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ロスト・ボディ

El cuerpo001

El cuerpo
2012年
スペイン

オリオル・パウロ監督・脚本


ホセ・コロナド 、、、ハイメ警部(事故で妻を亡くした敏腕警部、、、)
ウーゴ・シルバ 、、、アレックス(大学教授・マイカの会社の社員)
ベレン・ルエダ 、、、マイカ(資産家・大事業家)
アウラ・ガリード 、、、カルラ(アレックスの学生・恋人、、、)


まさにサスペンス映画の手本のような見事な作りであった。
最後まで誰が犯人なのか分からず惹きつけられっぱなし。
十分に伏線は張られてはいたのだが、、、まさかね、というその人であった。

やはりサスペンス映画としては、ここまで練り上げないと。
大概のものは、途中で犯人が分かってしまいながらも具体的にどう展開してゆくかを楽しむモードとなるが、これは違った。
ずっと、ハラハラしっぱなしであった。

これまでに観たサスペンス映画では、恐らくNo.1である。
脚本・演出ともにレベルは極めて高いが、それを演じるキャストが巧みで濃い。
濃く肉付けされている個性の上に強烈な情念が迸る。
皆、存在感は半端ではない。

死体安置所から一体の女の屍体(マイカ)が消える。
その女を毒殺した夫(アレックス)は、全て首尾よく行ったと思っていたのだが、屍体が消えたことから飛んでもない事態に追い込まれてゆく。
果たして、そのマイカは本当に死んだのか、、、それとも生きていてアレックスとその愛人カルラに復讐を果たそうとしているのか、、、。
それとも、、、。
である。
ハイメ警部はその事件の真相を暴くことができるのかー。


ベレン・ルエダ演じるマイカは空恐ろしい程の迫力があり、確かにウーゴ・シルバ演じる優男のアレックスなど軽く手玉にとるのは分かる。そして殺しても死なないようなしたたかな女であろう。
如何にも彼女なら周到で緻密な策略を立てアレックスたちを陥れてもおかしくない。
誰もその威厳と迫力から、彼女が後ろで糸を引いていることは、ひしひしと感じ入ることだろう。
自分がいまや死んでいる事をフルに利用したゲーム感覚の復讐を楽しむ魔女、、、。

アレックスはある意味、あれだけの男である。それがそのままに流れてゆく。
マイカとのからかわれやられっぱなしのやり取り、カルラを愛するもいまひとつ踏ん切れない付き合いなどプライドはあるが自己保身が強く自己中心的な男振りがよく演じられている。特にマイカを異常に恐れて自分の全てを調べ上げ見抜いているかのような彼女の存在を強迫的に巨大に膨れ上がらせている。

カルラは、幼気な女子大生で、一途にアレックスを愛し、危険をも顧みず彼に尽くしてゆく。
アレックスは、警察の目を盗み彼女に細かく指示や支援を頼むが、次第に彼女の身に危険が及ぶことを恐れて、必死に警察に彼女の保護を訴え、自分の犯した罪もとうとう自白する。この段にきては、わたしもカルラに襲いかかるマイカの魔の手をアレックスと同様に恐れて彼女のことがとても心配で心細くなった。

ハイメ警部は、マイカを財産目当てで毒薬を巧みに使った痕跡の残らない方法で証拠を隠滅したかどでアレックスを真犯人としてあげようとする。そこには、10年前自動車事故で死んだ妻の思いを未だに断ち切らない自分と、死んだばかりの妻をもう過去の出来事として冷静に処理しているこの男に対する怒りが渦巻いていることが見て取れる。ここの部分が最後の最後に真相となって溢れ出し事態を覆ってゆく。ここはホントに見事。


最後に手錠をかけられたアレックスの護送中に、屍体が見つかる。
その屍体の正体が現わになって、世紀の大どんでん返しが始まる。
これには、正直絶句した!
ここからの稠密な畳み掛け、明かされた驚愕の真実。
この真実を聞かされなければ、何故こういう展開を辿ったのか、知ることはできない。
とは言え、伏線はちゃんと張られているのだ。
これは、どエライ傑作である。


TVで見た後、直ぐにソフトを注文した。
TVでは、20分程カットされていたが、これだけ緻密に濃密に作られた映画である。
1秒のカットでも損なわれるものがあろう世界だ。
勿体無い。
例えば、「時を駆ける少女」でも、あの古道具屋の柱時計や人形の目が動くシーンが瑣末な部分としてカットされたのかも知らないが、あの僅かな映像が物語の雰囲気を思いの他大きく支配していたことを知る。そういうシーンを失った映画はとても浅薄なものになる。

何れにせよ、民放でCMを入れるのは仕方ないとして、映像のカットは何とかならないものか、、、
時々かなりの名作がズタズタ状態で放映される。
時間枠に収めるため仕方ないとは言え、その映画体験でその作品が強く印象付けられてしまう。
(以前、1時間カットされていた映画があった。もうダイジェスト版レベルである)。

そこで観て、凄いと思ったものは、これは絶対買いであろう。
この映画こそはまさにそれだ。
先ほど注文したので、明日「完全版」でまた観てみる。






10年越しの復讐とは、確かに重いものがあるが、虚しさも一際であった。
娘のカルラにしても、非常にアンビバレンツな感情渦巻くものであったはずだ。
(ある意味、お父さんより身を引き裂く思いをしてきた)。
ここまでいかないのは、復讐心や憎しみが如何に大きくても、こころの持続がもたないのだと思う。
テンションが続かないのだ。

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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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