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ブラック・スネーク・モーン

Black Snake Moan

Black Snake Moan
2007年
アメリカ

クレイグ・ブリュワー 監督・脚本

スコット・ボマー 音楽
アメリア・ヴィンセント撮影

サミュエル・L・ジャクソン、、、ラザラス(ブルースギタリスト)
クリスティーナ・リッチ、、、レイ (義父による性的虐待からトラウマを抱える女性)
ジャスティン・ティンバーレイク、、、ロニー(レイの恋人、重度の不安神経症)

わたしは、ブルースに疎い。
しかし全編に流れるブルースは、とても物語に厚みと渋みを加えていた。
何故か無性にクリームを聴きたくなった。(ロックによるブルースの解釈のもっともすぐれた成果である。わたしはそちらに馴染んできた)。
カメラワークも凝っていて、斬新に感じた。

「黒へびのうめき」
まさに闇~無意識から襲い掛かってくるものの呻き。
それに常に脅かされ苦しめられる者たちの希望まで描かれている。
(前途多難ではあるが、雄々しく彼らは一歩を踏み出してゆく)。

自分たちの恐れを認める。
ここである。
「私、いいものをなぜかダメにしちゃうの」とレイは言う。
そうなのだ。
こころに深い傷を宿している者の魔の反復に怯えるナイーブな言葉。
虐待を受けて育った者のトラウマ、そして深い絶望や慢性的な病に対し如何に立ち向かうか、その姿を描いてゆく。
暗闇からいつも衝動的に飛び出てくる魔物を根絶することは、難しい。
しかし、絶望に喘ぐ者、病やトラウマに深く囚われた者同士の理解と助け合いがあれば道は開ける。
やはり、お互いに解り合える者が必要なのだ!
この映画のテーマとなっているのが、自分の魂を救うにはまず、彼女を救わなければならない、、、である。

その彼女とは、ひどく殴られ道に転がっていた若い女性レイである。
彼女を拾ったやはりこころに傷を負った男ラザラスが、自分の損得を顧みず宗教的な精神性をもって彼女の力になろうとする。
クリスチャンであることと、この姿勢はそのまま繋がらないと思う。
これはあくまでもラザラス固有の心性~直覚した使命感による。
そして当然、音楽本来の力である。
ラザラスが懸命に彼女に尽くし手だてを講じようとも、やはりもっとも大きな薬となってゆくのは彼の音楽だ。
これは、わたしも身をもって経験してる。
音楽がなかったら、自分がどうなっていたか分からない。
(キング・クリムゾン~プロコル・ハルム、、、ジョイ・ディビジョン~ニュー・オーダーである)。

やり方は、まずは彼女を衝動的性的発作の際の対象をシャットするための頑丈な鎖で繋ぐという方法であった。
これには繋がれた方は激高するが、やがて彼流の療法に慣れてくる。
傷薬を塗ってもらい、彼の育てた野菜をたっぷり食べ、上品なドレスを買ってもらって身に着け、彼のブルースを聴いて過ごす。
彼女もある朝、自分で曲を作ってみる。彼がそれにギターで合わせて歌う。
相互理解と親和的関係がしっかりと築かれてゆく。
彼女は母親とその関係はついに結べなかった。彼女の幼いころの過酷極まりない生を母親は全く認めなかった。
彼は弟に妻を奪われてしまっていた。妻は全く彼に理解と愛情をもたなかった。
そんなもの同士であるからこそ、理解しあえる水準がある。
自暴自棄のこころを昇華させる場所も生じた。

彼女の恋人ロニーも重度の不安神経症に苦しんでいた。
お互いに支え合い彼ら二人は結婚し、別の街へと旅立つが、ロニーにもレイにもまだまだ時間は必要であった。
ロニーは、車の運転中に騒音に耐えられなくなり、道端に車を止めて必死に堪える。
彼女も発作的性衝動が過るが、ラザラスから結婚式でもらった美しい鎖のアクセサリーを腰に締め発作を抑える。
彼女は自作の歌をロニーに聴かせて落ち着かせる、、、。
二人とも相手を理解し合い、快方に向かってゆくことを暗示させつつエンドロールへ、、、。

この映画、、、「私、いいものをなぜかダメにしちゃうの」にせよ、音楽の取り込みにせよ、よく分かっている。

中途半端な映画ではない。
無論、キャストの演技も半端ではない。
クリスティーナ・リッチにここまでやらせるか、、、とは思ったが。
スリーピー・フォローの彼女が懐かしい、、、それを言うならアダムス・ファミリーか?「アフターライフ」も忘れ難い)。
文字通りの体当たり演技であったが、彼女の瑞々しい感性を感じた。
サミュエル・L・ジャクソンは、わたしの知る限り、彼の他の映画より渋く魅力的であったし、歌も上手いことが分かった。
ミュージシャンのジャスティン・ティンバーレイクが全く歌わず、ジャクソンが歌いまくり、最後はクリスティーナ・リッチに優しく歌ってもらうという役柄、演出が面白い。本当の玄人は一小節も歌わない(笑。
また、牧師とリンカーン少年がとても良い味を醸していた。

しっかりできたよい映画である。



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