PICKUP
ザ・ミスト
末期の目
美しき冒険旅行
レヴェナント: 蘇えりし者
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
シャイン
トイレのピエタ
カッシーニ グランドフィナーレ
ゴッド ファーザー
それでも恋するバルセロナ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
魔術師
ブラック・スワン Black Swan
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
LUCY ルーシー
ミツバチのささやき
娘ふたりと女子美へ☆彡
父 パードレ・パドローネ
写真についてーⅡ
去年マリエンバートで
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

キリクと魔女

kirikou001.jpg

Kirikou et la sorciere
2003年(劇場発表) 制作1998年
フランス・ベルギー・ルクセンブルク

ミッシェル・オスロ監督・脚本・原作・製作
ユッスー・ンドゥール音楽

スタジオ・ジブリ

キリク
カラバ(魔女)
キリクの母
賢者(キリクの祖父)


やはり、昨日思った通りの監督であることが分かった。
たいがい処女作にその人の思想が詰め込まれている。(そのため、処女作を越えられない作家も数多くいる)。
本当は、「プリンス&プリンセス」を観ようと思っていたのだが、今時のDVDにしては異様に高い、、、出たばかりの頃のDVDの値段に近かったので、こっちにしたのだが、、、正解もよいとこだった(爆。


舞台はアフリカの村。
キリクは自分の意思で母親から自力で生まれ、自分で風呂に入り、素早く走り周囲の状況を全て理解し、みんなのために果敢に行動する、、、、釈迦みたいな赤ん坊だ。勿論、生まれたてで言葉も大人以上に理解して話せる。
しかも、ずっと裸のままだ。アフリカの赤ん坊はそれで普通なのかも知れぬが、これは普通の赤ん坊では明らかに、ない。

今、村は魔女の支配に慄いていた。
宝石などの財宝は全て奪い取られ、男たちは魔女に食われていた(後で、ロボットの手下鬼に変えられていた事が判明するが)。
泉が動物が入り込んで、通路の中で太ったために渇れてしまったことも、魔女は自分の魔力のせいだと宣伝(情報戦)に利用していた。

キリクは、何度も村人の危機を救っていったが、平和を得るには魔女との対決は避けられない。
魔女の暴挙から村を救おうと、彼は数々の危険を冒して魔女の住む山の向こう側の、賢者である祖父の元に辿り着く。
(途中でリスを味方につけたり、鳥や猪を利用して)。
そこで知恵を拝借するためだ。

「ぼくは小さい。」(キリク)、、、そりゃまだ生まれたばかりだから、、、。
「だから誰も入れなかったところに入れた。それを喜ぶと良い。」「大きくなった時に忘れずに自分が大きいことを喜べば良い。」(祖父)
彼は、人々の迷信や先入観や漠然とした不安や恐怖(共通感覚)を強大な権力に利用することができること、を彼に諭す。
そしてそんなかたちで権力を握るものが、女を軽蔑し男を憎み、人々にあらん限りの苦痛を与えようとするという。
何故か!?
それは自分が耐え難い苦痛を抱えているためだからだ。
だが、その苦痛と憎しみの作用で恐ろしい魔力(死の力)が発動する原理となる。
元凶とは、まさに深く沈み込んだ外傷なのだ。
その傷は時としてあまりに深いと場所すら特定できず、対象化することが不可能になることもあり、そこは他者の力を借りなければならない。
だがその苦痛を除く際には、それを遥かに上回る激痛を覚悟しなければならない。
(苦痛の記憶の参集、特異点の生成の場を再認することが多い。つまり歴史の根拠を問われる)。
それをなにより権力者は恐れているものだ。
だからそれを~苦痛からの解放を手助けする者は、その覚悟を必要とする。
そんなことを賢者はキリクに伝える。(まだキリクは赤ん坊なのだが、賢く先入観のない赤ん坊であることがよいのだろう)。

「ボクがカラバのトゲを抜く。出来なければ、死ぬ。」
そう決意してキリクは魔女カラバの絶え間ぬ苦痛の元である背中に深く刺さったトゲを抜きにゆく。
キリクの巧妙な作戦も功を奏し、魔女の背後をとり歯で刺を抜き取ると、村中に彼女の痛みの叫びが響き渡る。
しかしその痛みは、永い間苦しみ続けた痛みと違い、一時だけのものなのだ。
その後は、、、彼女を取り巻く世界は、別世界であった。

彼はカラバをその憎悪の苦しみから完全に解き放った。
いまあるのは、、、

キリクは、彼女に結婚を申し込む。
カラバは歳が違いすぎるため断る。
しかし、キリクの言うように口づけによって、ふたりは年相応のカップルとなっている。
ふたりの気持ちはかたまる。

ふたりは村に戻るが、大仕事を終え村を救った青年のキリクと元魔女の姿の普通の女性に拒否反応しか見せない。
彼らは、今を見ようとはしない。
過去の記憶や拘り(価値観)、先入観でしかものが見れない。
ただひとり、キリクの母だけは成長(急成長)した息子の姿を見極める。
だが、カラバの内的な変容を理解する者は、誰もいない。
村人が彼らに襲いかかろうとした時に、賢者が魔術から解けた村の男たちを連れてやってくる。
それが魔術による支配が終わったことを告げ、、、村が元に戻り、ハッピーエンドを迎える。

絵は昨日の「アズールとアスマール」に繋がってゆく強調と単純化による平面的装飾性の高い、実に芸術の香り漂うものである。
あの芳醇で見事な絵画世界の原石を見た感じだ。
しかし、監督の思想は明瞭にここに現れていた。


共感した。
音楽にも、、、。なにしろユッスー・ンドゥールである。




関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
日々思うことを綴ってゆきます。
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ることもあります。
悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

*当サイトはリンクフリーです。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
最新トラックバック