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秒速5センチメートル

5cm per second001
フランスでの公開時のロゴ、、、さすがフランス(最近フランス文化の凄さに圧倒されっぱなし)。
2007年

新海誠監督・脚本・原作・絵コンテ・演出・製作総指揮

新海誠監督のやりたいように作られた作品に思える。

「桜の花びらが舞い落ちる速度」が秒速5センチメートルだという、、、。

風情がある。というより儚い。

「桜花抄」、「コスモナウト」、「秒速5センチメートル」の3部作構成である。
遠野 貴樹「桜花抄」(小3~中1)「コスモナウト」(高校生)「秒速5センチメートル」(社会人)
篠原 明里「桜花抄」(小4~中1)「秒速5センチメートル」(社会人)
澄田 花苗「コスモナウト」主人公の女子高生


「桜花抄」
人物の内面描写が自然現象との関わりのなかで、見事にディテールまで繊細に描かれている。
散々雪で待たされ(彼女を待たせ)深まる夜の不安と焦燥のさなか不意に風に吹き飛ばされてゆく彼女に渡す手紙、、、。
情けなさで押し潰されそうになるきもち。
この切なさは自分の記憶にも深くゾンデを降ろす。
桜の花弁のはらはらと舞い散るなか、、、その普遍的な(いや永遠の)時間のめくるめく。

仕事の関係で転校の続く家庭に生まれた遠野 貴樹は、同い年の転校生、篠原 明里とこころを通わせる。
内向的で図書室が好きなふたりは、お互いに強く引き合ってゆくが、転校によって離れることになる。
ふたりは、転校を重ね次第に遠く離れて暮らすことになる。
栃木と鹿児島まで、離れてしまった時に、意を決してふたりは会うことにする。
大雪で途中電車が長時間止まり約束の時間を大きく遅れてしまうが、深夜ふたりは会うことが叶う。
雪の結晶のはらはらと舞い散るなか、、、彼は彼女をどう受け止めたらよいか分からなくなる。
ふたりでお弁当を食べ、一夜を納屋で明かす。
別れ際、「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う。ぜったい」と 明里は語る。彼は無言でそれを受け止める。
ふたりがそれぞれ書いたラブレターは、どちらも渡せなかった、、、。

「ぼくたちの前には、茫漠とした時間がどうしようもなく横たわっている。」
「このまま彼女と一緒にいることはないということは確かだ」、という彼の予感・直覚は正しい。


「コスモナウト」
音楽(ピアノ)の演奏がモノローグに絡み美しい。
澄田花苗が主体となり物語が綴られる。種子島が舞台。
遠野 貴樹は文武両道の憧れの的、というより転校してきた時から澄田花苗の恋愛対象であった。

彼は優等生的に当たり障りのない優しい返答しかしないが、それは外部との交流を単にやり過ごすだけの手法に過ぎない。
篠原 明里との文通は遅れがちとなり、やがて途絶える。彼女のことはまだ忘れられないが、何が忘れられないのかまだ分かっていない。
メールを打っては発信しない日が続き、それが儀式的な癖となっていた。
次の花苗へのことばは、誠実な答えであったと思われる。
「余裕ないんだ。迷ってばかりだよ。できることをなんとかやってるだけ」。

時速5キロで運ばれてゆく深太陽系探査ロケット。
本当に真っ暗なひとつの水素原子に出会うことも希な空間を進んでゆく孤独な旅に思いを馳せる。
茫漠とした時間の横たわり。どうにもならない距離。
それが生むもの、、、。

澄田花苗はサーフィンで波に乗ることに成功する。
(彼女はプロのサーファーを目指しているのか?)
この幸運な日に、彼女は意を決する。
彼に告白しよう!、、、しかし彼が自分の遥か、遥か向こう、、、遠くを見つめていることに気づく。


「秒速5センチメートル」
相変わらず光の物理的表現のきめ細やかさに驚く。
篠原 明里は来月、誰かと結婚を決めている。
そんな時、子供の頃書いた手紙を見つける。

ただ、生活しているだけの悲しみ、、、茫漠とした時間の消費に毎日を費やす悲しみがその無表情に現れている。
彼はすでに、1000回メールしてもこころは1センチも近づかなかったと3年付き合った彼女に告げられ分かれている。
前に進みたいが、掴むべきものが何であるかが分からない。強迫的にそれを求め闇雲に働いたが、日々弾力を失うこころに唖然とする。そしてある朝「自分があれほどまでに真剣で切実だった思いがきれいに消えていることに気づく」。
(篠原 明里からの結婚の知らせのメールは見たはず。少なくとも要因ではなくともトリガーではあろう)。
同時に彼は会社を辞める。

夢の中では、遠野 貴樹と篠原 明里は13歳のままで、また桜の花弁の舞う下で逢える、、、
回想と空想~白日夢が目まぐるしく交錯する。
この時の歌はとても良かった。
わたしが山崎まさよしのファンだからか。
いや、とても曲想と映像が合っていた。
そして現実へ、、、
線路を渡るすれ違いざまに篠原 明里の現在の姿~幻をある女性に認め、 貴樹は降りた遮断機を間にして、振り返る。
電車の通った後、彼女もこちらを振り向いているだろうか、、、?
しかし、その女性はすでに影も形もなかった。
彼は一瞬眉を曇らせるが、その後口元に笑みを浮かべる。

確かに貴樹は一歩を踏み出さんとしていた。

5cm.png


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