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卒業

THE GRADUATE

THE GRADUATE
1967年
アメリカ

マイク・ニコルズ監督
ポール・サイモン音楽

ダスティン・ホフマン、、、 ベン・ブラドック
キャサリン・ロス、、、 エレイン・ロビンソン
アン・バンクロフト、、、 ミセス・ロビンソン
マーレイ・ハミルトン、、、 ミスター・ロビンソン
ウィリアム・ダニエルズ、、、 ミスター・ブラドック
エリザベス・ウィルソン、、、、 ミセス・ブラドック


優秀な成績と実績を残し大学を優等生で卒業したはよいが、虚無感に襲われる主人公ベン。
レールの上をスムーズに真面目に渡ってきた人ほど、これから自由に自分の意思で人生が選べますよ、という時に躓いてしまう。
この人を見ると、学生時代に脱線して悪友と遊び惚けたり一切してこなかったことが分かるが、所謂勉強を深めて~又は逸脱して何かを自らの意思で問題を掘り出し学び取ったり、研究したりの経験も感じられない。
つまり旺盛な探究心や拘りや毒やささくれを感じ取れないのっぺりした人だ。
何というか、のほほんと良い成績だけ取って良い子でやり過ごしてきたように見受けられる。
しかし、それは責められる類のことではない。
誰だって多かれ少なかれこんなものである。(学生時代など、皆高が知れている、、)。

取り敢えず、周りの期待に応えて、良い子の時間を卒業したところで、存在学的なひりつきが降りてきた(笑。
まさに実存と対峙し右往左往する時がきたのだ。(出来れば大学在籍中にサルトルやカミユを読みつつ狼狽えておくべきだった)。
そこへ、こともあろに父親の会社の共同経営者の奥さんが、魔の手を広げてきた(爆。
悪いタイミングで文字通り、悪魔の誘惑である、、、。
めくるめく強烈な誘惑であったが、自分の基盤がぐらついていなければ、それに応じる隙はなかっただろう。
だが、このベンは見事に虚を衝かれる、というか足元を掬われた。
自分自身が幻のように覚束無いまま、受動的に反応し、誘いにのってゆく。
わたしは、彼が気の毒でならない。曲者の夫人に見事に引っ掛けられたのであった。

夫人とホテルで逢瀬を重ねるが、満足感もなく罪悪感は募ってゆくばかり、、、。
彼もさすがに、これはしまった、、、と思い始めた頃に、ミセス・ロビンソンの娘エレイン登場である。
大学の夏休みに、実家に戻ってきたのだ。
エレインの父親は若い者同士話も合うだろうし、娘を誘ってみなさいと言う。
彼の両親も、エレインとの交際をしきりに勧める。
だが夫人は絶対に娘を誘惑しちゃダメよ!もし誘ったら私たちの関係をばらすわよ、と鬼のように迫ってくる。
いや、まさに鬼である。しかし、彼女は結局ベンをどうしようと思っていたのか。そのままの関係など続くわけもないし、、、。

最初のデートで、ベンはわざと嫌われるような場所にエレイン連れてゆくが、彼女の慎ましやかな反応を見て動揺し、彼女に惹かれてしまう。
ベンは本気で彼女に恋をするが、つまり、人生で初めて主体的に行動をとりだすが、ミセス・ロビンソンの脅しに合う。
ならばとばかりに、彼からエレインにその件を打ち明ける。
だが、その際にはしっかり正確に説明することが絶対条件である。自分はある意味、被害者だと。(ここで変に男らしく振舞っても意味がない)。
しかし、中途半端にただ、ショックを与えるだけの知らせ方をするものだから、大変な嫌われ方をすることになる。
それは無理もない。コミュニケーションの失敗であった。
そこにミセス・ロビンソンがエレインにダメ押しの、ベン加害者説を植え付けた(笑。
いや、笑っている場合ではないが、この流れでは必然的にこうなる。

もう普通は、ここでエレインとも完全破綻で、不倫が夫(彼女の父)の耳に入れば、ブラドック・ロビンソン両家の間も断絶である。
事実、ロビンソン夫妻は離婚となった。これは、自業自得なのだが、全てベンのせいでこうなった、という流れである。
彼は話の序盤では、みんなからの誇りと讃えられ大変なもてはやされ方だったのだが、この急転落の不条理にも、今や関心なしの心的状況である。

この映画はここからが見せどころなのだ、、、。

彼は、もうただ只管、彼女に追いすがることしか頭にない。
彼女の親は、彼から娘を引き離し、新しい相手に彼女を嫁がせようとする。
しかし、彼は自分の意思で生き始めたのだ。(目先の目的ははっきりしている)。
一途に突っ走る恍惚感すら感じられる。
もう自分の意思で自分のために生きるぞというパワーに漲っている。
だからそれまでのように、おずおず、まごまごしていない。
アルファロメオに颯爽と飛び乗り豪快に飛ばし、バスに走って追いついて、彼女に食い下がる。
見栄も外聞もない。

これを青春というのか(爆?

ということで、物凄い勢いで、彼女が挙式する教会を探り当て、陸上部で鳴らした走りで滑り込む。
大学での努力がこういう場面で活きてきた。
2人が誓いの言葉を交わす間際に、「エレイン~!」と叫ぶと、「ベ~ン!」、、、式場でまさかこれをやるか、、、というところだが、もはや、ベンもエレインにしても正常の範囲を逸している。
そして十字架で追っ手を追っ払い、ふたりで手を取り教会の外に出て、何と十字架をつっかえ棒にして扉を閉める。
これはお洒落なアイデアだと感心した。

そして調度よく、その場にやってきたバスに乗り込む。
乗客の彼らを見る視線の険悪なこと、、、。
思えば、ベンは意識的に生き始めてから、人の彼を見る目が一変して、意地悪な視線ばかりを集めるようになってしまった。
こういうものなのか、、、。
ここで、花嫁を略奪してしまった。
新郎はさぞかし、びっくり仰天であろうし、彼の両親・親戚・親友の戸惑いや怒りも如何程のものか、、、。
エレイン側にしても同様であろう。(夫人は何を考えてるか分からぬが)。

飛んだことをしてしまった、と前を見るでもなく打ち眺めるベン(拝。(音で表せばチ~ン!というところか)。
思えば、ベンは最初から最後まで、虚ろであった。
ただ身体的な活動は、前半と後半にはかなりの幅があるが、何かを欲して手に入れたと思った時すでに、底なしの虚無感に襲われている。
アメリカ実存主義映画である。
最初の”THE GRADUATE”が表示された画面のダスティン・ホフマンの横顔が何か終身刑でもくらった犯人のものみたいに思えたのだが、、、「卒業」とは、途轍もない喪失、または宙吊りを意味するように思えた。


この映画、カメラワークで、殊更絵を決めようとしていることが、それがあからさまに分かり、ちょっと笑えてしまった。
もう少し、さりげなくやってもよかったのでは、、、と思ったのだが。
映像的に笑えるところが結構あり、面白く鑑賞できた。
年代的には、随分実験的な試みを盛り込んだ作品に思える。


サイモン&ガーファンクルの曲には、ほとんどインパクトは感じなかった。
(わたしの感性に響かないからかも、、、どうもこの手の曲は苦手だ)。


ダスティン・ホフマン主演作では、何と言っても「真夜中のカーボーイ」がわたしは好きだ。
何やっても凄い人ではあるが、、、役柄的には。


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