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クイルズ

Quills.jpg

Quills
2000年
アメリカ

フィリップ・カウフマン監督・製作
ダグ・ライト脚本

ジェフリー・ラッシュ、、、マルキ・ド・サド
ケイト・ウィンスレット、、、マドレーヌ
ホアキン・フェニックス、、、クルミエ神父
マイケル・ケイン、、、コラール博士
ビリー・ホワイトロー、、、ルセール夫人
アメリア・ワーナー、、、シモーヌ

書くことへの凄まじい執念だ。
みんなマルキ・ド・サドに自分の信念を試されている。
これは痛快だ!

この激越したリビドー、大したものである。
そして笑える。
この笑いのセンスにも命がけだ。
ちょっと痛ましいが。
マルキ・ド・サドの天才を認めたのはマドレーヌだけか、、、?
いや、みんなが恐れているのだ。だから彼を排除する。だがその本源力から彼に惹きつけられる。

書こうとする意欲は勿論であるが、彼の生命力が只ならぬものだ。
性と生はほぼ同等の根深さと本質力がある。
でなければ、フロイトが精神を分析するにあたり性を俎板に乗せはしない。
であるから、ここの部分が病むと精神に障害や異常を来す。
それは生命力と創造力の源であろう。

言葉にすれば抑えた感情が行動をとる、、、クルミエ神父ギリギリの至言だ。神父の限界だ。
ここでも自分の恐れを知ることが試される。認めることが試される。(昨日見た映画と全く繋がる)。
神の名(美徳の観念)をもって自分の感情~生命力を抑圧する。
性の抑圧はとりもなおさず生の抑圧ともなり、、、。
人の持つ本源的な力~感情・感性・創造力・思考力は瘦せ細る。

サドの戦いは凄まじいものであるが、性に本源的に纏わるユーモアが物語をとても軽妙にし重くし過ぎない。
そう、性とユーモアは非常に近い。
共に原始的(本能的)な生きる力となり形骸化した枠を解体する力となる。
同じ精神病院にいる患者たちとの舞台劇を通しての交わりなど極めて下品な祝祭=ハレの場である。
それを如何わしそうな表情をこしらえながらも、楽しんでいる偽善的で欺瞞に満ちた観客たち。
この時代の抑圧された庶民が如何に生命力を高める「異なる物語」を求めていたかが分かる。
言うまでもなくキリスト教教会勢力=制度に対する反逆に他ならない。(それと意識せずとも)。
この意味でサドは閉塞空間を打破するシュールレアリストである。

このサドの生命力は人々を無力化して支配しようという勢力にとって危険なものでしかなかった。
であるから、彼はほぼ一生に渡り、バスティーユ、ヴァンセンヌ、シャラントンに幽閉され続けた。
確かに支配者にとってもっとも危険な存在だ。
彼の書物を読んだ者たちが次々に自分を解放して自分を生きるために出て行ってしまう(爆!
コラール博士の若妻シモーヌも自らを見出し、若い燕と駆け落ちしてしまう。
コラール博士怒り絶頂で、その憤懣のありったけをサドにぶつける。
しかし、彼はへこたれない(笑。
迫害されても物語をあらゆる方法を見つけて書いてきた彼だが、もう書く手段を全て奪われたかと思うと、、、
彼は大声で牢獄から叫んで、マドレーヌまで(患者たちの)伝言で口述筆記させる。
これはもう笑うしかない。どんなコントより面白い。

「親愛なる読者よ。かくも不道徳な物語を聞かせよう。覚悟なされよ。」
シビレル(笑。
この時代に、大した男だ、というより破格な存在だ。
しかし神の造形、その美は認めている。
人々の神の権威の利用に徹底的に背く。
宗教や道徳を断じて受けつけない。不屈の闘志で拒む!(わたしも当然!)

物語の火から本当の火事になる話のくだりがうまい!(興奮しすぎた患者が実際に火をつける)。
しかし実際にマドレーヌまで殺されてしまう。
生きた言葉の危うさである。
まさに「患者が水の上を歩こうとして溺れたら、神~聖書のせいか?」
物語としてよくできている。
舞台劇の映画化というのがよくわかる流れであった。
音楽の絡みもよい。


キャストはだれも言うことなし!
ケイト・ウィンスレットが特に魅力的であったが、アメリア・ワーナーの小悪魔ぶりもなかなかのものであった。
ホアキン・フェニックスの繊細にギリギリのところまで葛藤しついにその壁を突き破る神父は鬼気迫る名演である。
これほど凄い役者であったか、、、リバー・フェニックスの弟はやはりただ者ではなかった。
ジェフリー・ラッシュの懐の深さというか、役者魂には、、、ただ恐れ入る。
とは言え、「やさしい本泥棒」「鑑定士と顔のない依頼人」の彼の方が好きではあるが、、、
これは余りに凄すぎた。




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