夜のとばりの物語 ~醒めない夢

Les contes de la nuit
2012年
フランス
ミッシェル・オスロ監督・脚本
クリスチャン・メイル音楽
スタジオジブリ
今日は、学校参観に時間と労力を割いたため、「アズールとアスマール」”AZUR ET ASMAR”は明日にしたい。
正直、ヘトヘトなのだ(笑。
前作もそうだったが、始まりに必ず出てくる若い男女の役者がこれから演じる話を撮影技師?と相談して作って演じる形であるが、撮影技師がパソコンで素早く、題材として採り上げられた時代~地域の文化(主に人々の装束や建築)などのヒントを見せてくれるのが、とても楽しいものだった。わたしはそこの博物的図鑑鑑賞の趣がかなり気に入った。
更に、あのデータを筒?に入れると、たちどころにその衣装を身に付け(変身)させてくれる機械(オートマタ)が、素敵だ。
影絵とオートマタがこれまた相性が良いではないか、、、。
音楽がまたとびきりであった。
絶妙な共鳴が心地良い。
このコンセプト~フォーマット、イケル!
こういう香りのあるものって、いいなあ~とつくづく想う。
今作は5編のこれまた素敵な御伽噺である。
前作の続編的な要素はなく、前回発表の際に零れたものを寄せ集めた位置づけだと思われる。
しかし、個々の作品の完成度の高さは謂うことない。
前作と変わらず、とびきり美しい万華鏡に恍惚となってしまうような要素は、同じである。
特に最後の『イワン王子と七変化の姫』の噺そのものの面白さがこどもにも受けていた。
しかし、この最後の編は前作に近いまとめであるが、それまでの編については、少し感触は異なった。
噺は前作のように丁寧に完結させずに、こちらに向けて突き放す感じが強い。
後は自分で想像して、、、と。
寓意性が高く、少し対象年齢が上がった感じがする。
その分、これらを観て眠ると、続きが夢に出てきそうな気がする、、、。
余韻が残るのだ。
昨日のも残ったが、感動が残るタイプのもので、今日のものは終わった先が気になるタイプのものだ。
(そうはっきり分かれるものでもないが)。
画像の素晴らしさだけではない、寓意的な噺の面白さが際立っていることにも感心する。
どうやらフランスでTV放送されていた番組が、このようにまとめられたらしい。
なんと贅沢な!
日本でもこんなTVアニメ番組が毎週放映されていたら、ちょっと文化状況も変わるのではないか、、、。
何といっても、影絵~切り絵は日本文化と密接な関係があるし、その技量においては、やはり日本が最も秀でてはいまいか?
切り絵作家の驚異的な作品が時折、波紋を広げ注目されても、それらはほとんど美術館か特定の個人蔵レベルである。
(美術関係の書籍・雑誌の印刷には載ってはいるが)。
こんな形でのメディアへの露出もあってよい。
誰もが大いに楽しめるものだ。
ただし、鮮やかで豊かな色彩表現と3D効果も巧妙なものができたとしても、わたしが心配なのはストーリーなのである。
映画を少しばかり観てきて強く思うことだが、海外の映画に比べて、邦画は予算・スケール・技術が原因でつまらないというのではなく、純粋に話が面白くないことが圧倒的に多かった。演出とか脚色とかのレベルではなく原案・脚本あたりからホントにつまらないのだ。(勿論、充分に素晴らしいものがあることも前提でのはなしだが(笑)。
最初のコンセプトで、もう終わっていたら、それまでである。
一言で言えば、良い脚本の元に表現手段を創意工夫して乗せてゆくことが肝心だと思われる。
この映画を観てしみじみ感じることだ。

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