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ニック・オブ・タイム

Nick of Time

Nick of Time
1995年
アメリカ

ジョン・バダム監督
パトリック・シーン・ダンカン脚本

「アサシン」の監督だ。
この映画も実にタイトでスリリングであった。
時をこれだけのテンションで刻む映画は他に観た事がない。
まさに”Nick of Time!”
90分の出来事を90分で描ききる。
極めてクールだ!

ジョニー・デップ、、、ジーン・ワトソン(会計士)
クリストファー・ウォーケン、、、Mr.スミス(暗殺依頼人)
チャールズ・S・ダットン 、、、ヒューイ(靴磨きの帰還兵)
マーシャ・メイソン、、、エレノア・グラント州知事
ピーター・ストラウス、、、ブレンダン・グラント(グラント州知事の夫)
グロリア・ルーベン、、、クリスタ・ブルックス(グラント州知事の秘書)
コートニー・チェイス、、、リン・ワトソン(ジーンの娘)


要するに、ジーン・ワトソン氏は、演説中のエレノア・グラント州知事に対し、銃を発砲する場面をビデオカメラに収められるためにスカウトされてしまったのだ。そういうことだろう。何であっても、彼女の反対勢力の仕業と思われない人物でなければならなかった。
それで、うまく彼女の殺害に成功すれば、まずは組織的暗殺団にとっては、言うことなしであろうが、、、。
何分素人である、、、リスクは大きい。周りに覚られて押さえ込まれなくても、、、
彼は知事と同一地表から、素人だから外れる可能性大として、撃つだけは撃つとする。
ほぼ同時に撃つとしても銃声は二度鳴るし、Mr.スミスはかなり上方から撃つため、知事を貫く弾道角はビデオに撮られたジーンの角度とは計算上、大きく異なる。ジーンの撃ったほぼ水平方向の弾痕も柱かどこからか発見せれてしまうはず。
同じ口径のピストルで同じ弾を撃っていてもそこは誤魔化せまい。
もう少しリスクの小さい、うまい方法があるはずだが。

ジーン・ワトソンのように正義感をもった人間をチョイスすると、最愛の娘を人質に取ったからといって思うように動かすのは困難である。素人臭い、無関係のゴロツキを大金で雇った方がずっと成功率も高くすんなり計画は進んだろうにと思う。
勿論、ジーンを選んだからこそ、このような緊迫した攻防がみられたのだが、、、。
(そうでなければサスペンスドラマが成立しない)。

特異な設定を丸呑みすれば、話の展開自体実によく練られている。
特にジーンの孤立無援の選択の余地ない、逃げ場を閉ざされれ追い詰められてゆく心境には、同調してしまった。
殺害は90分(演説の終わりまで)のリミットでありそこまでの過程を90分の映画で描く。
スタイリッシュなサスペンスでもある。脚本が良い。
それを見事にジョニー・デップが演じきる。
この緊張に押し潰されそうになりながらも、その殺人に直結する道の抜け穴を探る駆け引きに目は離せない。

やはり途中でヒューイを協力者に引き込むことに成功したことが大きい。
(この展開はかなりハリウッド的既視感はあるのだが、、、ある意味王道なのか、、、?)
彼のホテルでの人脈と彼の機転なしに、ジーン一人では、知事の殺害は防げても、娘の救出までには至らなかったろう。
あの戦争で耳が聞こえなくなったという阿吽の呼吸の嘘で、殺人組織を出し抜くうまい計画が立てられた。

闘いは素人だが、娘への愛と正義への意思を貫き、怯まず悪党に挑むディップは、いつもの特殊メイクディップより遥かに格好良かった。またエージェントスミスも優れた人物のスカウトという点では目利きであったが、、、。
更にジーンが選んで協力を頼み込んだヒューイも、最初は巻き込まれることを拒んだが、結局は想定を超える機転の利く相棒的存在となっていた。彼でなければあそこまではできなかったはず。見事な人選であった。
その強固な線だけでなく、うまい人選であったが、重要な事実認識~真実には導いてくれるも、呆気なく途絶えてしまったクリスタのケースもある。

この物語は、人選を鍵としてスリリングに面白く展開してゆく。
ヒューイは少し出来すぎな感もあるが、やはり弱者(搾取される側)の味方で理想主義者であるエレノア・グラントの危機を救いたい一心のなせる技であろう。
あのように、人々には愛されていても、既得権にしがみつく権力者の排除の対象となる人物はいる。
(キング牧師をはじめ、、、)。
夫まで、敵であったというのも極端ではあるが、秘書を殺した時の彼の過剰な反応から、妻が政治上だけでなく私生活の面からも邪魔であったことが充分匂わされていた。クリスタは無条件にブレンダンを信用していたことが運の尽きであった。

ジーンが思わぬブレンダンや黒幕たちの前で驚愕しながらも殴られ首を絞められ気を失い掛けているときに見る、ちょっと予知夢的な幻覚シーンも、生理的、感情的にあの緊迫した展開において強い印象をもった。
時間はリニアな90分で流れるのではなく、現実的な想像や幻想も含んだ流れで展開してゆく。
われわれの生きられる現実は強度の緊張のなかに流れる時間や一瞬滞る時間や幻想へと落とされた時間などの束として意識されている。
そのへんの時間構造も描き込んだなかなかありそうでない、サスペンス(ちょっとアクション)映画であった。

窮地に追いやられても突破口を見出し反撃するジョニー・デップもやたらと格好良い。
クリストファー・ウォーケンの最初の頃の余裕がだんだんなくなってきて焦ってゆく過程の演技もさすがであった。


これは、観て損はない映画である。


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