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ルーム

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Room
2015年
カナダ・アイルランド

エマ・ドナヒュー原作『部屋』・脚本

レニー・エイブラハムソン監督

ブリー・ラーソン、、、ジョイ・ニューサム(ママ)
ジェイコブ・トレンブレイ、、、ジャック(ジョイの5歳の息子)
ジョアン・アレン、、、バアバ(ジョイの母)
ショーン・ブリジャース、、、オールド・ニック(拉致犯)
トム・マッカムス、、、レオ(バアバの友人)
ウィリアム・H・メイシー、、、ジイジ(ジョイの父)


そういう切り口か、、、と思った。
普通、サスペンス映画であれば、紆余曲折あり終わりギリギリで散々な目に逢いながらも何とか救助されてハッピーエンドとかなるパタンであるはず。
この作品は、真ん中へんには、鋭い女性警官の機転であっさり母子は救助され、後半はタップリ実家に戻ってからの生活が描かれる。
拉致され7年間も納屋の監禁生活で受けた傷を癒す時間である。
むしろここに力点が置かれていた。

生まれて育った環境が人にとっては自然な世界である。
それがどんな環境であろうと、それを元に身体性を形成するしかない。
ジャックにとって、犯人によって母が閉じ込められた納屋が世界の全てであった。
納屋というのは、外部的な捉え方であり、それを外観として一度も見た事がないうえでは、そこは「部屋」としか語れない。
そして部屋=世界であった。

5歳の息子は、「部屋」から出て最初は大いに戸惑いを見せたが、やはり幼いだけあって、順応も早く近所の友達ができれば、もう普通の子である。
もっと幼いうちは、TVに映る全てのものは嘘でフィクションであり、「部屋」の外には何もないと教え込まれていた割には、それほどの深刻な混乱には至らず済んだ。
まだ修正が効き易い年齢であったことが幸いしたか。
彼がトラックの荷台で仰向けに見る、広い青空に対する驚きはとても印象に残る。

母ジョイにとっては、「部屋」は不条理~理不尽極まりない牢獄に他ならない。
すでに7年間そこで、自分の生きられる時間を奪われていた。
17歳まで、外界に生きていた記憶がある以上、そこは是が非でも抜け出すべき居てはならない世界である。
しかし、その上に彼女にはジャックという5歳の息子がいた。
否定すべき忌まわしい出生の悪夢とともに彼女の唯一の愛すべき支えでもあるアンビバレンスな存在として。
この事実~彼女のこころを引き裂く状況は、それでも「部屋」の中に籠っているうちは、オールド・ニックが現れる時以外に顕在化しないで済んでいた。
他者のない空間であったために、とりあえずの安定は得られていた。

だが病院に移されてから後のジョイは、最初の両親との再会の歓びだけは素直な感情の発露が見られたが、自宅へと両親(父は別居していた)の元に戻ってから以降、その環境~世間に馴染めない。
犯人との間にジャックという子供ができていた事実が全ての前に立ち塞がるのだ。
ジャックは彼女にとって、もっとも大切な支えであると同時にその誕生に纏わる悪夢~記憶を常に纏った存在である。
だから彼女は、それまで犯人オールド・ニックがジャックを見たり触れたりすることをヒステリックに拒んできた。
彼女にとってジャックは、彼女独りから生まれた子でなければならなかった。(処女懐胎)。

しかし、帰宅と同時に彼女のそのアイデンティティ~幻想は打ち壊されざるを得ない。
彼女の父親は、「孫」であるジャックの存在をどうにも認めることができない。
(父親がジャックを抱き寄せでもしたら、彼女の中の何かが溶け出したかも知れないのだが、、、)。
「孫」の顔を直視出来ずに、父はまた家を出ていってしまう。
(家には、父親の代わりにレオという男性が常に母親に寄り添ってサポートしていた。実家の環境も彼女の誘拐事件を機に、大きく変貌~解体していたのだ)。
マスコミのインタビューでもその部分を無神経に突かれる。
その反応と現状がより彼女の子供「ジャック」の存在=過去の7年間を鮮烈に浮かび上がらせるばかりであった。
外界というより世間との関係性が彼女の傷を顕にしてゆき、癒える場~時を彼女に与えない。

ジョイは追い詰められ、もちこたえることができず自殺を図る。
ジャックにその場を発見され、彼女は命は取り留める。
彼女には、きっと独り(ジャックと離れて)病院で心身を休ませる期間が必要だったのだ。
ふたりは暫く離れて過ごした後、新たな関係性を手繰り寄せつつ、再スタートをきってゆく。
親子を改めて自覚的に活き活きとやり直してゆく姿にほっとさせられる。

子役もよく頑張っていた。


これだけの試練はなかなかないものだが、、、良い親子になってゆくだろうとおもえる。
(実際、親子は試練の連続ではあるが、、、)。


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