(1982年)を聴いて、楽観的でポップな気分に浸ったためか、少しだけジョンのことを書いてみたくなった。

わたしは、あまりクリムゾン以外の彼に興味はなく(ファンの風上にもおけないが)他の音源はあまり聴いていない。
だが、彼のインパクトがわたしにとって絶大であることは間違いない。
クリムゾン二期が余りに絶対なのだ。

かのロバート・フリップをして「彼はわたしのヒーローである」と言わしめた男である。
それにしてもどのような文脈でこれをフリップが言ったのか、さっぱり覚えてはいない。
何にしてもロバート・フリップに尊敬されるようなヒトはまず、そうはいまい。


クリムゾン以外でわたしが彼を聴いたものは、ないわけではない。
だが、やはり創造の水準が異なりすぎる。
有り得ない強度~微分的な演奏によって生成と解体の間を行き来するクリムゾンの世界は驚異であり別格なのである。
他のアーティストのものは、いくら緻密に複雑に構成されていたとしても程よい計算のレベルに想える。

とは言え、彼の参加した優れたユニットを強いてあげれば、UKか。
確かに、ありえない程の布陣であった。

ジョン・ウェットン 、、、vocal/bass guitar/moog pedal bass
ビル・ブラッフォード、、、 drums/percussion
エディ・ジョブソン、、、 organ/CP-80/CS-80/minimoog/electric violin/backing vocal
アラン・ホールズワース、、、 guitar/backing vocal

スーパーグループであり、この強烈な個性から持つはずはないと思った。
勿論、出た瞬間に購入した(笑。
直ぐに空中分解すると思っていたし、、、。

最初から分かっていたとは言え、予想を上回る凄まじい演奏であるが、尺の長くてテンションのやたらと高い曲にリスナーはついて行けなくなる。そのため、セールスは伸びなかった。それがわたしにも予感できた。
フリーキーなハイテクジャズロックより更に凄いものであったが、時代は違うものを求めていた。
斯く言うわたしも、その芸術性の高い造り込まれたサウンドに引込まれはしたが、彼らメンバーの名前で聴いていたふしはある。
極めて高い水準で作られたコンテンポラリーミュージックであったが、この方向性は直ぐに途絶える。


それからジョン・ウェットンが音楽ファンの誰にも広く認知された商業的にも大成功を果たしたエイジア。
売れ線は一切聞かないつもりのわたしも、さすがにこのグループのファーストは聴いた。

ジェフ・ダウンズ 、、、 Keyboard (元バグルス、イエス)
ジョン・ウェットン 、、、 vocal/bass guitar/moog pedal bass (元キング・クリムゾン、UK)
スティーヴ・ハウ 、、、 guitar (元イエス)
カール・パーマー 、、、 drums/percussion (元ELP)

ジェフ・ダウンズの役割(主導権)が大きい印象があり、エイジアはやたらとポップであった。
正直、戸惑った。バグルスを重厚にスケールアップさせたようなサウンドに思えた。
ジョン・ウェットンのボーカルは美しく、ベースも相変わらずアグレッシブであり、作曲にも携わっているのだが、、、
UKにまだ残っていた作家性や芸術家気質は抑えられているようであった。
彼の新しいポップで爽やかで明るい局面を覗いた気分であった。
とてもある意味キャッチーで短いポップチューンでアルバムは構成されていた。
どれもシングルカットでヒットを狙えそうなものばかり。
確実に、アルバム一面で一曲(ともかく長く複雑な曲構造)というプログレ時代からの脱却であり、それを求めるヒトがこのサウンドを待っていたのだ。時代に迎え入れられたに違いない。

しかしどこかわたしには寂しい感触が残った。
それまでの深淵から響いてくる知的な翳りに染まったジョン・ウェットン節は影を潜めてしまう。
例えば、在り来りな曲を書くことでみんなから辟易されていたユーライア・ヒープに短期間在籍した時も、彼の書いた曲だけ飛び抜けて重厚で美しく変幻するメロディーをもち、際立っていた。当然アルバム全体のリズムが格段にレベルアップしていることも素人にも明白であった。ジョン・ウェットンが少しでも絡んだユニットは確実にそれまでにない荘厳な響きを纏ってきた。
彼のベース、魅惑的なボーカルも他にないものだが、わたしは彼のもっとも特筆すべき才能は作曲にあると思う。

しかし、彼はこの「エイジア」の方向性がとても気に入っていたようだ。
あくまでもエイジアの活動を主体にして、他にも色々なプロジェクトに参加はしていた。
ジェフ・ダウンズとの曲作り、も含めこのふたりがグループの中心であることは、明白である。

ここでは、ソロでいくらでも目立てるヒトが、皆抑制を効かせて、短くタイトなポップチューンをまとめることに専心している。
とは言え元々ポップ路線のバンドでは、こんなアレンジとダイナミックな演奏など、まず無理であることが分かる。
超絶技巧のミュージシャンが、ソロプレイを封印してポップな曲作りに専念した結果のカラフル(複雑)で前向き(そうまさにそれだ)なサウンドを提供している、と言える。
しかしこのグループもぶつかり合いは激しく、メンバーも安定せず、ついに主要メンバーのジョン・ウェットンも永久に抜けてしまった。
それでも元イエスのメンバーの補充で(わたしはその人を知らない)今後もグループは続行するそうである。
しかし、ジェフ・ダウンズの受けた喪失感はやはりとても大きいようだ。

「彼の作曲はこの世のものとは思えなかったし、彼のメロディとハーモニーも現実のものと思えなかった。彼は文字通り『特別な人』だったんだよ。」


これまで二期のクリムゾン(太陽と戦慄、暗黒の世界、レッド)を定期的に聴いていたのだが、、、。
そうしないと、感覚が麻痺してしまう。
このギリギリの神秘的ですらある創造のパフォーマンスの一角が欠けてしまった事実~空虚は思いの他大きい。
暫くは聴けそうもない。
ボーカルである分、尚更響く。

一期のクリムゾンのボーカルは、グレッグ・レイクである。
エピタフが更に現実味を帯びている今日、、、。

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、


でも、「土曜日の本」は、聴きたくなった、、、。
この曲と「堕天使」。
改めて、、、。

John Wetton002

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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