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アズールとアスマール

AZUR ET ASMAR001

AZUR ET ASMAR
2006年

フランス

ミッシェル・オスロ監督・脚本・原作
ガブリエル・ヤレド音楽

アズール
アスマール
ジェナヌ(アスマールの母、アズールの乳母)
クラプー(アズールと同じ碧眼の西洋人)
シャムスー・サヴァ姫(城に幽閉同様に閉じ込められている聡明な姫)
ジンの妖精(囚われの身の光の妖精)
エルフ(ジンの従姉妹の妖精)
ヤドワ先生(国で最も知恵のある先生)

日本はアニメ大国みたいに言われているが、これ程の(このレベルの)アニメはまず作れない。
画像処理・制作技術や色彩配色は可能かも知れないが、とは言えそれも圧倒的にこちらが上だが、この脚本(原案)はさすがに無理だろう。何よりストーリー~物語が圧巻だ!
わたしは、これまで映画にストーリーより遥かに絵の質を求めてきたが、この映画は絵はずば抜けているが、物語の基本コンセプトがまた更に素晴らしい。

影絵ではないが、鮮やかな色彩の対比が美しい平面的で単純化された装飾性の極めて高いアニメーションである。
アズールとアスマールは、アスマールの母でアズールの乳母であるイスラムの女性ジェナヌに分け隔てなく愛情をかけられ実の兄弟のようにして育てられた。
ふたりは二つの言語や歌と彼女の故郷ジン(エルフ)の妖精の国の噺などの異国の文化の香りに馴染んで育つ。
ジンの妖精は閉じ込められているが、魔法の3本の鍵をもった勇者が助け出すという伝説が耳に(こころに)残る。

アズールの父親にふたりは徐々に引き離されてゆき、ついにアスマール母子は、アズールが専任の家庭教師宅に預けられ勉強している間に、もう用はないと無慈悲に何も持たずに追い出されてしまう。


領主の息子アズールは長じて父の反対を押し切り海を渡る。
幼い頃、子守唄で妖精が「大きくなったら海を渡るよ~」と歌っていた、、、決断に際してこれが無意識にあったことが大きい。
勿論、追い出されたアスマールとその母の安否もずっと気にかけていたはずだが、、、
アズールはジンの妖精を助ける冒険の末、幼い頃の噺からイメージを深めていた乳母の国に漂着したが、実際そこでは不当な差別を受ける苦難が待ち受けていた。
碧眼がもっとも差別の元凶となるため、ついに彼は目を閉じ盲目の若者となることにする。
そこへ、クラプーというアズールの文化圏からかつて彼と同じ憧れをもって渡って来た男が現れ、彼の案内で何とか食いつなぐことはできた。
クラプーは、詐欺まがいのことをしながら底辺で皆に煙たがれながらも強かに生きてきたのだ。
しかし次第に彼の生き様の魅力もにじみ出てくる。彼の流儀である。
「それでもこの国を愛している」という彼のことばは、重い。
アズールも彼に一目置く。

イスラムとフランスとの関係は今現在どうか。
ここでは、黒い目のイスラムの国における青い目のフランス(西洋)人の立場である。
20年も先にその地に夢を抱いて(ジンの妖精を探しに)来ていたクラプーもサングラスで目の色を隠しているが実は碧眼であった。
青い目はここでは、不吉なものとして、黒ネコとともに忌み嫌われている。
丁度、イスラム系の外見から(国籍は移していても)、テロ犯ではないかと見なされ排斥されるのと反転している、、、。
「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」で橋の上にトラックを乗り捨てた青年が国籍はアメリカなのにイスラム系であったために大騒動に発展したのも同様の差別意識からだ)。
ISIL による悲惨な事件もまだ記憶に新しいが、、、。
お互いに複雑で重々しい禍根を残している。
そしてイスラムの宗教・文化の特殊性(西洋国家にとっての)である。
その文化的・日常的影響力が恐れの対象ともなっている現状である。


盗賊との闘いや恐ろしい伝説の怪獣との駆け引きも兼ねた苦難の旅を経て、お互いに協力し合い何とか妖精の囚われた場所までやって来るふたり+クラプーであったが、最後の扉のところでアスマールは盗賊に刺されてしまう。
その後、予め探り出しておいた鍵を3本使い、妖精を囚われから解き放つ。
既のところで、アスマールの傷も妖精の力を借りて治ってしまう。

ジンの妖精は彼女を救出した勇者と結婚をすることになるはずであったが、アズールとアスマールのふたりが同時に彼女の前に現れたことから、主要登場人物全員が一堂に会することとなる、、、。
妖精は、どちらと結婚すればよいのか、彼らに尋ねるが、、、

ふたりがそれぞれお互いに兄弟の方を推挙し譲らないため、どうにも決められない。
彼らの喧嘩を幼い頃に仲裁してきたジェナヌをそこに呼んで決めさせようとするが、彼女にとっては双方が自分の息子に等しくどちらを花婿に推すかなど決められない。聡明なシャムスー・サヴァ姫をそこに呼び、彼らふたりの相手を推薦することばを聞くが、同等の説得力にどちらと決められず、ふたりと結婚すれば、という提案を出すがそれは無理であった。そこで姫の先生であるヤドワ氏を呼ぶ。しかしふたりの気高い若者に甲乙付けること自体不可能だと述べ、われわれとは全く違う考えでモノを見る7番目の人間をよびましょう、ということでクラプーがそこへ。彼は自分を売り込む。当然妖精に却下される。(試練を乗り越えた王子ではないと(笑)。そしてジンの従兄弟の妖精エルフを呼ぶ。
これはうまい!

つまりそこへもうひとりの美しい(西洋側の)女性が現れ、暫し時を共にしてお互いに選ぶことにする。
それぞれジンの妖精、エルフの妖精が意中の人を選ぶことで、解決を図る。
最初は、ジェナヌもシャムスー・サヴァ姫も予定調和を期待した。
しかし、、、

イスラムの青い衣装を纏うジンの妖精は、白く壮麗な衣装を付けるフランス人のアズールを選び、、、
白い西洋風の優美な衣装を身に纏うエルフの妖精は、煌びやかなイスラムの赤い衣装のアスマールを選ぶ。
「わたしに異存はないが、、、」(アズール)、「わたしもだ、、、」(アスマール)
「この方がもっといいわね」(ジェナヌ)、「そう、これこそ未来への答えだ!」(クラプー)

最後のクラプーのことばが全ての締めであった。
(きっとそういう監督なのだ、、、)。
この思想は重い。
(だが、まだまだ現状は変わるまい)。

物語~ストーリーが如何に大切かをこの映画でこってりと認識した。
AZUR ET ASMAR000

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